8.「持続可能な都市」づくり(令和3年2月定例議会一般質問) | 上田ゆきこのブログ

8.「持続可能な都市」づくり(令和3年2月定例議会一般質問)

8-1インフラの整備と行政の効率化について

 

Q:国土交通省の「国土の長期展望」によると、人口密度は高くなるほど行政コストが下がるわけではなく、都心部のように、ある極大値を超えると混雑コストが付加され、行政コストが上がると試算されている。

 

つまり、過密化する都心の人口増には相応以上のコストをかけなければ環境を維持できないということで、近年、文京区の人口が増えるほど一人当たり予算が増大していたこととも整合する。

 

ここから、人口増トレンドにおいては増加速度とインフラ整備のスピードを合わせる努力をしなければ、快適な都市生活と効率的な行政は両立しえないことがわかる。

 

総合戦略策定時点での推計では区の人口は令和21年に約26万3000人になるまで増え続けると予想されていたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、令和2年度は急激な人口の伸びが止まり、ほぼ横ばいか転出超過の月もある。

 

今後のトレンドを注視する必要があるが、一時的に人口増加が止まったことを契機として、コロナ収束後に人口の再流入が始まったとしても、快適な生活環境が維持できるインフラ整備と行政の効率化を同時に進める必要があると考える。区長の見解を伺う。

 

A:国は、限られた資源の集中的・効率的な利用による、持続可能な社会の実現を目指し、コンパクトシティの形成に向けた取り組みを推進している。

 

一方で、一定の人口密度を超えた場合は、行政コストが増加する試算がされていることは承知している。試算に基づき、本区の人口密度を考慮すると、人口の増加に伴って、行政コストが増加する局面にあるものと考えられる。

 

また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、オンライン上での人々のつながりが常態化するなど、社会基盤に求められる機能や役割は、大きく変遷していく可能性があるものと認識している。

 

インフラの整備にあたっては、今後の人口動態等を注視しつつ、社会情勢の変化や区民ニーズを的確に捉え、区民がより利用しやすく、地域に貢献できる整備に努めていく。

 

併せて、公共施設の集約化・複合化や多機能化による行政サービスの効率化の検討を進めるなど、引き続き、持続可能なインフラの整備に取り組んでいく。

 

 

8-2都市マスタープランにおける「都心地域」のまちづくりについて

 

Q:先月、三井不動産がTOBにより東京ドームを子会社化し、同地の再開発を計画していると報道があり、同じく三井不動産が関わる春日・後楽園駅前再開発との地域的な連携への期待が高まっている。

 

また、飯田橋駅周辺の再開発も始まる見込みで、飯田橋から後楽園にかけての都市マスタープランで都心地域されるエリアの面的な新しいまちづくり始まるのではと夢が膨らむ。

 

これまで文京区の再開発に物足りなかったのは、地元愛のあるディベロッパーによる街の良さの引き出し方ではなかったかと私は考えている。例えば、港区なら森ビルが、丸の内なら三菱地所が、渋谷なら東急が、日本橋なら三井不動産が地域愛をもって開発をしている。

 

そういう意味では、区立第三中学校は小石川三井家の屋敷跡地であり、小石川三井家出身の広岡浅子が日本女子大学を創設するなど、文京区は三井グループにとってもゆかりの地。

 

できれば、三井不動産には第二のホームタウンとして、郷土愛をもって、文京区の都心地域のまちづくりを一緒に進めていっていただきたい。現時点での区長の想いを聞く。

 

A:飯田橋から東京ドーム、後楽園一帯は、「都心地域」として、商業・業務機能が多く集積した賑わいと活力のあるまちづくりを目指している。

 

また、ご案内のとおり、東京ドーム敷地内の各施設は、都市計画公園内における特許事業として都知事の認可を要することから、今後、事業者から整備計画の方向性等が示された際には、都とも連携しながら協議を進めていく。

 

また、完成間近となる春日・後楽園駅前地区市街地再開発事業や、今後進めていく後楽二丁目地区のまちづくりの方向性も踏まえ、「都心地域」の面的な、まちづくりを推進していく。

 

 

8-3ゼロカーボンシティについて

 

Q:近年は気候変動による異常気象や複合災害が多発しており、新型コロナウイルス後の世界においては「環境問題」が地球規模の最重要課題の一つ。

 

国は2050年カーボンニュートラルをめざしており、都は令和元年度ゼロエミッション東京戦略を策定している。

 

区も令和元年度に「文京区地球温暖化対策地域推進計画」を改定し、SDGs等の新たな視点を加えた「クールアース文京都市ビジョン『エネルギーを賢く使って豊かに生きる脱炭素のまち 文京」を定めており、その一環として、令和3年度には熊本県と連携したオフセットクレジットに取り組まれる。

 

特別区では葛飾区が昨年4月に「ゼロエミッション葛飾宣言」を、世田谷区が10月「ゼロカーボンシティ宣言」を行っており、環境への取り組みを強めている。

 

文京区もゼロカーボンシティを目指し、今後はさらに取り組みを強めていくべき。方向性を伺う。

 

A:区では、これまでも、空調の温度設定や、休み時間の一斉消灯、電球のLED化など二酸化炭素排出量の削減のための様々な取り組みを実施してきた。

 

併せて、本年度、複数の区有施設において、二酸化炭素排出係数の低い電力会社への契約変更を実施している。

 

今後は、再生可能エネルギーを含め、環境に配慮した電力の更なる導入など、引き続き排出量削減に向けた取り組みを検討していく。

 

また、脱炭素社会を実現するためには、区のみならず、区民の理解と協力が必要であると認識している。

 

温暖化に対する事業として、本年度、省エネ施設整備補助事業の対象に断熱窓を追加するとともに、区民参加型事業である「わが家の省エネチャレンジ」においても、区民が参加しやすくなるよう制度を一部変更して実施している。

 

今後とも、こうした様々な取り組みの推進を通じて、脱炭素社会の実現を目指していく。