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時間が矢のように過ぎる師走、運良く座れた早番明けの電車。

ほっとひと息ついて眺めたスマホから、一本の動画を偶然視た。

17歳のユッコこと岡田有希子さんが、車窓から異国の景色をうっとりした表情で眺めている。

 

小さな頃から「アルプスの少女ハイジ」に憧れ、スイスの山々の風景に憧憬の念を抱いていたというユッコさん。そんな彼女のファーストビデオは、スイス各地を列車で巡るというものだった。

クライネ・シャイデック、ローザンヌ、そして6月でも氷点下10度というユングフラウへ…。

 

〝胸一杯に吸い込む空気、風の匂い。何もかもが初めてのはずなのに、なんだかとっても懐かしい気持ちがします。子供の頃から、ハイジに憧れていたせいかしら?〟

 

〝この想い出はいつまでも有希子の心の中で、キラキラと輝き続けることでしょう。でも、わたしの旅は、まだまだこれから!〟

 

人生の旅が終わってしまったユッコさんにとって、スイスでの日々はいまは遠い空の下での、懐かしい想い出になっていることだろう。

けれど、憧れ続けたアルプスを旅する彼女の笑顔は、38年を経てなお、残された映像のなかでキラキラと眩しい輝きを放っている。

 

「…回送電車です、どなたもご乗車にはなれません」

気がつけば電車は既に終点に着いていて、周りにはもう誰もいない。

わたしは懐想から慌てて降り、車庫に向かう電車を見送った。

 

遠く富士の山影を望んだ一枚。この辺からだとめったに見れません。

photo by yukikostarlight