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カネも学力も無い、片田舎の宅浪生だった18歳の頃。わたしは狂おしいほどに、学歴が欲しかった。
中卒だった両親は、不安定な雇用と低賃金に喘ぎながらわたしと妹を育てた。
親戚や従兄弟に大学出はいない、高校を出たら働いて欲しい…親にはそう言われていた。それでもわたしは学歴が欲しかった。
難関大学を出れば、職業選択の幅が広がる。大企業に入れば、カネに困ることはないだろう。
そして、素敵な伴侶を得られる…かもしれない。
学歴さえあればそんな未来が待っている。年功序列や終身雇用がずっと続くと、誰もが信じた昭和の末頃。
憧れたキャンパスの門をくぐったわたしは、バブル崩壊を前に辛うじて卒業でき、安定した職に就けた。
借りた学費を10年がかりで完済した頃、守るべき家族ができた。
学歴が人生に下駄を履かせてくれた、そんな時代はとっくに終わってしまったらしい。
だけど。学びに真摯に取り組んだ日々は、変わり続ける時代を生きる底力になってくれる…かもしれない。
あの頃のわたしの歳に近づいたわが子に、なにを言っても説教になるのは寂しいけれど。
親がいなくなっても、逞しく生き抜く力を付けて欲しい。心からそう願っている。
ユッコこと岡田有希子さんは芸能界に入る前、大学進学を勧めた母親にこう応じたといいます。
「学校は今でなくてもいい。ほんとうに勉強がしたくなったとき学校へ行く」
難関大学を目指せる学力があった彼女が、もし芸能活動を休んで受験勉強に励めたなら。あの春、晴れて入学式に臨む笑顔が見れたかもしれない。
そうであって欲しかったです…
photo by yukikostarlight