22..ユキト月の羅針盤
「……でも俺は、もう前みたいには戻れない気がする」ミオは、ユキトを見た。その目は、夜のときよりもやさしい。「戻らなくていい」「前に進む必要もない」「ただ――気づてしまっただけ」そのとき、強い突風が吹いた。フェンスがガタン、と鳴る。空の向こうで、雲が一瞬だけ渦を巻いた。ユキトの胸が、きゅっとなる。(……見てる)誰かが。「スサノオ?」ミオは、 首を振った。「まだ完全じゃない」「でも……起きたことは、忘れてない」風が、少しだけ向きを変えた。荒さはない。ただ、力がある。ユキトは、ポケットの中の羅針盤を握った。「……次は、誰だと思う?」ミオは少し考えてから答えた。「光の方」「でも、直接は来ない」「隠れるのが得意だから」ユキトは、なんとなくわかった。「……アマテラス?」ミオは、はっきりうなずいた。続く〜