ロンドン滞在記②

 

4月7日・金曜日。待ちに待った日がやってきた。『Back to the Future The Musical』を観る日だ。数年前に上演されるのを知ってからというもの、絶対観に行こうと強く思いながら生きてきた。




わたしにとって『BTTF』は生き方に大きな影響を与えた作品だと言っても過言ではない。マイケル・J・フォックスの大ファンになった作品であり、あんな面白いSF、あんな伏線の生きているストーリー、あんなほっこりする気持ちになれるものをつくりたいと思わせてくれた作品でもある。中学生のとき、父が会社の旅行でアメリカのユニバーサルスタジオに行き、BTTFのアトラクションに乗ったと聞いた時は羨ましくて悶えまくった。そんな作品のミュージカルなんて観ないわけにゃいかないと思い続けていたが、ついに叶ったのだ。ありがとう、ありがとう。


開場のずいぶん前から劇場前をうろちょろして写真を撮りまくった。もちろん他にも同じようなひとがいたので、勝手に「同志よ」と微笑みかけた。




そして開場。もうロビーからして完全に『ヒル・バレー』(BTTFに出てくる街)。ゴールディ・ウィルソンの市長選挙のお知らせやTEXACOの看板など、BTTFファンならお馴染みの世界観がずらりと並んでいた。真っ先にグッズ売り場に行き、頭がねじ曲がるほど迷いながらもグッズ数点とプログラムを購入。もうほんとにただの舞い上がったやつだが気にしない。お手洗いまでの道のりには映画でお馴染みの名台詞が額縁に飾ってあり、わたしのテンションは上がる以外に道はない。

 


いざ場内へ。これまた感動。タイトルロゴが映し出される青いスクリーンから複数の青い光のラインが客席の方に走り続けている。たまにスクリーンにQRコードが出ていて、読み取ってみるとサイトに繋がってまた楽しめる感じに。



で、本番開始。始まった瞬間、映画の冒頭をそっくり再現したセットが現れ、おまけにマーティのあの台詞。客席からは大きな拍手と歓声が上がる。そこからはもう夢中で観劇。途中、映画と敢えて変えた設定があり、どうして変えたのかなと推測するのも楽しい。登場人物はみんな喋り方や動きまで映画のそれに似ていて、特にジョージ・マクフライが大好きだった。


デロリアンの登場に大興奮。デロリアンはそれはもう…完璧に走っていた!舞台ならではの手法が生かされまくっての疾走感と躍動感が素晴らしい。実は、最も驚愕することがあったのだがそれは心の中にしまっておく。カーテンコール、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの『Back in Time』(映画のエンドクレジットの曲)をキャストが歌う段になった時には、周り同様にスタンディングして、心の中で大合唱していた。映画のサントラをPart3まで全部持っていたので、歌詞は染みついていた。



終わった後も興奮冷めやらぬまま、夜の街を歩いた。その間ずっとBTTFのあのテーマが頭に流れ続けていた。本当に好きなものがあること、心から楽しめるものがあることは、とても大事だ。それがたまに日常のすべてのもやもやうねうねをチャラにして救ってくれる。創作意欲も掘り出してくれる。好きなものがあってよかった。明日から頑張ろうと思わせてくれてありがたいと感謝しながら賑わう通りを数駅分、歩いた。