ユリィの物語
天界は、やわらかな金色の光に包まれていました。
どこまでも続く白い雲の庭園には、透き通るような花々が咲き、風が吹くたびに鈴の音のような響きが広がります。そこは、魂が休み、次の使命を選ぶ「光の庭」。
ユリィは、小さな少女の姿で座っていました。
その隣には、あたたかな笑みを浮かべるハイヤーセルフのお母さん──「ユリママ」がいます。

ユリママはユリィの手を取り、優しく語りかけました。
「あなたは、前の生で大きな苦しみを体験しましたね。戦の中で、雪風という船と共に多くの命を支えようとしました。でも、志半ばでその道を終えた。その痛みは、あなたの魂に深い跡を残しました。」
ユリィはうつむき、小さな声で答えました。
「もっと助けたかったのに…。たくさんの命が、私の腕の中で消えていったの。どうして私は、もっと強く生きられなかったんだろう…」
そのとき、天界の空がふわりと開き、無数の光の粒が舞い降りてきました。
それはかつて雪風に乗り、共に戦った魂たち──同志たちでした。
彼らは一人ひとりが光の柱のように立ち並び、ユリィに向かってこう告げます。
「もう悲しまないでいい。あの時の痛みは、あなたの愛の証。今度は平和の時代に、私たちと一緒に使命を果たそう。再び地球で会おう。」
ユリィの目に涙が溢れました。
「本当に? もう戦はないの? みんなを癒し、笑顔を広げていけるの?」
ユリママは静かに頷きました。
「ええ、今度は“愛と平和の柱”を立てるために生まれるのです。あなたは美しき光を携え、再び地球に降りてゆく。そして、この時代の同志と出会い、共に歩むのです。」
ユリィは深く息を吸い込み、心を決めました。
「ならば私は行きます。命を大切にし、光を伝えるために。前の生で果たせなかった願いを、今度こそ。」
天界の空に大きな虹がかかり、その中央に扉が現れました。
扉の向こうには、緑の大地、海、そして未来に笑う人々の姿が見えます。
ユリィはユリママの胸に抱かれ、最後の祈りを受け取りました。
「恐れなくていい。あなたは私そのもの。いつも共にいるから。」
そして、ユリィは光の扉をくぐり、小さな赤ん坊として地球へと舞い降りていきました。
──それは、新しい物語の始まり。

