最近の内需企業の株式やREITは銀行株の株価に連動している。
12月中にバーゼル銀行監督委員会が、国際業務を行う銀行に対して新しい自己資本比率規制を発表する予定で、繰り延べ税金資産や無形固定資産が除外されるかどうかが焦点になっている。除外されれば、三菱UFJでも自己資本比率規制に引っかかることが懸念されているそうだ。ロイターによると、UBS証券の試算で、三菱UFJと同水準のレベルに自己資本を強化するには三井住友が1.2兆円、みずほは1.8兆円が必要と試算している。もし、新しい自己資本比率規制が実施されると決定するれば、今後増資ラッシュはさけられないしメガバンクも大企業やREITに対して貸し渋りせざる得ない。

 しかし、日本の銀行は、欧米の銀行と違って、時価での資産評価で決算を行っている。欧米の銀行はリーマンショック時に取得時の簿価での資産評価に切り替えている。つまり、日本の銀行は健全性が高いのにも関わらず株価が下落し窮地に追い込まれている。本来であれば国が対策を施すべきであるが、肝心の亀井大臣は問題を理解していないと見られる発言を繰り返し、逆に銀行株を下落させている。しかも、マスコミから批判されても自分の非を認めようともしない。

 このまま銀行の自己資本比率規制問題を放置すれば、市場に膨大な増資懸念が広がり12月に株価は急落する恐れががある。逆に新しい自己資本比率規制が日本に配慮された内容になれば、株価は急上昇して景気回復への道を鮮明にすると考えられる。逆に新しい自己資本比率規制が日本にとって厳しいものとなれば、日本経済は長期低迷し、景気回復のチャンスを逃し可能性がある。

 しかし、肝心の鳩山首相は、日米首脳会談で普天間基地問題で、最大の同盟国であるアメリカのオバマ大統領を簡単に裏切り、各国に根回し等をしていない可能性が高く、日本に配慮したものである見込みは少ない。世界の株価が下落に転じた場合、日本の株式市場は連動して暴落すると見られる。銀行の自己資本比率は低迷し、新たな日本初の金融危機が発生する可能性さえ出て来てしまう。そういう意味では、12月に発表される銀行の新しい自己資本比率規制は、当面の日本経済の運命を決めることになるかもしれない。