一人旅の良さは、考える時間がたくさんできることだ。その【考える】は、日常に追われているときの考えるよりもっと深いところを這い回る。ずるずると動きながら、ゆっくりと自分の強いところ、弱いところに向き合わせてくれる。見ろ、というのでなく、見たらいいじゃない、という感じ。



だから一人旅が好きだし、個人的に、自分にはたまに必要なものなのだと感じている。



ちょっとした日常のコミュニケーションの中で気づくこともあれば、素晴らしい絵の前で、ただただ自然の中で、観た芝居の中で、街並みの中で、鼻歌の中で、ふらふら歩いていたら、閉まった窓から一人顔を見せていた幼い子がこちらに微笑みかけて、それに手を振ったら、振り返してくれたことからも。



今回の旅では、思ったこと、考えたことが多すぎるくらいあり、それらはまだひとつの道にまとまってはいない。いま現在、ただただ、ゆっくり噛み締めながら消化している。



街の在り方や文化のこと、国の政策についてはもちろんだし、出会ったひとのことも考える。書く人間だから、それらはどこかに形で表れるかもしれない。表れないかもしれない。どちらでもいいから、もっと自分に浸透させていきたい。