老健で過ごす伯母の生きる意味とは。 | ゆききちの代謝異常症姉妹子育てブログ

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先天性代謝異常の娘を持つ母親の日々の出来事、
子育て一般の思いを綴ります!


現在、老健で過ごしている伯母は

次に移る民間の施設も決まり、

その施設へ入居するための健康診断も

済ませました。

老健には、最低限居なければならない

期間があり、次の施設への入所は9月下旬に

なる見通しです。


保証会社に間に入ってもらった事と、

とりあえず次の施設が決まったことで、

私も少し伯母との精神的距離が保てるように

なってきました。


そうなってみて思う事があります。

伯母の現在の日々は何と空虚であることか、と。


楽しみにできる事は全て無くなり、

ただ、生きているだけ。


大好きだった都心へのお出かけも出来ず、

好きなものも食べられず、

会いたい人にも会えない。

だんだんに老いて、パーキンソン病も進み

出来ない事が増えてゆく。


骨折して入院してみて、

一人暮らしが嫌になってしまったので、

施設で暮らすことを決めたけど、

1人ではない安心を得た分、

自由も楽しみも失ったのだと思います。


生きる甲斐もなく、死ねる見込みも立たない。

それはどんなに虚しいものかしらと、

想像します。


人は何のために繁殖するのか。


なかなか大きなテーマです。

種という観点から見れば、他の動植物と

同じで種の存続と繁栄が繁殖の目的でしょう。

全ての生命が繁栄を目指すバランスの中に

この星は運営され変遷を遂げています。


でも、1人の人間個人にとって、繁殖する

意味とは何でしょうか。


私は2人の娘を得て、その娘に産まれながらの

ハンディキャップがあり、2人を生かすために

毎日を過ごしています。

2人を育てていく中で、必要になった知識や

技能があり、それを身につけていくうちに、

保育士の資格が取れ、今、認定心理士の

資格もほぼ手中にあると言ってよい状態です。


娘達の成長を追いかけて、私も今を生きる

ことができ、これからもそうであるでしょう。


悲しいことや辛いことがあっても、

娘達のおかげで、その悲しみや辛さの中に

立ちすくむことはありません。

毎日が澱みなく流れていき、変化してゆく。

その流れや変化に慰められることが

沢山あります。


そして毎日、小さくても、目的があります。

ちゃんと食事治療を続けること。

2人の学習を見守ること。

家庭経営を維持すること。

パパの会社を手伝うこと。


こうして毎日を過ごしているうちに、

私も老いて、出来ない事が増えていくでしょう。

でも、可能な限り、娘達の役に立た自分で

ありたい。

今、私の母がそうしてくれているように。


そして、最後はなるべく迷惑をかけない、

ということを頑張りたい。

何かを我慢する事があっても、それが

娘達のためになると思える事が

目的になって私を支えてくれる気がします。


平たく言うと、生きることを頑張る目的が、

私はある、ということです。


それは、どれほど幸福なことでしょうか。


昨年、私の祖母は103歳の天寿を全う

しました。

最期の20日間は肺炎のため入院しましたが、

その前までは自宅で自分の長女夫婦や曽孫と

暮らしていました。

母は祖母について、生きていてくれるだけで、

心の支えだったと、今も言います。

私にとっても最後まで呆ける事なく、

生きた祖母は誇りです。


そうやって、

互いに生きる目的になり合っている、

これが親子の一つの側面なんだと思います。


つまり、個人が繁殖する意味はここに

あるのではないでしょうか。

自分の人生に意味を見つけるごく自然な

方法として、子を持ち育てていく。

母親というポジションは特にその意味合いが

強いと思います。


伯母はそのパーソナリティからも、

境遇からも、結婚をせず、子供も待たずに

生きて来ました。

そして現在は、ただ、食べて、排泄して、眠る。

そしてそのどれもが、快適ではない、という

状況です。

誰かのためにこの状況を我慢しているのでは

ありません。

残念だけど、伯母の人生に精神的に寄り添って

いる人は今は誰も居ないのです。

それは傍目に恐ろしいことです。

その恐ろしい状況の只中に伯母が置かれている

かと思うと、流石に少し同情します。


結婚せず、子供を持たない事が、必ずしも

伯母のような虚しい老後を過ごす理由には

ならないと思います。

何か生きる意味を見出せる生き方をすれば

良いはずです。


ただ、それは、その事に予め気づいておいて、

ある程度自由の効くうちに、準備が必要な

ように思います。

それも、かなり綿密な準備が必要そうです。

人には、子を持たずとも、必ず親はいるわけ

です。生きていくって、そういうことだと、

子供に教えるのは、きっと親の役目だろうなと、

伯母のことを考えるにつけ、思いました。


写真は、ある日の空。

いろんな種類の雲が一度に出ていて、

面白いなと思って撮りました。

恐ろしく暑かった夏が過ぎようとしている

ことが、この雲で分かります。