喜劇な日々
  • 12Mar
    • 基準点

      ネガティブな発言をするなら、ここんとこ実に様々なことに頭も身体も行き来し、とても疲れている。疲れているからこそ、このように文章をつづる日があってもいいのではないかと思う。わたしは器用なほうではないから、全てのことを一度にできることはない。わたしは情に厚いほうではないから、全てのひとの気持ちを汲み取ったり同じように感じ入ったりできることはない。わたしにできることは、ただ、『ものをつくる』ことだ。ものを真摯につくることをないがしろにしたら、それはわたしではない。そのような拠り所を持つようになってから、その基準点を持って生きられるようになり、昔よりほんのちょっとだけマシになったような気がする。でも、それはほんのちょっとだけだ。成長したかという意味で問うなら、まったく自信がない。「わたしは昔より成長した」と自分で言えるひとがうらやましい。わたしには判断ができないし、むしろダメになった部分だってあるだろう。ただ、これだけは言える。進化あるいは深化したいとはいつ何時でも思っている。それは自信を持って言える。これは100歳になっても思い続けるだろう。これを失うという行為は、『ものをつくる』という基準点を持てなくなるのと同様に、自分が自分を保てなくなる行為だと思う。わたしはけっして思いやりのある優しい人間ではない。たまに勘違いされるが、本当にまったく違う。ただ、『ものをつくる』ことに基準点を持つようになってから、どんなに嫌なこともどんなに面倒なこともどんなに苦しいことも、『面白がれる』ようになった。それが優しさと映る場合もあるのだろう。そして、その基準点を持てたこと、持てたきっかけ、持てた経緯、すべてに感謝している。

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  • 04Mar
    • 切り替える

      さて、公演のバタバタでちょっと間が空きました。今日は劇団あおきりみかん『ワード・ロープ』の休演日。ここぞとばかりに、溜まっている仕事をせっせと片付けています。その仕事の中に一つ書き物があるのですが、これがまた頭をあちこちに使うものでして、今は公演中につき脳が上手くそちらに切り替わらなくて、ちょっと苦戦しています。わたしは割と【切り替え】というやつが得意な人間で、その時間、と決めたらそれが駅のホームの待ち時間だろうとツアー中の酒盛りの傍らだろうと、いつでもどこでもホンが書けるタイプなのですが、今回は結構『ワード・ロープ』に脳を持って行かれます。そういう時もあると思いつつ、甘えたことを言っている場合でもないので、なんとか「脳よ、切り替われ」と念じながら、PCに向かっています。その書き物は、戯曲ではなくて短い小説で、最初のうちは勢いよく書いていたのですが、ちょっと前から何だか進みが悪くなりました。そういう時、原因はだいたい、だいぶ前の箇所にあるので、前の方から戻ってちまちま書き直している状態です。それでようやく「あ、ここだ。ここが悪いんだ」という箇所を見つけたので、ここからなんとか進めそうな気がします。って、自分の頭を整理するためにブログを書いています。そんな日もあるさ。いまの自分にかけたい言葉。「お前はよくやってる。けど逃げちゃダメだ」あー。温泉行きたい。こちら、いただいた差し入れたち。感謝。

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  • 26Feb
    • 無駄を愛でる

      無駄なものなんてない。という考え方と、無駄なものは必要。という考え方は、同じようでいて違う気がする。わたしは後者を推奨する人間だ。確かに世の中に無駄と呼ばれるものはある。無駄な時間。無駄な努力。無駄な会話。無駄な関係。無駄な買い物。無駄な飲み会。無駄な自己嫌悪。無駄な遠回り。無駄は、無駄として扱われる場合が多い。なに言ってんだ、当たり前のことだ。無駄なんだから。けれど、無駄が必要な時もある。無駄な時間があったから自分を保てた。無駄に努力したおかげで物事に動じない。無駄に話したおかげで、別のことを閃いた。無駄に遠回りしたおかげで思わぬ店に出会った。つまりそれは結果、『この世に無駄なものなんてない』ってことなんだろうが、なんだかわたしは、その言い回しが【後付け】のような気がして嫌なのだ。その時その瞬間には、『これは無駄かもしれないけど、まぁやってみよう』と思ってやってみるからこそ、のちのち【無駄じゃなくなる】ような気がするのだ。この【無駄かもしれないけどやってみる】精神や【無駄だと知りつつも面白いのでやる】精神が、この世の無駄を結果的に必要なものにする気がするのだ。だから無駄は必要。【必要無駄】という言葉もあるっぽい。ディオやジョルノが『無駄無駄無駄無駄ァ!』と無駄に言って相手を倒すのも(ある時は7ページにもわたる)、無駄が無駄に多いなと分かっててそれでもやってるからこそ、のちのち、素敵に生きてくる気がするのだ。無駄に無駄を書き過ぎた。無駄を愛する人間でいたい。これは無駄な糖分。最高に美味い。

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  • 24Feb
    • 書く

      わたしが劇作をやり始めたのは、大学4年の時だ。正確には大学2年の時に、一緒に弁当屋でバイトしていた親友のSさんが「高校の演劇部の友だちと芝居をやる」と言ったので短編戯曲を書いたのが初めてだし、もっと言うなら中学2年生の時の『3年生を送る会』で書いたクラス全員が出演する劇の台本を書いたのが初めての初めてだ。国語の時間こそこそと書いた。もともと「書く」のは好きだったが、まさかそれを生業として、こんなに長くやることになるとは思っていなかった。そしてわたしは、ものを書くのが全般的に好きなのであり、別に戯曲に特化しているわけでもなかった。書くのは体力のいる作業だ。気力知力はもちろんのこと体力がいる。特に長編はホントに体力がいる。持久走大会みたいなもんだ。そう考えると、喘息持ちのせいで持久走大会のビリから二番目だったわたしが、よくこの持久走大会に耐えながら生き続けているなぁと思う。なぜ体力がいるのか。それは脳をフル回転させるのはもちろんのこと、同じこと色んな角度から飽くことなく考え続け、それを台詞として具現化していくという作業が、思っているより【体力】を搾り取られるだからだ。その体力は普通の体力とはちょっと違う、【耐力】と呼んでもいい。「え、でもなんか机の前でじっと考えてるイメージあるんですけど」と思ったら大間違い。内面でとんでもない持久走を繰り広げている。実際、物理的に動くひともいる。むろん劇作家さんによって書くスタイルは多種多様あれど、「脳内舞台イメトレ」や「登場人物の動かしイメトレ」で体力を使うし、そもそも「誰かの台詞を書く」という作業が存分に体力を使うのだと思う。だから書くのはとても辛いが、その分【ライターズ・ハイ】も生まれたりする。上手いことそうなった場合、一人で「ニヒヒウフフ」するPCの前は、なかなか楽しい。上手いことそうなった場合、なんだか目の前の戯曲と自分しか世界にいないように感じる時がある。でもそうなるまでの過程は本当に辛い。でも書いてしまう。でも辛い。でも書いてしまう。でも辛い。でもそうだ。これの繰り返しだ。

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  • 22Feb
    • 【焦る】と【追い込む】

      焦ると、たいてい失敗する。焦ってはいけない、という言葉を昔から自分の心に刻んでいる。いわゆる「急がば回れ」だ。焦ると、文字を一個飛ばす。「ありがとう」と書きたかったのに、「ありがう」になっている。結局、書き直す羽目になる。焦ると、階段を一個飛ばす。そのおかげで踏み外して、足をぐねっとやってしまったことがある。二度ほどある。(写真は、なんとか踏み外さなかったシャーロック・ホームズ博物館の階段)焦ると、服を裏表間違える。いや、わたしの場合、焦らなくても間違えるのだけど。焦ると、式典で受賞記念コインを転がす。芸術創造賞というありがたい賞の授賞式で、焦って前に出たため。額にはまっていたコインがぽろっと取れて、おむすびコロコロのように転がった。焦ると、人に寛容でいられなくなる。他人に無駄に厳しくなる。客観的厳しさと主観的厳しさはまったく違う。自分の焦りを、人にぶつけてはダメだ。だけど焦るのと追い込むのは違う。自分をわざと「追い込む」時がある。例えば【ホン書き】。時間を勝手に区切って、ここまでに何ページまで書くと決める。意外といいアイディアが出る。例えば【期限を決めた挑戦】。昔、30歳までに続けられる見込みがなければ劇団をやめると決めていた。これはみんなで話し合って決めた。その続けられる見込みには、条件があった。1 賞を取ること2 名古屋で1000人動員すること3 自分たちが納得できる芝居をつくる、もしくはつくることの出来る可能性を見出すことというもの。これをクリアして劇団は20年続くことになった。昔から飽きっぽいし、自分を追い込まないと自分に厳しくなれない性分だ。だから【追い込む】のはありだ。だけど【焦る】のはダメだ。この線引きって難しいなぁと思いながら、今日も焦らずに自分を追い込む。

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  • 20Feb
    • 20年経つ

      次の公演で劇団が20周年を迎えるのだ。ひとが一人、成人する年数だ。わたしは、芝居がそんなに好きなわけじゃない。だって、優雅に生きたいのだ。芝居ってやつは、まったく優雅ではない。ほこりっぽいところで汗だくになって稽古。ツアーに行ったら、濃い共同生活。時には、ひととぶつからなければならず。生活はすさみ、コンビニに行きがちになり。好きなテレビや映画を観る時間が削られ。好きな小説を読もうとしても疲れて寝てしまい。芝居以外の友だちと疎遠になり。日常生活のすべてが、ホンのネタに繋がる。ちっとも優雅じゃない。でも20年やってきた。好きじゃないのに。デパ地下行きたいし。服買いたいし。おしゃれカフェに居続けたいし。旅行三昧したい。ちっとも優雅じゃない。それどころか、デパ地下行っても面白いひとを見つけ、服買いに行っても面白いひとを見つけ、おしゃれカフェ行っても隣の席のカップルのおしゃれじゃない話題に心を奪われ、旅行したらネタばかりを拾う。そんなんで20年やってきた。好きじゃないのに。優雅に行きたいのに。まあ。もしかしたら好きじゃないから20年続いたのかもしれない。好き過ぎたらそれで満足して、こんなに続かなかったのかもしれない。好きじゃないから、全精力を傾けてやっつけようとして、時間を忘れて没頭してきたのかもしれない。そんなこんなで、20年。あっという間でした。これからの20年。ま、優雅じゃないだろうな。ああ。デパ地下に入り浸りたい。

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  • 18Feb
    • 再開する

      長らく放置していたこのブログ。とうとう、再開します。しかしびっくりしたわ。読み返したら、文化庁新進芸術家海外研修・ロンドン編の最大のクライマックス直前で終わってるじゃないか。けれどじっくり読みながら思い出して、研修が本当に充実したものだったのだと再確認。これはHyde Park。研修最大のクライマックスとは、もちろん【演出】としてのリハーサルからの発表の一日でありまして。こちら発表した部屋。一面、A4用紙。これについては研修報告書にはしっかり書いたんですが、それで満足しちまったのかブログが止まりまして。ですが、まったく書かずに終わるのもちょっとあれなので。再開したついでにいずれ表記したいと思います。さて。ロンドン研修に行ってからもうすぐ一年。よかったと思うことがいくつもある。まず、演出が好きになったこと。ホン書きは昔から好きだったのだが、演出が好きとは言えなかった。ところが研修を終えてから「うん、案外好きだ」と言えるように。劇団を20年もやってきた自分からすれば、大いなる進歩だ。それまで一度も好きだなんて言えなかったのだから。見知らぬ土地で自分の仕事を客観的に振り返れたのが大きかったような気がする。そして、とにかく人に恵まれたおかげだ。次に、距離感覚がバカになったこと。帰ってきてからというもの、東京だろうが九州だろうが、国内の遠出に抵抗がなくなった。「あ。行きますよ」みたいな感じで行けるようになった。日本からロンドンまで飛行機で12時間半。それに比べたらさ、みたいな感じです。人間って強くなるんだね。そして、英語にすこーーーしだけ自信がついたこと。いや、全然喋れないし、間違いだらけなんですよ。だけどね、「間違ったから何だ!」みたいな強さが身につきまして。おかげで今年2月に可児市で演出した【多文化共生プロジェクト】の時もそのマインドが役に立った。このプロジェクトについてもいずれ記すつもり。あと、本当にやりたいことを見つめ直す時間が取れたこと。あの環境だからこそ、自分のこれまでを反芻することが出来た。実はわたし、今年8月の公演後から個人的に劇団を2年間休むのだ。もともとロンドンに行く前から休むことは決めていた。しかし「どう休む」とか「なぜ休む」とか、そういうことについてはあまり掘り下げられていなかった。整理するためには、ちょうど良いタイミングだったのだろう。もちろん昨年7月から12月まで、劇団のみんなとじっくり話し合うことが出来たのも、とても大きい。ああ、他にも書きたいことは沢山あるのだけど。ようやくここを再開したわけだし、焦らずちまちま記して行くつもり。わたしは書くことで自分を保てるのだと、これもまた最近気づいた。逆に言えば、書いてなきゃただのダメダメなやつだってこと。あ。もう一つ。専らコーヒー党だったわたくしですが。日本に帰ってからコーヒーの頻度が減りまして。二回に一回の割合で、紅茶を嗜むようになりました。はい、見事なかぶれ具合です。ベタすぎてツッコミどころ満載です。シャーロック・ホームズ気取りもいいところです。スコーンだってクロテッド・クリームで食べちゃいますよ。アガサ・クリスティー気取りもいいところです。これからここには【日々のよしなしごと】を記すと同時に、短編作品なんかも書いていけたらいいかもなぁなんて思ってます。書くことについて、もっともっと自由に。

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  • 05Apr
    • 雑記のようなもの(研修編14)

      3月21日(水)いよいよ明日が本番なので、この日も準備に明け暮れる。プレイリーディングで使用する台本と同様の、A4サイズの用紙を床一面に敷き詰めようと決めたので、宿の管理人さんに近所の文房具屋を教えて貰う。『Ryman』という色んな所にあるお店。けっこう品数豊富。行ってみたら他にもあれもこれもと思いついて、明日手伝って貰う方々に、あれないですか、これないですか、とメールしまくる。必要なものを買い終え、なんとなくいい音色のする鐘が欲しいかも…と思い、ピカデリーサーカスからソーホーのあたりをうろうろと彷徨う。色々店はあるのだが、それっぽいものは売ってない。風鈴でもいいような気がしてジャパンセンターも見てみるが、さすがに置いてなかった。Aさんが「子どものおもちゃみたいな鈴はあるよ」と返信をくれたので、持ってきてくださいとお願いする。ギリギリまで探して夜はNottinghill gateへ。ご招待いただきPRINT ROOMで『COMET』を観る。とても面白かった。わたしにとってはこれまであまり観たことのないタイプのもの。そういうものを観ると創造力を刺激される。終演後、劇場の地下のバーで行われたパーティで、明日のことなどを少し相談。帰宅後はずっと、台本を読んで妄想を膨らましたり、英語でこれはどうやって伝えるんだと調べたり。結局、あまり寝られず。気づいたら朝。

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  • 03Apr
    • 雑記のようなもの(本屋とか街とか)

      ロンドンの本屋さん、とても居心地がいい。とくにピカデリーサーカスから歩いてすぐの所にある『Waterstones』が、とても好きだ。本がとにかく沢山揃っていて充実している。演劇関係の本も種類があり過ぎてどれにするか迷う。ちょっと読むためのソファもテーブルも置いてあるし、そこで打ち合わせしている人もいるし、地下にあるカフェも居心地がいい。雑貨屋さんも物が豊富で充実している。おしゃれな本の装丁を観ているだけでも楽しいし、日本人作家の本を見つけると嬉しい。Sさんに教えて貰ったボンドストリートから歩いてちょっと行った所にある小さな本屋さんは、本のセレクトが面白い。店内はまるで映画にでも出てきそうな吹き抜けになっていて、可愛らしい。ロンドンで買ったのは前述の『CALL ME BY YOUR NAME』と先日ミュージカルを観た『Matilda』、それからコナン・ドイルのシャーロックホームズシリーズを2冊。好きな本なら英語でも頑張って読めそうな気がしたからだ。もし時間があるなら本屋巡りをしたいと思ったがそこまでの時間はなかった。それからとにかくよく歩いた。いや日本でもけっこう歩く方だとは思っている。が、それよりも歩いた歩いた。駅と駅の間隔が近いから歩こうと思えば歩けるし、ひとたび公園に入ったら広いので歩きまくる。街並みを見ているとゆっくり歩きたい気持ちになってくる。家の形や店のディスプレイなどを見ながら歩いていると、結構沢山歩いたことも忘れてしまう。そういえば雨の時、傘を差すひとはそこまでいない。ロンドンの雨は小降りですぐ止んだりするので、みなフード付きのコートを着ている。何故フード付きのコートを持ってこなかったのかと後悔したくらいだ。そしてやっぱり紳士の街だと感じる。ドアは開けてくれるし、電車が来たら女性に先に乗るよう譲ってくれる。もちろんこちらも「ありがとうございます」と返す。…紳士、素晴らしいよ。面白かったのは、美術館のある駅の地下鉄改札前の階段が人であふれ、詰まっていたので、もしかしてなにか事件でもあったのかな、とか、休みだからこの先もこの混みようのなのかな、とか思っていたら、そうではなく、階段の所が狭くて詰まっていただけだった。それなのに祭りのような混みよう。それなのに誰も文句のある感じじゃない。それなのに誰も追い越していこうとしない。なんなら前がまったく進まなくなっても気にしていない。その階段を過ぎたら、案の定全然混んでなかった。日本との違いを感じるのと同時に、街に癒されている感じがした。

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    • 雑記のようなもの(研修編13)

      3月19日(月)劇団から無事に東京公演を終えたとの報告あり。ほんとによかった。お疲れ様でした。劇団の本公演ツアーにまるまる居なかったことは今まで無かったので、ちょっとドキドキしていたが、劇団員、スタッフの皆様、現地で手伝ってくださった皆様、力をあわせて素敵な公演にしてくれたようだ。ありがたい。わたしも頑張ろう。午前はメールなどをひたすらやり取り。昼から夕方まで前述の大学卒業公演、二番目の演目のリハを拝見。前回と全然雰囲気が違う。芝居の内容もそうだが、学生の在り方も演出の仕方もなにもかも違う。ある意味勉強になった。そのあと来たるプレイリーディングの準備など。夜、近所のスーパーのレジに並んでいたら、ふと嫌な予感がした。わたしが水を買おうとレジに向かうと、アジア系の女性が出口の方じゃなく入口の列を戻ってきたからである。もちろんいるのはわたし。これは…もしや…「Are you Chinese?」そう聞かれたので、いやわたしはジャパニーズですと答えると、女性はがっかりしたようだった。そうか中国の人に聞きたいことがあったんだ、と申し訳ない気持ちになったが、嫌な予感が的中しなかったことにほっとしてレジに再び向かおうとすると、その女性はさらにこう聞いたのだ。「チャイナタウンにはどうやって行ったらいい?」やっぱりいいいいい!そして結局日本人でも聞くんかい!これで3度目の道聞かれ。やはり2度あることは3度あった。偶然にもこの間、チャイナタウンに行ったばかりだったわたしは、彼女にチャイナタウンの行き方を教えた。女性は嬉しそうに去っていった。ええい、こうなったら。4度目も来るなら来なさい!3月20日(火)一日、プレイリーディング準備日にした。台本を用意したり、プログラム校正したり、演出考えたり、必要なものを買いに行ったり。で、ようやく近所のハイドパークに行く。数々の映画やドラマに登場している公園。キングスマン・ゴールデンサークルの冒頭でタクシーが入っていった場所だ。天気が良くて心地よかったので、ベンチに座りコーヒーを飲みながら演出について考える。湖もあり、広くて気持ちがいい。犬の声や家族の笑い声がする中、翻訳台本と日本語の台本を比べ読みしていたら、色々とアイディアが浮かんできた。こうしてのんびり作品について考えるのって大事だ。日本でもこのような時間をしっかりつくるべきだと改めて思う。日本での自分の過密スケジュールを思い返す。

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    • 雑記のようなもの(研修編12)

      3月16日(金)この数日ちょっと頑張りすぎて、ちょっと疲れた模様。今日はとにかく休むと心に決める。研修生活、それは自己管理の生活。自分で休むと決めないと毎日なにかしらやってしまう。午前はいつものカフェでゆっくりして、午後はピカデリーサーカスの映画館へ。どうしても観たかった『CALL ME BY YOUR NAME』を観る。とても居心地のいい映画館。チケット売り場のおねえさん、優しくて面白い。映画はとても良かったので、この近くの本屋で原作小説も買った。その後、今日は日本食でも食べてみるか、とそこから歩いてすぐのJapan centreへ。色々売ってたのだが…まあまあ高い。カップ焼きそばが£3.75は高いなぁ。インスタントラーメンと舞茸を購入。家に残っている野菜と一緒に野菜ラーメンでも作ろう。3月17日(土)また雪がちらつく。どうしたロンドン。とっても寒い。寒すぎる。14時30分からNationai theatreで『The Great Wave』を観る。北朝鮮拉致事件を扱ったもの。現在進行形の大きな問題だが、イギリスではあまり知られていないことらしい。ほとんどは英語で進むが、たまに日本語も出て来る。前述のAさんは、このカンパニーで日本語を少し指導したとのこと。Aさんとこのカンパニーのアシスタントディレクターのご厚意で今回観られることに。終わった後、これを書いた作家のフランシスと話す機会を貰えた。自分なりに感想などを話したが、上手くは伝えられたかは自信なし。でも直接話したり、話が聞けたりして良かった。3月18日(日)Aさんに誘われ、朝11時から有名なバービカンセンター(ヨーロッパ最大の文化施設)で子ども向けのワークショップを見学することに。Aさんのお子さんが参加するそうで、それを観るのも楽しみだ。ところが宿を早く出たにもかかわらず、遠めの駅で降りてしまったせいで、たどり着けない…。マップが指している通りに行くと…道がない。そんなバカな。川の向こうに建物は見えているのに!そんなわけで回りに回り道して大幅に遅刻。入れて貰おうと受付の方に話しかけると、始まってしまったら途中では入れないらしい。しかもこの日こども向けワークショップは沢山あり、どれかがいまいち分からない。だが受付のblackのお兄さんはとても優しく対応してくれた。申し訳なさそうに「日本語は今勉強しているんだけどまだちょっとしか分からないんだ、本当にごめん」と英語で謝られた。その後、お兄さんが沖縄に行った話とかを聞きつつ、コーヒーを飲んで待つ。Aさんとそのお子さんと合流!さっきま参加していたのは粘土細工するものだったらしい。いざアクティングのワークショップへ。このワークショップ、教えているのはバービカンの俳優さんだから演技も教え方もしっかりしている。Aさんのお子さんMくん、とても上手だったし可愛かった。それからいくつかのワークショップに参加し、バービカンを去る。夜はやはりAさんのおかげでこちらも有名なロイヤルアルバートホールへ。宿から歩いて行ける距離に存在していたことに初めて気づいた。早く着いたので、Sさんとクレープ屋さんに。わたしが頼んだのはTraditional。シュガーとレモンのシンプルなクレープ。凄く美味しかった。再びAさんも合流し、オーケストラのクラシックコンサートを観る。ジュピターも良かったし、スネアドラムもかっこよかったが、一番感心したのはイギリス国民の郷土愛。あんなにノリノリで国歌を歌い、あんなに国旗が上がり国旗を振りまくり、なんならオーケストラも国歌をアンコール演奏しちゃう。大砲も鳴り花火も吹き出し最終的になにを観に来たのか分からないくらい凄いことになった。その後、お腹のすいたSさんとわたしはお店を探す。ロンドンは日曜日に店が閉まるのが本当に早い。みんな、日曜日はあまり働かないのだ。芝居も休演のことが多い。開いてる店を探し、二人で寒い夜の街をさまよい歩く。なんとか見つけたのはもう0時を回るというのにがっつりたっぷりのステーキハウス。美味しかったからよしとするけどね。帰り、初めてロンドンのバスに乗る。Sさんに教えてもらったのだが、バスもオイスターカードで乗れるし、しかも地下鉄よりずっと安い!むろん、せっかくだから二階に乗る。流れていくロンドンの景色。心地よい。

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  • 30Mar
    • 雑記のようなもの(研修編11)

      3月15日(木)朝、カムデンタウンでのぞみさんと待ち合わせ。贅沢にも俳優さんにリーディングして貰い、翻訳を確認することになったのだ。前述のわたしの女神(いつから)Aさんも観に来てくれてなんだか心強い。読んでくれたのはラファエルとゆりり。ラファエルは日本にいた経験があり、日本語が結構上手い。ゆりりは日本人でロンドンで活動している女優さんで、英語が美しい。で、いざ読んで貰ったら…物凄く面白い。翻訳してもわたしが考えていたのと同じ面白さになっている。そしてラファエルもゆりりも面白い。一回リーディングしたあと、なんとなくゆきさんからnotesがあればと言われたので、俳優さんにちょっとだけ言って再リーディング。やばい。ゆりりが怖い、怖くなっている。面白い!声に出して読んで貰ったことで、プリントルームでのプレイリーディングのイメージがかなり広がった。のぞみさんと一緒にお昼を食べて飲んで、色々と話して別れる。午後はリハーサルを見学した大学の卒業公演を観る。やはり演出が俳優を魅力的に見せていて好感が持てる。特に派手なシャツの髭の子が上手かった(誰か分かりませんね)。そのあとこの芝居の照明デザインをやった男前照明家(女性)Sさんとごはん。感想などを話す。夜はトラファルガースタジオへ。トラファルガー広場のすぐ近く。そしてジェームズ・マカヴォイがマクベスをやったところですよ。飾ってありましたよポスター。とてもいい劇場。ここで『グリニングマン』を見る。人形の使い方が最高。ダークファンタジー。帰り道、夜のトラファルガー広場を初めて見た。

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    • 雑記のようなもの(研修編10)

      3月14日(木)いよいよロンドン大学SOASでの阿部のぞみさんの翻訳ワークショップ当日。『いけない』の翻訳を読みながら、その翻訳のポイントを参加者が検証し、その後、翻訳家が解説するというもの。そしてこの日はやること盛りだくさん。だいぶ移動したがや。まず、朝イチで受け入れ先のプリントルームへ。プレイリーディングに使う部屋を見学させて貰う。とても雰囲気がいい。とても絵になる。とても色々と思い浮かぶ。とてもかっこいい。とても担当のジュリアにお礼を言い、劇場を出る。その後、勧められたV&A美術館に行ってみる。ああ、こことても好きだ。絵や昔の銀食器、タペストリーなどもさることながら、演劇コーナーの充実感よ。昔の衣装、小道具、仮面、美術模型、queシートなんかが展示してある。しかも女優さんの楽屋までまるごと展示。ここをくまなく観るだけで一日居られそう。その後、ラッセルスクエアに移動。この駅がSOASがある場所。少し早めに到着し、公園を歩く。おや、ここは……あのドラマの最初でジョンとマイクが再会した場所じゃないですか。いいようのない興奮をしつつ、のぞみさんと合流。日本語で戯曲の冒頭を読んでくれる日本人の女優Rさんとはじめまして。Rさん可愛らしい。いざ大学の構内へ。わたしの役目は、自己紹介と最初にどういうきっかけで今回の戯曲を書いたのかを説明すること。その後も質問受けたりちょこちょこと。生徒さん、結構来てくれて良かった…。英語でたどたどしく自己紹介をし、きっかけの話についてはのぞみさんに通訳して貰った。そして、いざ翻訳の深いところへ。自分の戯曲をそんな風に分析してみたことがなかったので、翻訳家って凄いなぁと感心。意識していなかった作風の手触りまで洗い出され、思わず「へぇーっ」と言ってしまった。無事にワークショップが終わり、その後ダッシュで、わたしのプレイリーディングに出演してくれることになったレベッカの舞台を観に行く。川沿いの初めて訪れる場所だがなんとか辿り着いた。一階がカフェバー、二階に小さな舞台、そして客席にテーブルがある。もちろん下で飲み物、食べ物を買って上がっていい。わたしの席は1番前。短い会話劇の4本立て。レベッカはとても素敵だった。彼女ならきっと面白くやってくれると思った。終演後は、役者とお客さんがカフェバーで交流していて、わたしはレベッカに挨拶しに行った。レベッカは日本語が分かるわけではないので、わたしの辿々しい英語で通じるか不安だったが、なんとかかんとか挨拶。その横にいたアメリカ人の俳優さんが、日本に2ヶ月いたらしく、高野山の写真をやたらフレンドリーに見せてくれたのが、結構ありがたかった。このカフェ、わたしの宿に結構近いことが分かったので、帰りは夜風にあたりながら歩いて帰る。

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  • 28Mar
    • 雑記のようなもの(研修編9)

      3月12日(月)今日もまた先週と同じ現場の見学。Sさんのつくり方を見ているのが面白い。よい作業するひとというのは、どの場においても美しいなと思う。役者たちもこの劇場に入ってからどんどん良くなっているように感じる。しかしこの日は残念なことに演出不在。けれど、役者は真面目かつ考えてしっかりやっていた。遠く離れた劇団のみんなが、ツアーで回っていることに思いを馳せる。みんなありがとう。3月13日(火)初めて翻訳家ののぞみさんと顔を合わせる。とても素敵な女性。明日の翻訳ワークショップの流れなどを打ち合わせ。わたしも最初に戯曲を書いたきっかけなどをしゃべることに…緊張。夜は『Matilda the Musical』を観る。Upper circleという遠いけれどお値打ちの席に座る。すると座った途端、隣のおじいさんが話しかけて来た。もちろん英語で。「ここのチケット○ポンドするのを○ポンドで手に入れたんだ。今度はハリーポッターも挑戦してみるつもりだよ」というようなことを言っていたので、「お、すごいですね!」などと相槌すると、おじいさんはさらにしゃべりたくなってしまったのか、なんだかとても話しかけて来る。もちろん英語で。しかもおじいさんの英語はクリアな英語ではない。もふもふしている。なにを言ってるのか分からない。でもわたしは相槌を打ち続けた。おじいさんが楽しそうならそれでいい。いいんだ。休憩中はさすがにいったん席を離れたけど。さて、これはイギリスでは有名な物語でマチルダという子が主役。マチルダはもちろん子どもが演じる。他にも子どもが沢山出ている。子どもはみんな天才だな。とても面白かった。最後のポーズが決まった瞬間、思わず「ひゅーっ!」と言ってしまった。いや、周りのひとも言ってたんで。

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  • 26Mar
    • 雑記のようなもの(研修編8)

      3月11日(日)日本との時差は9時間だが、震災の時間には必ず黙祷をしようと決めていた。明け方に黙祷。それから実家の母にメールしたら、母も黙祷したといっていた。実家は福島県の会津若松市。いまだ解決していない問題が沢山ある。どこにいても、あそこが故郷であることに間違いはない。ところで、朝はいつも近所のカフェに行くと決めている。至る所にある店なのだが、うちの近所のは特に感じがいいのだ。中で食べていくほうが若干高くなるのだが、それでもカフェでその日やることを整理したり、ゆっくり芝居のことを考えるほうが、そこからの動きがスムーズになる。この日も朝はコーヒーを飲みつつあれこれ。そういえば数日前、このカフェでも道を聞かれた。ロンドンに来て2回目だ。っていうか、おかしくないか?道聞かれ率、高くないか?年配の男性で英語の感じからするとイギリスの方ではない。彼は住所の書いてある紙を見せ、こう聞いてきた。「このChiltern streetは右ですか?左ですか?」…分からない。「すみません、分かりません」と言おうとした時、思いとどまった。そういえば前回も分からないと言ってしまった。特に前回はロンドンに来て2日目。ふいに道を聞かれたので、そう答えてしまったのた。わたしはこれからの先の自分のことを考えた。これだけ道を聞かれるわたしのことだ。もしかしたらこの調子で、これからも道を聞かれるのではないか?その度に「すみません、分かりません」と言っていたら、やがて罪悪感に苛まれていくのではないか?わたしはさっとスマホのマップを見た。Chiltern street……左だ。左に間違いない。「ここを左です」わたしはそう答えた。すると年配の男性は、「ありがとう!イタリアから来て道が分からなくてね!」と言い、嬉しそうに去っていった。2度あることは3度あるのだ。まだこれは序章に過ぎない。そんな気がした。というわけで、この日も道を聞かれないかびくびくしていたが大丈夫だった。夕方、前述のSさんに誘われて教会でやるオペラを観に行く。初めてのゾーン2だ。ロンドンはセントラルから円状にゾーンで分けられていて、真ん中エリアがゾーン1、そこから離れてると、ゾーン2、ゾーン3となっていく。地下鉄、つまりundergroundではなく、初めてovergroundに乗る。やはりなんとなく雰囲気が違って面白い。かなり歩いて道を間違えたかな、と思い始めた頃に辿り着いたのは、とても古い教会。セットのようないい雰囲気だ。オペラは『ヘンゼルとグレーテル』。とても面白かった。ステージがない分、色んな工夫がされていた。内容を知っているだけに、次のあのシーンはどうやってやるのかなという楽しみも。そして歌がめちゃくちゃ上手い。まわりのお客さんはおそらく地元の方が多めのようで、休憩中は社交の場の雰囲気。いわゆる地元感も感じられて面白かった。観に行って良かった。帰りは身体がとても冷えたのでトムヤムクンを食べた。美味しかったのだが、ちょっとだけ日本料理が食べたくなった。

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  • 25Mar
    • 雑記のようなもの(研修編7)

      細かいことはさておき、気になったことをつらつらと数日分。3月8日(木)前述の事件でほとんど寝られなかったので、午前中は少し眠る。そして、今日は何事も慌てずにゆっくりゆったりやろうと心に決める。昼間は食材などの買い物とリハーサルのためのメールやり取り。あと日本での仕事を進める。締め切りがあるやつ。その後、大きな映画館に行ってみる。チケットをネット予約したのだが受け取り方が分からず、そのまま入りそうになったら、お掃除のおねえさんに止められた。ポップコーン買う所とチケット受け渡しが一緒だったのでスルーしてしまった。夜は、劇団の作風を話したらぜひ観たほうがいいと色んな方に勧められた『The Woman in Black』をFortune theatreで観る。会話の掛け合いが面白い。かなり好きだ。そして劇場だからこそ出来る怖い演出が満載で良かった。客席からやたら本当の悲鳴があがっていたので、正直悲鳴が怖かった。ちなみに英語は早ければ早いほど分からないのだが、この話にはなんとなくついて行けた。3月9日(金)トラファルガー広場とその目の前にあるナショナルギャラリーに行ってみる。こっちはホントに美術館と博物館が充実している。え、こんな凄い物がこんな間近で観られるの!と感心する。モネが最高だった。あとゴッホ。夕方、翻訳家ののぞみさんと初めて電話。それまではメールのやり取りだったので、声を聴けて嬉しくなる。14日の翻訳ワークショップについて打ち合わせ。ところでトラファルガー広場には日本でおなじみのあの生き物がいた。が、途中で公衆の面前でお脱ぎになり始めたので、子どもの夢はどうなる!とハラハラした。3月10日(土)念願のリハーサル見学。大学の卒業公演だが、演技の専門学科だけに期待が高まる。そして前述の照明家Sさんがライティングデザインしているのだ。Baker street(あのベイカー街)から程近い、Marylebone theatreにて。テクニカルの合わせが頭から通しで観られて面白い。なにより役者がみんな上手い。Directorが役者と良いコミュニケーションを取り世界をつくり上げている様も小気味よい。自分ならどうするかも含め、ずーーーっと考える。やはり現場にいるのは心地よい。特にいい現場であれば尚更だ。ひとの仕事を観るのは飽きないし、想像力を掻き立てられる。その後、Sさんと『Brief Encounter』というお芝居を観る。クラシックの映画『逢引き』を舞台化したものだ。そしてこの上演もEmpire Cinemaという映画館で行われるのだ。これがもう…とてもいいのだ。はじまる前の生演奏からして、とても雰囲気がいい。また映画館の特性を活かしている。映像をつかっていてあんなに好ましいことは、なかなか無い。それからあのシャンデリアのつかい方…最高。大胆さの中にある繊細、もろ好み。『逢引き』そのものがシンプルな話なのだが、そのシンプルさが際立つように、胸に響くように、無駄のない演出がなされている。演出研修なので色々メモしているのだが、席が遠かったのでもう一度観て細部まで確認したいリストに入った一本だ。

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  • 24Mar
    • 雑記のようなもの(研修編6)

      3月7日(水)事件はとうとう起こったのだ。自分のおっちょこちょいぶりを知っていたので危ない危ないとは思っていたが、とうとうやってしまったのだ。まずこの日は夜に受け入れ先の劇場にご招待していただき、ダンスの公演を観に行った。ただ、直前まで色々と作業していたので、少し慌てていた。はっきり言っておく。どんなときも、慌てたらダメ。「スマホ持った財布持った鍵持った大丈夫」と確認したはずだった。ちょっと前に(昔の雑記を読んでみてね)、鍵をゲストハウスの玄関に置く、というのをやらかしていたので、わたしは鍵や貴重品に慎重になっていた。いや違う。慎重になり過ぎていたのだ。なり過ぎて、今までやったことのないことをやってしまった。部屋のセキュリティケースを使ったのだ。セキュリティケースにはもちろん、鍵がある。今日は夜出かけるだけだし、持ち歩く荷物を減らそう。だからセキュリティケースに必要ない物を入れていこう。ああ。それが地獄への入口だった。セキュリティケースの鍵が、部屋の鍵とそっくりだということに無頓着だったのだ。ここで、部屋を出る前の確認作業まで戻る。「スマホ持った財布持った鍵持った大丈夫」鍵持った大丈夫。鍵持った大丈夫。…大丈夫じゃなかったのだ。そいつはセキュリティケースの鍵だったのだ。それに気づかずダンス公演に感銘を受け、終演後のパーティで食事までいただいたわたしは意気揚々とゲストハウスに帰ってきた。そして鍵を玄関に入れようとして…あれ。入らない。もういちど。入らない。そうして気づいたのだ。自分がとんでもない間抜けちゃんだと。鞄をいくら探しても玄関の鍵はない。無頓着に部屋のどこかに置いたことは明白だ。なんてこった!入れない。しかも外はめちゃくちゃ寒い。今からホテルを探すかそれともどこかファミレスみたいな…いやデニーズはないんだここはロンドンだ。そう悩んでいると同じゲストハウスに泊まっている方々が帰って来たではないか。「あ、こんばんはー」そう声をかけられ、わたしは何事もなかったかのように一緒に玄関を通った。けれどダメだ。部屋にもうひとつ鍵があるのだ。入れないわたしは仕方なく共同キッチンに行った。ここは部屋にミニキッチンがあるのだが、親切に大きなキッチンもある。夜は誰も使ってなくてとても静かだ。セントラルヒーティングのおかげで、ちょっと暖かい。わたしは帰りがけにスーパーで買ったペットボトルの水を見つめながら、ここで朝まで過ごそうと心に決めた。本来なら管理人さんが最上階に常駐しているのだが、この日は運悪く不在だともともと連絡を貰っていた。だから次に管理人室が開くのは明朝の8時から9時の間。約8時間。これはもう寝るしかない。そう思い、わたしはセントラルヒーティングの近くの床にマフラーを敷いて横になった。もしこの状態で誰か入ってきたら、マジやばいひとだと思われる。それも分かっていたので物音がするたびにたまに起き上がり律儀に椅子に座る。全然寝られなかった。羊も数えたし眠くなる動画も観たが一向に寝られない。しかも…いくら暖かいと言っても、底冷えがする。窓から外が見えるのだが、なにも面白いことはない。午前4時の段階で少々トイレにすら行きたくなってきたが、ここには共同トイレはない。もしトイレに外に出たら、再度入るのは無理だ。我慢できないほどではなかったので、我慢した。ああ、どうしてこうなんだろう。わたしは今までの自分の人生を振り返った。いつも親に、気をつけろ気をつけろと言われ続けてきたことだ。劇団のみんななんか、わたしがスマホを無造作に置いた場所を覚えていてくれる。みんなのおかげでまともに生活できていたんだ。みんなありがとう。そして案の定やらかしました。ごめんなさい。そんなことを思っていると、次第に空が明るくなってきたではないか。ああ。朝だ。希望の朝だ。そうして8時過ぎ。とうとう玄関の開く音がした。管理人代理の方がいらしたのだ。涙が出るほど嬉しかったが、ちょっと待てよと考えた。ちょっと待てよ。こないだのゲストハウスの入口に鍵置いちゃった事件からまだ時間は経っていない。これで鍵を部屋に入れたままにして夜からずっとキッチンにいました、などと言ったら、こいつに部屋貸してて大丈夫かと思われるに違いない。それはまずい。このロンドンで追い出されたらどうしたらいいんだ。そう思ったわたしは、こう話しかけた。「あの、さっきちょっと、インロックしちゃって」さっきっていつだ!8時間前だわ!凍えそうになりながら耐え忍んだ8時間を、さっきって!すると、管理人代行のおねえさまはこうおっしゃった。「なんだ電話してくれれば開け方があったのに」え…電話…あ、緊急電話があったんですね…しかも開ける技が…どうしてそういうの調べなかったんだ、わたしは。二度と同じ間違いはおかすまい。そう思った7日から8日。ああ。自分の部屋ってありがたい。そう感じたロンドンの朝。

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  • 19Mar
    • 雑記のようなもの(寄り道)

      ちょっと話がずれる。ロンドンには、メニューにブレンドコーヒー、ホットコーヒーという表記はない。名古屋の喫茶店では席に座るなり当たり前のように「ホット、ブラックで」と言っていたわたしだ。モーニングの時間であればこの後に「モーニングおつけしますか?」という店員さんの言葉がついてくる。最高だぜ名古屋。ところがどんなに目を凝らしてメニューを見ても、ブレンドコーヒー、ドリップコーヒー、ホットコーヒーは無かったのだ。わたしは真夏の暑い日でもホットコーヒーを飲む人間だ。砂糖ミルクは一切入れない。カフェラテなんか飲んだ日にゃ「あま!」と叫んでいた人間だ。それなのに、どれが【普通の】ホットブラックコーヒーだか分からず、こちらに来てから4日間、ラテを飲み続けるという屈辱的な行為を繰り返していたのだ。まったく。恥ずかしがらずに聞けばよかったのだ。だが5日目、ようやく謎は解けた。わたしの前のお客さんが頼んだものがどう見てもホットのブラックコーヒーだったのだ。それは…アメリカーノ…なんてこった。わたしが狂おしいほど欲しかった物の名前はアメリカーノだったのだ!日本で『アメリカン』と言えば、薄めのコーヒーだ。味仙で台湾ラーメンのアメリカンと言えば辛さが薄まったヤツだ。だからなんとなく見落としていたのだ。調べたら出て来た(もっと早めに調べろ)。アメリカーノは【エスプレッソをお湯で割ってドリップコーヒーと同じくらいの濃さにしたもの】だそうだ。ブレンドとは違うが、ホットのブラックであることに間違いはない。盲点。ちょっとだけアメリカに感謝した。ありがとう自由の女神。ところがだ。4日間ラテを飲み続けた結果…なんとラテが好きになってしまったのだ。で、それからもラテを頼むようになってしまった。それからのカフェでの注文頻度。3回ラテ、1回アメリカーノ。背徳行為のように感じないでもないが、はっきり言おう。ラテは美味い。

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    • 雑記のようなもの(研修編5)

      3月6日(火)朝。久しぶりに少し遅めに起きた。とは言っても8時なのだが。それまで何故か5時起きしてたのでこれが普通だろう。わたしの戯曲『いけない』を翻訳してくださった阿部のぞみさんが、それを題材にして翻訳ワークショップというものを3月14日にロンドン大学で開催してくださることになった。で、そこに作者として呼ばれ、翻訳されてみてどうだったかを生徒さんの前で話すことに。翻訳ワークショップ。なんと面白そうな響きだろうか。これは翻訳する時に大事にしているポイントなどを、わたしの戯曲を読みつつ紐解くというもの。研修の身として、なんとありがたいことか。ふと中学生の頃、あたしゃ通訳か翻訳家になる、と言っていたのを思い出した。そうだ。わたしはマイケル・J・フォックスの通訳をするはずだったのだ。戸田奈津子さんの後継者になる予定だったのだ。『日本語字幕 鹿目由紀』と映画の最後に記されるはずだったのだ。おや。なにを間違えたのだろう。なにを間違えたら、壁に横に立ったり走ったりする芝居を書くひとになるのだろう。わたしは通訳で、いい感じにマイケルと出会って、マイケルと恋に落ちて…という夢のような話を友だちがノート一冊の小説にしてプレゼントしてくれたのを思い出した。そういうのが流行っていたのだ。わたしも確か別の友だちに、いい感じに子安武人さんと恋に落ちる話を書いてあげたわ。授業中にみんなでまわし読みして、感想を交換したりしてほくそ笑んだものだ。先生ごめんなさい。あ、話がかなりずれました。昼間は翻訳ワークショップのための自分のバイオグラフィーを英語でつくったりして。夜はNational Theatreで『マクベス』観劇。客席を見渡して、ああこれ映画館で観た場所や、と一人テンションを上げる。そして幸運なことにかなり前の席。役者の表情までバッチリ見えた。あのマクベス夫人の女優さん観たことあるなぁと思ったら、アンヌ=マリー・ダフ。ジェームズ・マカヴォイ(これもわたしの試験によく出る言葉ですよ)の元奥様…いやはや演技が…上手い。今回は演出の研修なので、とにかく演出について色々メモしている。劇場の形、特性を活かしたつかいかた。ぴたりとはまる、つかいかただった。それは本当に大事なことだと改めて思う。ちなみに開演前に劇場のバーで飲み物を買った。美味しいよ。コーラ。

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    • 雑記のようなもの(研修編4)

      3月5日(月)ロンドンに来る前からNational Theatreでどうしても芝居が観たいと思っていたのだ。池袋の映画館でNational Theatre Live(芝居を映画館で観るあれ)の『フランケンシュタイン』と『ハムレット』を観てから、絶対に行ってみたいと思っていたのだ。『フランケンシュタイン』はベネディクト・カンバーバッチ(これ、わたしの試験によく出る言葉ですよ)と、ジョニー・リー・ミラーが、フランケンシュタイン博士と怪物(クリーチャー)を日替わりで交互に演じるというもので、わたしはどっちのバージョンも観て、とても心動かされた。National Theatreの中のOlivier Theatreでやったのも知っていたので、その劇場でなにか観なければ話にならない。いや、話にならないことはないが、とにかく観てみたいと思っていた。で、劇場のサイトで予約しようとしたのだが、何度やっても上手くできない。ええ何度もやりましたよ何度も。でも出来ないんですよ。だってここに来てね、ああわたし、よくスマホの地図を観て電車を間違えずに行動できてるなぁ、といつも自分に奇跡を感じているんですよ。そんな人間はアナログに頼るしかありませんよ。というわけで直接行って買ってみることに。くしくも現在上演しているのは『マクベス』。わたしが一番初めに読んだシェイクスピアではないか。午前中、Embankmentという駅で降り、テムズ川にかかる大きな橋を渡ってしばらく行くと、劇場が見えてきた。初めてのBox Officeで直接購入。だがその日のチケットは無いと言われる。ちょっと考えます、とその場を離れソファに座っていると、がっかりしていたのがあまりに分かりやすかったのかおねえさんが駆け寄ってきて「明日ならあるけど観る?」と言ってくれた。なんて優しいんだ。それで見事予約。その後は、かの有名なグローブ座の場所を確認しに行き、隣の美術館を覗いてみる。美術館、博物館にタダで入れるって本当に凄い。もちろん寄付は募っているし、ショップでついつい色んなものを買ってしまうのだが、あんなに素晴らしい絵や彫刻、貴重な物がタダで観られるって。さて午後は、本日のメインイベント。わたしの短編戯曲のリハーサルとプレイリーディングに興味があるという俳優さんに会う。Aさん宅のご近所にあるカフェで会うことに。マークはありがたいことに日本語もできて陽気で、実験的なことを面白がってくれるひとだった。聞けば、色々考えていて、大きな舞台にも出演していて、とても意識が高い。話を聞けば聞くほど俳優の仕事、権利が守られている国、それがイギリスだと感じる。彼ならいい感じかも…話してみてそう思った。今回つかう戯曲は『いけない』という20分の短編だ。それをこちらに住む翻訳家に訳していただいた。日本では香川の『カブフェス』でしか上演していない。オリジナルキャストはうちの劇団の松井真人と川本麻里那。その松井の役の候補がマークなのだ。そこではっと思い出した。旗揚げ公演の時の松井の役は……マーク。彼で間違いない。意味のない自信を持ってマークと別れた。マーク、よろしく。夜は噂の(?)フィッシュアンドチップスを近所の店で購入してみた。お店のおにいさんに一人前?と聞かれたので、一人前ですと答えた。…え、これ一人前ですか。でかすぎません?夜更けに油ぎとぎとになりながら食べて、その日は就寝。

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