きょうは天気が良く、ひさしぶりに青空をみることができました。
たまたま休日だったわたしは、しかしながらとある事情で数日間外出できなくなり自宅でぼーっと過ごしました。予定はぜんぶキャンセルして、やさぐれて昼寝したり、明るいうちから呑んじゃったり…。
貴重な時間を浪費しつつ考えたことのなかから、ユッコこと岡田有希子さんについて少々。
ユッコさんの4thアルバム「ヴィーナス誕生」にあわせて、当時同じタイトルの書籍が販売されました。その本は本来1986年3月末発行予定のところ、実際は4月に入って数日してから発売されました。しかしそのわずか4日後、ユッコさんが突然空の下からいなくなったことにより、書店から短期間で回収されてしまったのだそうです。
その後時を経て、2002年に復刻されています。付録としてオリジナルにはないピンナップカレンダーが付いており、現在の中古価格は復刻版の方がより高値が付いてるようです。
いまわたしの手元にその本があります。今年になってから入手した1986年版です。
ある遠方の古書店から送ってもらったのですが、36年前の本なのに新品のようにキレイでびっくりしました。回収されて、倉庫で眠っていた本だったのかもしれません。
この本の内容についてここでは細かく触れませんが、三冊一組という分冊形式でした。三冊それぞれ表紙の紙質が異なる、凝ったつくりです。
一冊ごとにテーマがあり、カバー裏にはこんなふうに紹介されています。
★ヴィーナス誕生
ーLP「ヴィーナス誕生」をユキコがオリジナル・イラスト・ブックに!
★making of ヴィーナス誕生
ーユキコのレコーディングを完全取材。スタジオのユキコをフォト・ドキュメント!!
★YUKIKO 700DAYS※
ーユキコが編集長に。デビューから今日までの700日を綴ったプライベート・マガジン!!!
ちなみに、今日ネットで偶然見かけた、アルバム「ヴィーナス誕生」の帯に書かれたこの書籍のPRでは、タイトルは「ブック・オブ・ヴィーナス誕生」となっており、内容は以下のように書かれていました。
①岡田有希子の直筆絵本「ヴィーナス誕生」
②岡田有希子のレコーディングのすべてを密着取材した「メイキング・オブ・ヴィーナス誕生」
③岡田有希子ひとり雑誌「ユッコで行こう」※
ここでわたしは※の分冊タイトルが変更されているのが、気になったのです。
アルバム「ヴィーナス誕生」のリリースは1986年3月21日、書籍の「ヴィーナス誕生」は4月4日に発売されました。わずか2週間しか空いていないのに、どういう経緯で変わったのか?
アルバムでのPRではユッコさんは「ユッコ」だったのに対し、書籍では「ユキコ」になっています。このふたつは、たぶん同じ人が書いたものではないでしょう。
「ユッコで行こう」という表現からは、さあこれから!という前向きな姿勢が読み取れますよね。
一方「YUKIKO 700DAYS」はどうしても、これまでを振り返る懐古的なニュアンスが強いです。
どうして、ここで前を向く表現を使ってあげなかったのかなあ。いまとなっては、彼女が華やかなスポットライトを浴びていたのはわずか700日しかなかったことを強く意識させられてしまう、この案をどうして採用したのか…。〝編集長〟の岡田有希子さんは、どう考えていたのでしょうか。
いまとなっては詮無きことです。でも、わたしにとって無駄な一日だった今日考えたことを、忘れないように書き留めておこうと思いました。備忘録ですし。
三分冊のひとつ「MAKING OF ヴィーナス誕生」の冒頭には、当時の音楽雑誌でみかけた80年代っぽい軽妙な文体で、こう書かれています。
有希子、と呼ばせてくれないかな。
スタッフやファンの男のコたちのように〝ユッコちゃん〟でもいいけれど、なんだかその呼び方はいまの君には失礼なような、そんな気がするんだ。
この本での表記が「ユッコ」ではなく「ユキコ」なのは、このあたりが理由なんでしょうか。
18歳。
ラヴ・ソングが一番美しく歌える年齢(とし)。それも、ちょっぴり背伸びしたやつが、ね。
続けてこう綴った書き手は、ほどなく訪れた彼女のさいごに何を思ったのでしょう。
巻末には〝構成・重松清〟とあります。
のちの直木賞作家・重松清さんが駆け出しの頃、フリーライターとしての初仕事が、まさにこの本だったのだそうです。
早朝の雑木林、落葉の絨毯に寝転んで撮った写真です。このときは開放感でいっぱいだったのですが、なぜか写真から感じる閉塞感…
photo by yukikostarlight
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