スウェーデンを代表する

漫画家である

リーヴ・ストロームクヴィスト作

 

 

『欲望の鏡

つくられた「魅力」と「理想」』

 

 

 

 

ピンクのグラデーションが

ポップでおしゃれな表紙と、

 

「美しさ」をめぐる哲学的コミック!

 

帯のキャッチコピーが

目に留まり、

即買いしました。

 

 

漫画ですが、

読む文字(文章)は

一般的なものより

かなり多めです。

 

 

  • 美しさとSNS
  • 美しさと結婚
  • 美しさと写真家
  • 美しさと老化

 

 

これらをたどる

「美」への切り口が

斬新で、おもしろかった!

 

 

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特に印象に残ったのは、

老化に関する話。

 

 

私自身が、身近に感じて

悩むことも

増えてきたからです。

 

 

もしもだけど、例えばすごく効果の

あるスキンケア商品ができて、それを

使えば、私は92歳になっても、22歳の

時とまったく同じように見えるとする。

じゃあ、その私は本当に《美しい》の

だろうか?

 

 

若さに執着することの

はかなさ。

 

 

本のたとえを拝借すると…

 

92歳で

22歳のときと

同じ服装をしていたら

ある意味、ホラーですよね。

 

 

この一文を読んで

妙に納得しました。

 

 

 

 

 

 

歴史的に有名な

オーストリア皇后

エリザベート(シシィ)の物語も

印象的です。

 

シシィは

びっくりするほど美しく、

見た人々は

狂ったようになったそうです。

 

 

そんなシシィは、

体重が増えることを

極度に恐れていた。

 

 

一時期はソルベとブイヨンのみで生活し、ときには牛乳だけを飲み、生卵と塩を混ぜた

ものだけで命をつないでいたときもあれば、ソースだけを食べていたときもあること

が、資料からわかる。

 

 

さらに、毎日

厳しいトレーニングもしていた。

 

生涯、8時間ぶっとおしで

歩き続けた、と

資料にあるそう。

 

 

…すごい。

ストイックな方ですね。

 

 

 

で、ここからが

衝撃でした。

 

 

 

シシィは年齢を重ねるにつれ、

扇子や傘で

顔を隠すように

なったそうです。

 

 

隠していた顔を

たまたま見てしまった

子どもは、

あっけにとられます。

 

 

彼女の顔はまったくのシワだらけで、後ろに見える山々と同じくらい年を重ねている

ように見えたからだ

 

 

しわしわ、くちゃくちゃの

顔をしたシシィが

どアップで描かれていて、

絵を見た瞬間

ギョッとしました…

 

 

 

 

 

 

SNSの自撮り画像と

投稿についても

言及されていました。

 

 

彼女たちの公的な私が、拍手喝采や愛、

支持をもらうと、もうひとつの私が

人知れずうごめく。承認されない、

愛されない、失敗だ、だめだ、とますます

思ってしまうのだ。

 

 

SNSを通じて

不安になる心理が、

理論立てて

説明されています。

 

 

笑顔で近づいてきて

現代人の心を

コントロールする…

 

深い社会の闇に

つながっていく構図が、

読んでいて

ゾクゾクッとしました。

 

 

 

大なり小なり、

女性なら

だれしも感じたであろう

生きづらさ。

 

 

コミカルに描きつつも、

核心をつく本でした。