平成22年 第3回定例会 決算委員会 総括質問 (9月28日) | 上田ゆきこのブログ

平成22年 第3回定例会 決算委員会 総括質問 (9月28日)

平成21年度決算審査に当たり、新風会を代表して総括質問を行います。

  大きく6つ、お伺いします。

  1つ目に、特別区財政調整交付金と基金についてお伺いいたします。

  平成21年度は、都の市町村民税法人分の大幅な減収の影響で特別区財政調整交付金が減るとの見込みから、当初予算では平成20年度よりも7.1%、約11億円の減を見込み、その分、財政調整基金から約8億6,000万円の活用が予定されていましたが、実際には見込みを上回る約182億2,500万円が交付され、結局、基金繰り入れも回避されました。交付金確保の御努力、ありがとうございます。

  結果的にはよかったのですが、収入見込みに大幅なずれがあれば、平成23年度予算の編成にもかかわると思うので、この算定額のかなりのずれは一体どこから来ているのか、原因をお示しください。普通交付金、特別交付金、それぞれについて教えてください。

  景気悪化の影響で、今後の財政調整交付金はさらに厳しい見通しとなる模様です。さらにあわせて、特別区税などの収入も減ることが予想されます。しかし、結果としては平成21年度も基金を積み増すことができ、平成21年度末で224億円を超える財政調整交付金残高をどのように評価されていますでしょうか。今後の区政運営に十分な安心を感じ、積極的な施策展開を目指していかれるつもりなのか、この残高ではまだまだ足りないとお考えになっているのかお聞かせください。

  また、今後の基金の取り崩しのペース配分などはどのように試算されているのかお伺いします。

  2つ目に、平成21年度予算執行の評価を伺います。

  平成21年度予算は、CHEF(シェフ)のおもてなし予算と名づけられていましたが、まずはその評価と実績を伺いたいと思います。チルドレン、ホスピタリティ、エコ、FIRST-ONEについて、各課で何を行ったのか教えてください。

  平成20年度、平成21年度と成澤区長による予算編成がなされましたが、この2年の実績によって区長マニフェストで目指された項目はどのくらい達成されたのか、総合的な自己評価は何点かお伺いします。

  3つ目に、事業見直しの仕組みづくりに関してお伺いします。

  役所の事業見直しを進め、行政の無駄をなくしてほしいという国民の声を反映し、昨年から内閣府による事業仕分けが実施されました。財源やセクションの多い国と地方自治体は状況も違い、同じチェック方法でなくてもいいと思いますが、社会の要請に応じて事業の見直しを不断に行い続けなければならないのは同じです。

  区長は今年6月の第2回定例会で、事業の必要性や有効性などについては、予算委員会や決算委員会等で十分御議論いただいているものと認識していると御発言されています。とすれば、決算委員会は区政の隅々までをチェックする機関として、自身のその機能を点検しなければならないと考えます。第2回定例会でもお話ししましたが、世田谷区では少子高齢化の進展、社会経済のグローバル化、区民のライフスタイルの変容など区民ニーズの多様化に伴う行政事業の拡大の一方で、世界金融危機などの影響による財政状況の悪化していることに対し、平成23年度予算編成、中長期的な課題に対応するため、区はどのように区政に取り組むべきかを問う政策検証委員会というものを立ち上げ、事業の検証を行いました。

  検証に当たっては、生涯学習などを行う世田谷区民大学など、行政と民間の役割分担について、行政は何をすべきかということに、外郭団体の福祉事業団や世田谷サービス公社など、サービス提供体制のあり方については、行政はどのように公共サービスを提供するべきか、3、がん検診、子ども医療費助成など受益と負担の関係について、行政はだれに対して公共サービスを提供すべきかの3つの視点で検証され、提言がまとめられました。

  会では、国の事業仕分けのように廃止などの判定は出さなかったそうですが、区民の方にこれまで受けてきたサービスが必要なものか、御自身で考えていただく機会になったと思います。

  また、これまで余り踏み込まれてこなかった領域について検証対象としたことは、画期的なことだと感じました。例えば、今回の世田谷区の検証視点に従って文京区において検証するとすれば、一体どんなものが検証対象として考えられるでしょうか。新風会として幾つか挙げてみますと、行政と民間の役割分担については文京アカデミアなど、外郭団体などのサービス提供体制のあり方については槐の会、社会福祉協議会やシルバー人材センター、財団法人文京アカデミーなど、受益と負担の関係については子どもの医療費助成、がん検診、ワクチンの接種助成、保育料などが考えられると思います。

  行政と民間の役割分担や受益と負担の関係については、区民の方とこれらの事業について一緒に考える機会を設けることは大きな意義があると思います。また、外郭団体等は評議委員会等で経営状況を説明しているなど既に外部の検証を経ていますが、これまでなかなか内部に踏み込めず、検証視点を共有してチェックすることができていなかったものもあると思います。事業仕分けを行う予定はないが、同様の役割を担う方策について議論していくとの御答弁を第2回定例会で既にいただいていますが、どのような検討をされているのか、状況をお聞かせください。

  事務事業評価の改善も今後考えていきたいとのことですが、まずはこれまで俎上に上がってこなかったが評価が必要と思われる事業の洗い出しを行い、文京区もこの3つの視点のような点検ポイントをもう一度見直していただきたいと考えますが、お考えをお聞かせください。また、先ほど挙げさせていただいた事業例について、現在はどのように評価していらっしゃるか、この決算委員会においてお聞かせください。

  4つ目に、職員手当等の見直しについてお伺いします。

  人件費を削減するために、いろいろな特別な手当の見直しを求める世論が高まってきています。年間約2億7,600万円ともなる通勤費の削減が可能となれば、その分行政サービスの拡充が行える余地もふえます。住民からの声としても、区内在住の職員をふやしてほしい、少なくとも管理職には区内に住んでほしいという声は少なからずあり、強いものです。文京区約1,850人の職員のうち、区内には300人近くがお住まいになっていると聞いています。

  防災関係で言えば、防災訓練等に職員の方が住民として一緒に参加していただけたなら、私たち住民にとっても心強いことです。そして、その数がさらにふえるのであれば、安心感がより増します。ことし1月に行われた参集訓練では参集率の低さなどが明らかになりました。一番の解決策は、区内在住の職員をふやすことではないでしょうか。

  防災という1つの分野だけを見ても、区内在住の職員がふえることは大きなメリットがあります。すぐれた実務能力をお持ちの職員の方が、住民の間の触媒となり運営の効率化が進められ、また役所の内部の事情にもたけた方がいることは役所との協力関係もより円滑になることでしょう。

  福祉の分野では、地域の見守りなど、地域の住民として区の職員も活躍してほしいと思いますし、他の行政分野でも、区内在住職員の存在が期待される点が大きいと考えます。行政サービスの提供者としての区職員だけでなく、文京区の行政サービスの受給者ともなる区職員がふえることは、行政サービスのモニタリングにもなり、サービス提供に当たって、より適正な方法の検討考案が自分のこととしてより親身に行えるのではないでしょうか。

  区職員の納税者としての側面も見過ごせない点です。

  区職員の平成21年度の住民税納税額約6億8,200万円のうち、約5億7,500万円が区外に納められていますが、区在住の職員がふえることは区職員の住民税として、その分の税金が還元していくことにもなります。まず、区内在居住の職員の数が少ない要因は何か、またそれを解消していく考えはあるのか、お考えをお聞かせください。そして、今まで指摘させていただいた点に対する見解、認識をお聞かせください。

  また、区内居住を強制できないことは十分承知しておりますが、区内在住職員をふやす仕組みとして、通勤費の上限額の引き下げや、住居手当への区内、区外差の設定など誘導策も行うべきではないでしょうか。お伺いします。

  職住近接によりワーク・ライフ・バランスの向上も期待できますし、職員の方にもメリットが大きいと考えます。ぜひ、職員の方が区内に住まわれるよさを庁内に広めていただきたいと思います。

  5つ目に、アカデミー推進部についてお伺いします。

  平成21年度には、アカデミー事業に関する大きな組織改正が行われました。財団法人文京アカデミーとの役割分担の変更はどのような効果をもたらしたでしょうか。その自己評価を伺います。

  新風会としては、このアカデミー推進部の設置によって、文化行政がより戦略的なものになり、文化がさらに振興され、発展し、文京区を愛し、誇りに思う区民をふやしていくことができると考えていました。しかし、その戦略がまだよく見えないのです。

  葛飾区では、葛飾区内を舞台とした小説などの文学作品を公募し、その大賞作品をもとに、区民が出演して、演劇もしくは映画を制作する賞を新設するそうです。平成15年度から続いた区民ミュージカル事業を発展させ、平成22年度からは募集した作品を専門家が脚本化し、役者となる区民を募集。プロの指導によるけいこ、撮影をし、平成24年度の上演、上映を目指すそうです。

  ちょうど、平成22年度より休止が決まった文の京文芸賞ですが、文京区と入れ違いで始まる葛飾の公募文学賞には、きっとこれまで文の京文芸賞に応募されてきた方たちが、応募されるのでしょう。新たに公募文学賞を始める区もある一方で、文京区の文の京文芸賞が休止されることになるのは残念な限りです。

  ところで、平成21年度決算を見ても、事務事業評価を見ても、数字上では平成22年度に文の京文芸賞を休止するに至った経緯が読み取れません。平成21年度の実績のどこが問題で休止に至ったのか、お示しください。

  また、新風会は以前より、文京区の観光振興に資するフィルムコミッションの設立を要望してまいりました。検討をお進めのことと存じますが、どのような状況でしょうか。お伺いします。

  本来なら、新風会が要望してきたフィルムコミッション創設と文の京文芸賞、ひのき舞台化プロジェクトをあわせて実現していただきたかったですが、ちょうど葛飾区が同様の事業を始められると聞き、驚きました。鴎外記念館の建設も計画され、文京区の文化行政がますます充実していく今後、ぜひ文の京文芸賞の復活を要望したいと思いますが、どのような条件が整えば再開が可能になるのか、お考えをお聞かせください。

  葛飾区は、ただ文芸賞を行うだけでなく、受賞作品を活用し、区民を巻き込み、地域の文化活動を活性化する戦略がありましたが、文京区には賞の活用について戦略的ではなかったのではないでしょうか。文化行政には、先を見越した戦略が必要にもかかわらず、ただ単に文の京文芸賞を休止しただけでいいのでしょうか。文京区として、文芸賞が目指していた文の京の文化発信について、今後の戦略をどのようにお考えか、お聞かせください。

  6つ目に、介護保険特別会計についてお伺いします。

  本定例会の他会派の質問に対し、特別養護老人ホームの設置を検討する段階にあるという御発言がありました。

  新風会としても、特養設置を求める高齢者や家族の声を受けとめ、早急に前向きな検討をお願いしたいと思いますが、今回この検討する段階をどの数字をもってお感じになったのかお伺いします。

  もし、文京区内に特養ホームを設置するなら、どのような方策があり得るか、どんな選択肢があり得るのか、それぞれのメリット、デメリットをお聞かせください。

  また、現時点でどの程度の定員増が必要とお考えか、お聞かせください。

  秋には、第5期介護保険事業計画策定のための高齢者実態調査も行われるそうですが、高齢者のニーズが的確に反映されるものにしていただきたいと思います。この調査は、結果によっては民間業者の参入状況も変わってしまい、マーケティング調査の一面もあります。特養に入るべき高齢者が、どのくらい、どのような状態で待機されているのか、はっきりと分かるものにしていただきたいと思います。

  特養をつくれば介護保険料が上がると言われていますが、区としては、特養設置に伴う介護保険料の負担増があるとすれば、どのくらいを見込まれているのか、例えば1ベッドつくれば、幾ら介護保険料が上がると試算されているのかお聞かせください。

  特養設置による介護保険料値上がりがあるのだとしても、それは文京区民の老後の安心をつくるための必要な費用であるといえると考えます。また、受益と負担の関係がきちんと説明されているのが、介護保険料のそういう制度だと思います。負担がふえるからやらないというのではなく、区民の方に率直に負担の必要性を御説明し、理解を求める忍耐強さが大切だと思います。

  社会保障の姿と負担のあり方について、今後は質素でよいから大きな不安を抱かずに済む生活が、公的にきちんと保障され、それに対する応分の負担を納得して受け持っていく方向に進むべきと考えます。負担は少ないほどよいのではなく、納得できる負担は積極的にしようという区民もふえていくと考えます。必要な福祉のために、応分の負担を求めていくには、区民に対して区民が納得いくような制度設計と意思表示及び説明義務を果たしていく必要があると思います。社会保障の姿と負担のあり方についてどうお考えか、御見解をお聞かせください。

  以上で質問を終わります。



<答弁>


○瀧企画政策部長 上田委員の御質問にお答えいたします。

  最初に、特別区財政調整交付金についての幾つかのお尋ねですが、普通交付金の収入見込み額と実際の収入額の差については、目白台運動公園の用地取得に係る財源措置分及び税源移譲に伴う特別区民税の減収分の補てん措置分を見込んでいないことによるものでございます。また、特別交付金につきましては、災害等の特別の財政事情等に交付される特別交付金の性格上、事前に詳細な歳入の見込みがとれることは困難であることから、当初予算では平成20年度と同額の3億円を計上したことによるものでございます。

  次に、財政調整基金残高の評価についてのお尋ねですが、財政調整基金につきましては、経済事情の変動等によって特別区税等の財源が著しく不足する場合に取り崩すことによって、年度間の財源を調整し、長期的な視点から財政の健全な運営を図ることを目的とする基金でございます。

  今後、特別区税の落ち込みによる一般財源の大幅な減収が見込まれており、経常経費を経常収入で充当し切れないときの備えとして有効に活用していく必要がございます。そのため、扶助費を初めとした社会保障関係費の増加に加え、社会情勢の変化に的確に対応しながら、区民のために真に必要な施策について適切に予算化を図っていくためにも、現在高をもって備えとして安心できる規模であるとは考えておりません。

  次に、今後の基金の取り崩しについてのお尋ねですが、今後予想されます歳入の減少幅や、社会保障関係費の増加など、財政需要の増加幅を予測することは困難であるため、財政調整基金の取り崩しの見通しを示すことは難しいものと考えております。

  また、歳入の減少による財源不足が生じる場合にも、取り崩しが最小限となるよう、引き続き行財政改革を進め、事務事業の見直しなど歳出削減を図ることで安定的な財政運営を行ってまいります。

  次に、予算執行についての御質問にお答えいたします。

  初めに、CHEF(シェフ)の4項目の事業についてのお尋ねですが、まず子育て支援策としましては、公立保育園の定員改定や区立幼稚園の全園での預かり保育などを実施し、待機児童の解消を図るなど、安心して子育てできる環境づくりに努めました。

  次に、特におもてなしの心を持って取り組むべき事業としまして、障害者移動支援事業の適用範囲の拡大や災害時要援護者への防災用品などの支給などを実施し、区民ニーズにおこたえしてまいりました。

  次に、環境対策としましては、地球温暖化対策、地域推進対策の策定や文の京クールアースフェアなどを実施し、環境意識の向上を図ってまいりました。

  最後に、FIRST-ONE施策としましては、区立幼稚園におけるグループ保育室の新設、文京初孫講座など、他の自治体では実施していない事業や新たな視点の事業を実施しまして、さらなる区民サービスの向上に努めてまいりました。

  これらの4項目事業につきましては、特に優先度の高い施策として、さらにおもてなしの心を予算全体に配慮し、全庁を挙げて取り組んだところであり、着実に実施できたものと認識しております。

  次に、区長のマニフェストについてのお尋ねですが、区長自らがマニフェストについて、検証、総括し、総合的な評価を行うべきものであることから、現時点でお示しすべきものではないと考えております。しかしながら、区の施策として実効性の検討を行い、事業化を図ってまいりましたので、事業の進捗状況でとらえますと、おおむねの事業が達成もしくは実行事例と認識しております。

  次に、事業見直しの仕組みづくりに関する御質問にお答えいたします。

  まず、検討状況についてのお尋ねですが、現在、対象事業や評価方法などを含めた効果的な方策を検討するために、他自治体の事例等の調査研究を行っているところでございます。

  次に、評価の見直しですが、原則的には各所管が日常的に課題を把握し、事業の見直しの中で検証を行い、改善等の必要性が生じた場合は、その検証結果を予算要求に反映させてまいります。

  次に、委員、御指摘の各事業の評価状況についてのお尋ねですが、各事業は予算編成時において事業の必要性や有効性を厳しく見きわめ、必要に応じて抜本的な見直しを行うなど、スクラップアンドビルドの視点を徹底してまいります。

  事業の見直しの仕組みづくりにつきましては、今後、行財政改革推進計画の検討事項として協議してまいります。



○青山総務部長 次に、区内在住職員数等についてのお尋ねでありますが、区内在住職員が少ない要因は、周辺区と比べまして相対的に家賃等が高いことや、文京区は交通の便がよく、通勤しやすいため、周辺区や近接県に居住する職員が多いということなどが考えられます。

  また、区内在住職員が少ない状況を解消するために、職員に対して区内在住を強制すること、これは難しいというふうに考えています。

  しかしながら、委員、御指摘の点につきましては、区内在住のいかんを問わず、私たち職員が日常の職務遂行の中で、常に区民の方や地域と向き合って行政課題に取り組むことで、御理解を得られると考えております。

  さらに、採用時に実施している区内タウンウオッチングや主任主事就任時に実施しているNPO等との地域活動に参加する研修を通して、自らを奉職する文京区を愛する精神を醸成する場を設けており、今後もこうした取り組みを続けてまいりたいと考えております。

  次に、職員手当等の見直しによる、区内在住職員をふやすための誘導策についてでありますが、職員の給与につきましては、特殊勤務手当などの一部の手当を除き、23区統一の基準に基づき条例で定められております。このため、文京区が独自に誘導策を行うことは困難だというふうに考えております。



○徳田アカデミー推進部長 アカデミーに関する御質問にお答えいたします。

  まず、アカデミーに関する大きな組織改正により、財団法人文京アカデミーとの役割分担の変更はどのような効果をもたらしたのかとのお尋ねですが、平成21年度より区が直接実施する事業と指定管理者が行う事業などを精査することで、それぞれの役割分担をより明確化いたしました。さらに、新たにスポーツ振興課、観光国際担当課等を設置したことで、生涯学習、スポーツ、文化芸術、観光国際交流を含めた総合的な文化行政の推進体制を構築いたしました。このことによって、各種団体との連携の強化が図られ、区民の文化活動、スポーツ活動のすそ野を広げられたものと評価しているところでございます。

  次に、文の京文芸賞に関するお尋ねにお答えいたします。

  まず、休止の理由ですけれども、文の京文芸賞は、その最優秀作品が大手出版社から刊行されるという、他の文学賞にない特徴を持ってございます。そのため、これまで各協賛会社からの多大な協賛以外に、特に、とりわけ出版社から審査委員の選定並びに応募作品のすべて、平成21年度ですと435点、これらの作品にすべて目を通す下読み、最優秀作品を出版するための校正等々の協力を出版社にお願いしておりました。かなりの負担をお願いしてまいりました。事業の性格上、これら協賛なしでこの事業を実施することはできないというふうに考えてございます。

  また、経済情勢が厳しい昨今、民間企業から広く協賛を仰ぐこともきわめて厳しい状況であります。

  これらの事情を勘案し、文の京文芸賞を休止としたものであります。

  次に、文の京文芸賞再開のための条件についてのお尋ねですが、休止の理由に挙げたような出版社を初めとする協賛、協力が、今後得られれば、その時点で改めて検討いたしたいとは存じますが、現在その働きかけを行う考えはございません。

  次に、文の京の発信についての今後の戦略についてのお尋ねですが、区といたしましては、これまでの啄木学級やクリスマスレクチャーを初めとする、各種文化事業によって文の京文京の発信に努めてまいりました。

  平成24年秋には、森鴎外生誕150周年に合わせ、仮称森鴎外記念館のオープンを予定しております。記念館開館を一つの大きな契機として、より一層広く、文の京文京を発信してまいりたいと存じます。

  次に、フィルムコミッションに関するお尋ねですが、フィルムコミッションについては、アカデミー推進計画策定協議会において、メディアの活用による文京区の積極的なPR事項として、現在議論を行っております。あわせて、区といたしましても、フィルムコミッションの実施主体、経費などの事業のあり方や庁内の連絡体制、撮影に関する条件の整理などの検討を進めているところであります。



○佐々木福祉部長 次に、特別養護老人ホームの設置を検討する段階に至ったのはどの数字からかとのお尋ねですが、今後さらに高齢化が進み、介護の必要な高齢者数の増加が予想されることや、入所待機者数がふえていることなどから、特別養護老人ホームの設置について検討が必要な段階に来ているものと認識したものでございます。

  区内に特別養護老人ホームを設置する選択肢と、それぞれのメリット、デメリットについてのお尋ねですが、特別養護老人ホームの整備につきましては、社会福祉法人が一定の補助を受けながら、施設の整備運営を行う民設方式や、施設は区が整備し運営は法人が行う公設方式などがあります。民設方式の場合は、施設運営のノウハウを有する法人が運営を想定した施設整備ができることや、多様なニーズに対し柔軟なサービスを提供することができると考えております。また、公設方式の場合は、区の財政負担が大きくなると考えております。

  次に、現時点でどの程度の定員増が必要かとのお尋ねですが、本年度実施する高齢者実態調査の報告や在宅サービス供給量の動向、今後の人口推計等をもとにして検討してまいります。

  次に、特別養護老人ホームの整備に伴う負担についてですが、100床規模の特養を1施設整備したとすると、65歳以上の被保険者が1人負担する保険料は、入所者の介護度の平均が要介護4の場合、年間約1,600円と見込まれ、1床当たりに換算すると年間約16円となります。

  次に、社会保障の姿と負担のあり方についてを考えているかとのお尋ねですが、我が国の福祉社会は、自助、互助、共助、公助の適切な組み合わせによって形づくられているものであり、その中で社会保障は個人の責任や自助努力では対応しがたい場合に、人々の生活を社会全体に支えるセーフティー機能を果たすことにより、国民の安心感の確保と生活の安定化に不可欠なものとなっていると考えております。

  負担のあり方については、制度を持続可能なものとしていくため、常に事業内容の見直しと効率化を進めながら、財政とのバランス、世代内の公平の確保等の観点を踏まえ、将来の負担水準に関する見通しと道筋を適切に示し、区民の理解と合意を得ていくことが必要と考えております。