平成21年第一回定例会 本会議 一般質問 (平成21年2月23日) | 上田ゆきこのブログ

平成21年第一回定例会 本会議 一般質問 (平成21年2月23日)

新風会の上田由紀子です。平成二十一年第一回定例会に当たり、区長、教育長に質問いたします。

 一、中長期財政見通しについて、二、アカデミー事業について、三、メディアリテラシー教育について、四、高齢者・介護保険事業について、五、子育て支援について、六、災害時の事業継続計画についての大きく六点について質問いたします。区民の疑問と心配に正面からこたえた、誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。

 まず一つ目に、区の中長期財政見通しについてお伺いいたします。

 二十一年度の歳入のうち、特別区税は納税義務者数の増加や前年の所得水準の動向により二・八%の伸びで、実質的な予算規模は〇・七%の増と発表されました。しかし、先月発表された二〇〇九年度都区財調フレームによると、都区財政調整交付金の総額は九千四百七十四億円で、前年度比の減少額が過去最大の六百九十二億円となるなど、早くも昨年からの景気後退の影響が出始めています。景気の先行きが不透明な現状を踏まえ、今後の税収への影響も予想され、区も財政の引き締めが必要と考えていらっしゃると思います。以前より指摘させていただいておりますように、今後も福祉センターや総合体育館などの大型の区内施設の建設などが予定されておりますが、二十二年度以降の五年間の財政運営の中長期的な見通しについて、具体的な数字でお示しいただきたいと思います。それに伴って、予算編成の変更点などがあればお伺いしたいと思います。

 今年度までが期限の新生文京いきいきプランでは、五年の実施期間の財政見通しが記載されていましたが、第三次行財政改革推進計画には具体的な数字が記載されていません。百年に一度の不況と言われる今だからこそ、具体的な数字が必要とされていると思います。第三次行財政改革推進計画も、中長期財政見通しなしには現実的な議論と言えないのではないかと考えます。不確実な動きに対しての御答弁が難しいことは理解しているつもりですが、区民としては具体的な見通しを伺えないと不安です。どうかよろしくお願いいたします。

 二つ目に、アカデミー事業についてお伺いいたします。

 二十一年度の組織改正で、区民部アカデミー推進課をアカデミー推進部として独立させることになり、文京区の文化行政・生涯学習・観光行政がさらに充実されることを期待しています。区長におかれましても、文京区のアカデミー事業をさらに理想に近いものとすべく、意図を持って組織改正を行われたのだと考えますが、もともと行革推進法、地方行革新指針に基づく公益法人改革で一般法人化などをしなければならないはずですが、部の設置に伴って、財団法人文京アカデミーを今後どのようにされるおつもりかお伺いいたします。さらにそれによって、「生涯学習推進計画」及び「文京アカデミー構想」の見直しの方向性も変わると思いますので、文京区の文化行政を今後どう変えていきたいとお考えなのか、お聞かせください。

 アカデミー事業に関して、せっかく部を設置して積極的に取り組んでいかれるわけですので、「文の京」のキャッチコピーにふさわしい日本一の文化行政を目指していただきたいと思いますし、文京区はそれが可能な潜在能力を秘めていると思います。例えば文京シビックホールに関しては、収容人数やアクセス、設備などの点ではサントリーホールや新国立劇場などの都内の一流と言われるホールと余り変わりません。それならば、さらに理想を高く持ち、一流ホールが必須に持つべきものを吟味して、着々と備えていく必要があるのではないでしょうか。

 例えば文京シビックホールのホームページは、サントリーホールなどのホームページに比べて地味なデザインで、写真の印象よりも実際のホールの方がいいような気がいたします。また、新国立劇場などのホールにはキッズコーナーがあり、子育てのストレスでいっぱいになっている子育て中の保護者の方に安心して子供を預けていただき、芸術文化に触れていただく機会を提供する仕組みづくりがなされています。

 シビックセンター内にもふみちゃんのおうちがあり、知っている方は預けることもできますが、文化・芸術活動に参加する際の預かり保育の周知はまだまだされているとは言えないと考えます。もう少し華やかなホームページデザインやホールの写真に改めることや、あらゆる区民に提供する姿勢で預かり保育などとの連携を強めることで、さらにホールのグレードを高めることができるのではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。

 文京シビックホールは、もともと都の中心にあって、四路線直結の文化の発信地となる名ホールを目指して建設されたとお聞きしておりますが、今シビックホールがどこを目指しているのかはっきりしないように感じることがあります。ここで目指すところをもう一度確認すべきときに来ていると考えます。シビックホールがどのようなホールを今後目指していかれるのか、区長のお考えをお聞かせください。

 文京区の文化行政は、地下一階のアートウォールや地下二階のミニコンサートなどの参加型の事業に関して積極的に取り組むなど、すばらしい面もたくさんあると思います。しかし、潜在的な能力を十分生かし切れていないという思いも抑えがたくあります。管理するだけではなく、演者と一緒に芸術・文化をつくり上げていく精神をもっと持ってほしい、そういうことができる体制づくりを求めたいと思います。

 また、本郷図書館鴎外記念室の建てかえについては、ふるさと歴史館などと一緒に観光行政との連携を含めたあり方の検討を行うことが望ましいと考えます。第三次行革の中に盛り込まれた図書館改革においても、生涯学習の拠点としての役割整備の面で連携していくことを望みます。今後、それらの施設とアカデミー推進部との連携をどのようにされるおつもりか、伺います。

 さらに、二十一年度予算で、(仮称)森鴎外記念館の建設のために森鴎外基金が創設されましたが、現在国会で審議中の定額給付金がもし実現すれば、給付金をそのまま寄附してもらう仕組みをつくることはできないでしょうか。JTBなどの民間企業でも給付金を当て込んだ商品の開発がされているようです。自治体も給付金を有効に政策に生かす方法を考えたらいかがかと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。

 三つ目に、メディアリテラシー教育についてお伺いいたします。

 先月、文部科学省から、子供の携帯電話の学校への持ち込みと使用を原則として禁止する旨の通達が出されました。携帯電話の急速な普及などにより、子供たちは携帯電話などを利用して安易にインターネット上のわいせつ・暴力・犯罪などにかかわる有害サイトを、保護者や教師などの周りの大人に知られることなく、いつでもどこでも簡単にインターネットを通じて閲覧することができます。メールによる悪口、個人攻撃、誹謗中傷などから生じる事件、出会い系サイトによる被害、携帯電話への過度の依存による生活習慣の悪化などの問題が指摘されており、大阪府など幾つかの自治体の調査では、携帯電話が学習の妨げになっているというデータまであります。そして、違法・有害サイトにより、簡単に罪悪感なく罪を犯し、犯罪者となり、危険だと認識することなく危険に近寄り被害者となってしまう、従来では考えられないような深刻な事態が子供たちに起こっています。

 こうしたインターネット接続による問題に対して、規制すべきとの声が起こり、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律が昨年六月に成立しました。この法律により、子供たちがインターネットに接続をする際に、事業者に対して有害情報を遮断するフィルタリングソフトの提供が義務化され、東京都青少年の健全な育成に関する条例でも、フィルタリング機能の設定が保護者の責務とされました。

 文京区では、「ITメディアに関する意識・実態調査」が昨年三月にまとめられ、その中で、携帯電話の所持率やインターネットの利用経験が学年が進むにつれてふえていること、小学六年生ごろからインターネットを保護者のいないところで「一人で使うことが多い」こと、小学生で二割、中学二・三年生では四割以上の子供が、知らない人から電話やメールがあったり、チェーンメールなど携帯電話やインターネットで嫌な思いを経験したことがあること、嫌な思いをしたときの対処方法も、学年が進むにつれて「親に相談する」割合が低下していることなどが明らかになりました。

 さらに、保護者への質問では、子供に携帯を持たせた理由は、「いつでも親子で連絡がとれて便利だから」「子供がどこにいるかわかって安心だから」が上位を占めている一方、子供の携帯電話やパソコンの利用状況を約三〇%の家庭で把握できていない実態が浮かび上がり、また、携帯電話やインターネットの利用上のルールを約二一%の家庭で決めていないことや、昨年の調査当時で約六六%の家庭でフィルタリングソフトを利用していないことがわかりました。その理由として、「子供が有害な情報を見ないと思うから」というものが最も多く、さらに三六%の家庭で安全指導を行っていないこともわかりました。しかし、携帯電話やインターネットは保護者が考えている以上に子供たちは利用しており、認識にギャップがあることが明らかになったのです。

 さらに、さきの調査のまとめと考察の中で、携帯電話は個人が携帯するパーソナルメディアであり、親の管理やチェックが難しく、さらにインターネット上には「恣意的な」「不確かな、時に悪質な」情報が数多く存在し、子供たちがそのような情報を簡単に入手できること、情報倫理や利用上のマナー、インターネット利用上の危険性や問題点を教育する重要性、インターネット犯罪に対する具体的な対処法、規範意識などの教育の必要性などが指摘されています。

 この調査を受け、文京区ではどのように携帯電話やインターネットの使用に関して指導していらっしゃるのでしょうか。専門講師や警察と連携を図って、さらに積極的な情報モラルなどのメディアリテラシーを育成する取り組みの充実・強化をしていただきたいと思いますが、その実績と今後の取り組みについて伺います。

 また、家庭における保護者からの子供への指導が最も重要であると考えます。そのため、家庭内で子供への指導を行うよう、保護者に対して働きかけをする啓発活動が何よりも重要であり、対症療法ではなく、親と子のあり方についての重要性を発信することが大切であります。区でもさまざまな対策をとられてきたと思いますが、これまでの取り組み状況並びに今後の対応についてお聞かせください。

 また、全国的に携帯電話のインターネット機能を使ったいじめが深刻化しています。だれが書いたかわからないように、本人が読めるように悪口を書き込めるような機能もあり、中には被害者がみずから命を絶つような悲しい事件も起こっています。文部科学省の青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査報告書によると、ネットいじめの場になりやすいことが指摘されている、いわゆる学校裏サイトは三万八千二百六十個、実に全国の学校数の二倍以上の数が存在するとあります。

 そこでお伺いいたします。これまで区内学校でネットいじめが発生したことがあるのか、学校裏サイトの存在を把握しているのか、どのくらい把握しているのかお聞かせください。

 さらに、携帯電話やインターネットのみならず、従来のマスメディアの報道に対しても、情報化社会の中であふれる情報をいかに正しく読み取るかの力をつける必要があると思います。大量の情報のすべてをうのみにすることなく、正しい情報、必要な情報を取捨選択する力を育てる必要があると考えますが、情報リテラシー教育について、区内学校での現在の取り組み状況と今後の取り組みをお聞かせください。

 四つ目に、高齢者・介護保険事業についてお伺いいたします。

 高齢化社会が進み、慢性的に不足していると言われる介護従事者を確保しようと、介護従事者等の人材確保のための処遇改善に関する法律が昨年通常国会で成立し、「介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策」で、全体で三%アップとなる介護報酬の改定が行われることになりました。さらに、介護従事者の専門性などのキャリアに着目した評価など、さまざまな工夫がされるようですが、しかし、介護従事者の離職を食いとめるには不十分ではないかとの指摘がされているところです。

 介護職員の確保に関しては、各自治体や事業者も新たな人材の育成や有資格者の掘り起こし、職員の定着支援などのさまざまな工夫をしているようです。東京都の高齢者保健福祉計画では、介護職員八千四百人の育成確保を支援する方針を示し、介護人材を確保するため、低所得者の介護関連資格の取得を支援することになりました。

 文京区でも緊急雇用対策事業の一環として、区内介護サービス事業所を対象に、介護インターンシップ制度を行うことになりました。これまで介護に関心のあった方が実際に体験する機会を得ることで介護の仕事に入っていくきっかけになればいいと思います。しかし、介護職の募集に対する応募はなかなか思うように集まらないこともあるようです。区では、介護インターンを募集するに当たって、参加の動機づけをどのようにしていこうと考えていらっしゃいますでしょうか。さらに、職場への定着を図るために、区独自でも介護関連資格の取得の支援や、就職後の研修支援を行ってはどうかと考えますが、お考えをお聞かせください。

 また、今後、介護保険だけでは対応し切れない幅広い介護ニーズに対応するシルバーお助け隊などの取り組みをさらに広げ、地域の方や御近所の方がさりげなく高齢者の生活を手助けできる仕組みをつくっていくことが必要と考えますが、どのように取り組まれていらっしゃるおつもりか、お聞かせください。

 「文の京」ハートフルプラン、文京区地域福祉計画の高齢者・介護保険事業計画案の中に、「新しい地域の支え合いの仕組みを構築するとともに、コーディネート機能を強化する」という文がありますが、具体的にどうするおつもりかお聞かせください。また、第三次行財政改革推進計画で検討されている高齢者サロンが、その地域の助け合い拠点になるのではないかと考えますが、高齢者サロンの整備について具体的にどのようにするか、検討状況を教えてください。

 そもそも区が検討している高齢者サロンとはどのようなものを想定しているのかお聞かせください。特に、空き店舗活用などの提案も以前なされていましたが、空き店舗活用については、どのような課題があるのか、空き店舗となっている事情についての悉皆調査を行うなど実態調査を行い、活用方法を区としても戦略的に取り組んでいく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 また、活動内容については、高齢者施策として、高齢者クラブでの活動や生涯学習館での活動が考えられますが、それ以外にはどのようなものが考えられるでしょうか。高齢者を対象にするだけではなく、地域の課題の解決のための活動も含めるべきではないでしょうか。特に障害者や子育て中の方なども含めた多世代の交流や活動の場にすべきと考えますし、障害者の就労支援、環境問題への対応や商店街の活性化など総合的に行うことにより、高齢者がより生き生きする地域づくりの拠点になると思いますが、いかがでしょうか。

 ファーストワンの高齢者施策があるか、前定例会でも前田幹事長より質問させていただき、区長より「施策を包括的に推進することにより、高齢者にとって住みやすく魅力ある地域づくりを目指す」と御答弁いただきましたが、高齢者サロンの整備などで、今後ぜひ他自治体よりもさらに進んだ施策がなされることを御期待申し上げます。

 五つ目に、子育て支援についてお伺いいたします。

 文京区での幼保一元型モデル園である柳町こどもの森の検証の中間まとめによると、教員の勤務体系や保護者、園児などのあらゆる関係者にかかわる課題を洗い出し、解決に向けて取り組んでいるようですが、他の保育園・幼稚園の幼保一元化への展開にはまだまだかかるようです。二十一年度予算で、区立幼稚園全園での預かり保育が四月から実施されることは評価させていただきたいと存じますが、今後、「幼保一元化」に向けて、さらにステップアップしてほしいと考えます。今後、十六時以降の預かり保育の時間延長や教育の場からの切りかえをいかにし、生活の場としての質の確保をしていくかが問われるのではないかと考えます。柳町でのノウハウを生かし、幼稚園と保育園の壁をなくし、区内すべてにおいて、保育・教育の両面の機能を持つ「文の京」スタンダードの就学前児童の預かり施設を目指していただきたいと考えますが、お考えをお聞かせください。

 昨年十一月の参議院本会議で児童福祉法改正案が可決、成立しましたが、新しい保育ニーズに対応するためには、まだまだ議論しなければならないことが多くあります。平成十八年から文部科学省と厚生労働省が合同で進めている幼保一元化施設である認定こども園もなかなかふえず、課題が指摘されていますが、よく考えてみれば、何十年と続いた縦割り行政を改革せんとする政策が、二、三年やってすぐに結果が出ないことぐらいであきらめてはいけないと思います。内閣府特命担当大臣(少子化対策担当・男女共同参画担当)も設置されていることですし、国にも省をまたいだ政策をできるだけ進めていっていただきたいと思います。文京区も私立幼稚園を担当する部署を、他の就学前児童の預かり施設を担当する部署に統一して、子育て支援施策を一元的に行えるよう改革すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。

 六つ目に、災害時の事業継続計画についてお伺いいたします。

 保健衛生部では、今月、新型インフルエンザ対策マニュアルをまとめ、新型インフルエンザが発生した際の区役所の事業継続計画がつくられました。災害時の対策としては、これまでも進められてきたように、ハード面の整備も必要ですが、それだけではなく、事業継続計画などのソフト面の危機管理の能力を向上させることも重要であると認識されています。区では、これまでも地域防災計画や国民保護計画などの災害時の危機管理マニュアルが策定されましたが、それぞれどのような点を重視して策定され、今回の新型インフルエンザ対策マニュアルはどのような点が重視されているのかお聞かせください。

 今回のマニュアルづくりのノウハウを、今後新たに想定され得る他の危機管理マニュアル策定にも生かすことができるか、できるとすればどのような点か、また、この新型インフルエンザマニュアルも地域継続プランや取引のある民間業者などとの連携も含めて、今後見直しも必要と考えますが、次の段階へのバージョンアップをどのようにしていくおつもりか、お聞かせください。

 また、そのような地域継続プランなど単独の事業継続プランだけではなく、地域の主体が連携し補完し合うプランの策定が、新型インフルエンザ対策のみならず、地域防災や国民保護や、そのほかの危機管理においても必要と考えます。そういう視点でネットワークづくりをどのようにするか、事業継続がどう必要なのか、独居在宅介護者など災害弱者対策などをどうするか、弱者対策の連絡体制をどうするかなど、そのほか危機管理マニュアルにおいても、他自治体や他の地域主体との連携をどうしていくおつもりか、お聞かせください。

 東京都が先月、新型インフルエンザ対策の民間の事業継続プラン策定支援のための相談会を実施しました。中小企業は対策がおくれがちと言われますが、実際の災害時には、関係業者や地域の協力も不可欠であるので、新型インフルエンザ対策のさらなる支援を今後区でも行う必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。

 今後は、区長の標榜される「ファーストワン」の施策を、スピード感を持って展開されることを御期待申し上げております。また、文京区の優秀な職員の皆様ならば、ファーストワンの施策を自信を持って立案し、実行していただけるものと確信いたします。そして、現状に満足することなく、さらに一歩進んだ行政運営をお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。御静聴ありがとうございました。(拍手)

   〔成澤廣修区長「議長、区長」と発言を求む〕

○議長(橋本直和)  成澤廣修区長。

   〔成澤廣修区長登壇〕

○区長(成澤廣修)  上田議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、区の中長期財政見通しについてのお尋ねですが、平成二十二年度までの財政計画については、基本構想実施計画の中でお示ししているところでありますが、今後予想される景気変動の大きさを予測した上で、具体的な数値として財政見通しを立てることは困難であります。したがって、予算編成方針を変更するものではありませんが、今後の社会経済状況の変化を注意深く見ていく必要はあると考えております。

 次に、今回策定する行財政改革推進計画は、財源を捻出することを直接の目標としてございませんので、前回の第二次行財政改革推進計画のように、具体的な数値を明示して財政計画をお示ししてはおりませんが、財政状況が今後厳しさを増すということについて、歳入、歳出の両面からお示ししているところであります。

 次に、アカデミー事業に関する御質問にお答えします。

 まず、公益法人改革のもと、財団法人文京アカデミーを今後どのようにしていくかとのお尋ねですが、御案内のとおり、文化・芸術関連施設の指定管理者につきましては、今後二年間、財団法人文京アカデミーが担ってまいります。財団は、今後、一般法人化していくか公益法人化していくかの選択について、この二年間で検討を行い、財団の一定の方向性を示すことになります。区といたしましては、今後のあり方について、引き続き財団と協議してまいりたいと考えております。

 次に、文京区の文化行政を今後どのように変えていきたいのかとのお尋ねですが、来年度の生涯学習推進計画の改定では、現在の文京区生涯学習推進計画と文京アカデミー構想とをあわせた形で見直しを行っていく予定です。なお、今後の公益法人改革による財団の動向いかんにかかわらず、文京区の文化行政の基本が変わるものではございません。

 次に、シビックホールに関する幾つかの御質問にお答えします。

 まず、ホームページの充実や預かり保育との連携についてのお尋ねですが、現在でも財団ではホームページの充実を図るなどの改善を行っていますが、今後は利用団体からの要望事項への対応など、さらに充実を図っていくよう働きかけていきたいと考えています。

 また、預かり保育につきましては、複合施設であるシビックセンター内での連携を図ることは当然のことと考えており、今後ともさらなるPRを行うよう依頼するとともに、区としても周知に努めてまいりたいと考えております。

 次に、シビックホールがどのようなホールを今後目指していくのかとのお尋ねですが、シビックホールは、これまで文京区の文化・芸術の発信拠点として多くの皆様に御利用いただいています。また、「発信」「育成」「交流」を三つの柱として事業を展開することで、音楽を中心としながら、多様な文化・芸術を提供しています。

 今後、ホール十周年という節目を迎えるに当たり、三つの柱を継続しながらも、新しい企画による事業展開、さらには地域とより一層協働した質の高い事業を展開し、地域文化の核となるホールを目指してまいります。

 次に、奏者と一緒に芸術・文化をつくり上げていく精神を持ち、そのようなことができる体制づくりをとのお尋ねですが、現在、財団法人文京アカデミーでは、提携している東京フィルハーモニーと定期的な打ち合わせのもとに、「響きの森シリーズ」の企画・運営を行うとともに、区民参画によるオペラや演劇など、区民協働による事業についても実施しています。

 今後とも、区といたしましては、財団に対し、可能な限り、奏者との連携を図りながら、文化・芸術活動を推進していくよう働きかけてまいりたいと考えております。

 次に、森鴎外記念館や図書館とアカデミー推進部の連携についてのお尋ねですが、「森鴎外記念館」は、ふるさと歴史館などとあわせて、新設されるアカデミー推進部のもとで一体的管理を行うとともに、本区の文化・観光の拠点として位置づけ、教育委員会が管理する図書館との連携が図れるよう検討してまいります。

 次に、「定額給付金」を有効に生かす方法についてのお尋ねですが、森鴎外記念館設立のための森鴎外基金への寄附につきましては、定額給付金の実施時期にあわせて御案内していくことを今後検討してまいりたいと考えております。さらに、景気対策の一環として、区商店街連合会とも連携し、消費拡大セールの企画などのPRを検討していきたいと存じます。

 次に、情報リテラシー教育に関する保護者への啓発についてのお尋ねですが、文京区青少年問題協議会では、今年度、まず区報特集号により、ITメディアに関する意識・実態調査の結果と取り組みについて区民に周知を図りました。また、携帯電話やパソコン利用について、保護者が家庭において子供に指導を行えるよう、講演会・研修会を実施しております。さらに、子供と保護者用の情報提供用冊子を作成し、三月中に区内の小学四年生から中学三年生の児童・生徒とその保護者に配布する予定で準備を進めております。

 今後とも、学校、PTA、関係機関、地域と連携を図りつつ、保護者に対する啓発を進めてまいります。

 次に、高齢者・介護事業に関する幾つかの御質問にお答えします。

 初めに、介護インターン事業における参加の動機づけと、介護職場への定着を図るための支援についてのお尋ねですが、区としましては、参加希望者にオリエンテーションを実施し、介護現場の仕事ややりがいなどをPRするとともに、気軽に介護体験を行っていただけるよう、有償型の「介護インターンシップ事業」の実施を検討しております。また、職場定着を促すための資格取得や研修に関する費用の支援については、国及び都の制度を活用いただくよう御案内してまいりたいと考えております。

 次に、高齢者の生活を手助けできる仕組みづくりについてのお尋ねですが、高齢者の介護ニーズにこたえていくには、介護保険によるサービス提供に加えて、文京区社会福祉協議会のホームヘルプサービス、シルバー人材センターの家事援助やシルバーお助け隊事業などを状況に応じて利用できることが必要です。区としては、関係機関の間での情報の共有化を図り、相談機能の強化に努めることにより、高齢者の方がこれらのサービスを選択・利用できる仕組みづくりを進めてまいります。

 次に、新しい地域の支え合いの仕組みの構築とコーディネート機能の強化についてのお尋ねですが、文京区ハートフルネットワークでは、高齢者の緊急事態や虐待・徘回などの介護問題にいち早く気づき、速やかに対応できるように、関係協力機関が本人の状態に応じて声掛け等の見守りを行い、必要に応じて地域包括支援センターが緊急対応しています。今後も、関係協力機関の増加等のネットワークの強化を進めてまいります。

 さらに、地域包括支援センターと介護保険サービス事業所や病院の医療ソーシャルワーカーとの定期的な情報交換会を持つ等の連携の強化に努めるとともに、個別のケース対応においても、関係機関、多職種と協働し、それぞれの役割を明確にし、サービスを調整する等のコーディネート機能の充実を図ってまいりたいと考えております。

 次に、高齢者サロンに関する幾つかの御質問にお答えします。

 まず、高齢者サロンの整備についてのお尋ねですが、高齢者サロンは、第三次行財政改革推進計画でお示ししているところでございますが、地域活動センターを中心に区有施設を有効利用し、可能な施設について、順次設置を進めるものでございます。なお、高齢者サロンの内容につきましては、団塊世代を初めとする六十歳前後の方々や元気高齢者の方々の地域貢献等の拠点に活用していただけるよう、現在検討を進めているところでございます。

 次に、商店街店舗の活用等についてのお尋ねですが、高齢者サロンを商店街に設置するに当たっては、高齢者の活動の場としての機能とともに、商店街のさらなる活性化につながるものである必要があります。店舗の状態や賃貸期間・賃貸料の設定等、さまざまな課題がありますが、商店会に個別に御意見を伺いながら、検討を進めてまいりたいと考えております。

 次に、高齢者サロンの活動内容などについてのお尋ねですが、現在、多彩な活動メニューにつき検討を進めているところであり、御指摘の地域の課題解決のための活動もこれらの事業の一つととらえております。また、同時に、元気な高齢者を中心とした地域づくりの拠点としても機能するよう、現在、さまざまな角度から検討を進めているところでございます。

 次に、幼保一元化施設についてのお尋ねですが、現在、柳町こどもの森検証委員会において、柳町こどもの森の三年間を総括し、今後の本区における幼保一元化のあり方について、教育委員会、男女協働子育て支援部、幼稚園及び保護者により検証を行っているところです。

 一方、昨年、内閣府地方分権改革推進委員会による第一次勧告を受け、文部科学省、厚生労働省による「認定こども園制度の普及促進等に関する検討会」が設置され、認定こども園制度の改革について検討されているところであります。そのため、御提案のような新たな施設の検討に当たっては、これらの状況を十分踏まえなければならないと考えております。

 次に、私立幼稚園と児童の預かり施設の所管組織の統一についてのお尋ねですが、子育て支援に係る施策は、保育、教育、福祉、保健衛生など多岐にわたっており、各部署が連携しながら、それぞれの所掌事務に応じて担当しております。私立幼稚園については、各幼稚園の教育方針等に対する区の関与はなく、保護者負担軽減補助や、私立幼稚園連合会への補助等を総務部で担当しているところであり、今後も業務内容を踏まえ、適切に対応してまいります。

 最後に、災害時の事業継続計画に関する幾つかの御質問にお答えします。

 まず、地域防災計画や国民保護計画における職員行動マニュアルの策定に当たり、重視した点についてのお尋ねですが、職員行動マニュアルにつきましては、被災者の救済や避難など、災害時等に具体的に対応する業務について、時間の経過に従い、各職員の役割分担や行動内容などを明確にすることにより、災害時等における職員の対応が適切に行えるよう定めたところでございます。

 次に、新型インフルエンザ対策マニュアルは、どのような点が重視されているのかとのお尋ねですが、新型インフルエンザの発生時には、感染拡大防止の観点から、不要不急の事業などは休止し、また、区民の生命・財産に直結するような事業は、蔓延期においても継続しなくてはなりません。さらに、新型インフルエンザに対応するための新たな業務も発生いたします。そういった事態に、区職員がスムーズに対応できるように、本マニュアルを作成いたしました。

 次に、新型インフルエンザ対策マニュアル作成のノウハウを他の計画策定に生かすことができるかとのお尋ねですが、新型インフルエンザ対策の事業継続計画の作成に当たっては、全庁的な統一方針のもとに、中止・休止すべき事業と継続すべき事業の分離を行い、新型インフルエンザ対応への各課の共通認識を得ることができました。

 今後は、震災時の事業継続計画につきまして、昨年末、都において策定した計画も踏まえ、区としての計画策定に取り組んでまいりますが、その際には、これに加え、災害復旧時の事業の優先順位の考え方なども検討し、計画を策定してまいります。

 次に、新型インフルエンザ対策マニュアルの次の段階へのバージョンアップをどうしていくつもりかとのお尋ねですが、新型インフルエンザはまだ発生していない疾患であり、国や都も今後新たな情報に対応して対策を変更する可能性があります。したがいまして、マニュアルの定期的な修正は必要であり、適宜必要な修正を加えてまいりたいと考えております。また、民間業者との連携につきましては、区民生活対策の項に記載しておりますが、今後、実効性ある対応ができるよう、詳細を詰めてまいりたいと思います。

 次に、地域主体が連携し、補完し合うプランの策定が必要とのお尋ねですが、御指摘のとおり、地域防災や国民保護の観点から、地域主体の連携は重要な課題と認識しております。今後、区としては、震災時の事業継続計画の策定を進めてまいりますが、防災会議等の場を通じて、地域の各主体における事業継続計画の策定と連携を呼びかけるなど、地域における各団体の連携の促進を図ってまいります。

 次に、新型インフルエンザ対策について、中小企業へさらなる支援を区でも行う必要があるとのお尋ねですが、昨年六月には、東京商工会議所文京支部と共催で、「新型インフルエンザの脅威とその対策」と題した講演会を開催いたしました。その後、十月には、東京商工会議所により、「中小企業のための新型インフルエンザ対策ガイドライン」が発行されましたので、連携して区内中小企業への周知・啓発を図ったところです。

 さらに、文京支部においては、現在、新型インフルエンザ対策を含む「中小企業のための災害対応の手引き」を作成中でありますので、今後連携してその周知を図るほか、共催する各種セミナーを通じて、区内中小企業への啓発に努めてまいります。

 なお、教育に関する御質問には、教育長より御答弁申し上げます。

   〔根岸創造教育長「議長、教育長」と発言を求む〕

○議長(橋本直和)  根岸創造教育長。

   〔根岸創造教育長登壇〕

○教育長(根岸創造)  教育に関する御質問にお答えをいたします。

 初めに、情報リテラシー教育についての幾つかの御質問にお答えをいたします。

 急速に進展する情報化社会の中で、子供たちに情報を正しく読み取る力や発信する力を育てていくことはもとより、携帯電話やインターネットに潜む危険性を自覚させる指導を充実することが重要であると考えております。これまでも学校への携帯電話の持ち込みを原則として禁止するほか、総合的な学習の時間、あるいは各教科の調べ学習において、情報の正しい受け取り方や発信の仕方などについて指導を行ってまいりました。

 さらに、御指摘の「ITメディアに関する意識・実態調査」などを踏まえ、家庭に対しましても、携帯電話やインターネットを使用する際にルールを決めることの必要性について、パンフレットを配布するなど啓発に努めているところでございます。

 また、情報モラルの指導力向上のため、教員の自主的な教育研究を奨励するほか、専門家による「情報活用能力」に関する研修や、警察と連携した「ハイテク犯罪防止」に関するセーフティ教室などを実施し、情報リテラシー教育の推進に努めております。

 今後も、新学習指導要領を踏まえ、情報モラルの指導を一層充実するとともに、児童生徒が情報を主体的に活用できる力の育成に努めてまいります。

 次に、学校でのネットいじめの発生と、学校裏サイトの把握についてのお尋ねですが、毎月一回開催している区内小・中学校の生活指導主任研修会において、生活指導上の情報交換を行う際に、特にいじめについては報告を求めております。

 本年度も数件のインターネット掲示板への悪口の書き込み、携帯電話を使った嫌がらせの報告を受けましたが、その都度、家庭や関係機関と連携しながら、解決に向けて指導を行いました。学校裏サイトの存在につきましても、情報が確認でき次第、関係機関と連携し、削除の要請などをしておりますが、今後とも適切に対応してまいります。

   〔上田由紀子議員「議長、六番」と発言を求む〕

○議長(橋本直和)  六番上田由紀子議員。

○上田由紀子議員  自席よりの発言をお許しください。

 区長、教育長、御答弁ありがとうございました。特に中長期財政見通しについては、御答弁にありましたように、厳しさを増す財政状況において、より具体的な見通しを持って財政運営をしていただきたいという思いで質問させていただきましたので、今後、予算委員会等でさらに詳しくお聞かせいただきたいと思います。

 また、アカデミー事業につきましては、組織改正の意図と文化行政の方向性をより具体的にお聞きしたかったとの思いもございますが、今後、特別委員会等で議論を深めてまいりたいと存じます。

 そのほかの問題に関しましても、より前向きな御努力をお願いしたいと存じます。

 ありがとうございました。