第20回 ORIGINE KOBE講習会 | ボヌール☆花粉 松本由紀子オフィシャルブログ




去る8月7日に「第20回 ORIGINE KOBE講習会」を開催させていただきました。
ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました💗


2019年度4回目の講師を務められたのは、『コンパルティール ヴァロール』の大西達也シェフと『マビッシュ』の村田博シェフ👨‍🍳
今回も、各シェフ2品ずつ合計4品ご紹介させていただきました。


●大西達也シェフ
*テリーヌ ショコラ オ テ ヴェール
*ケーク オ テ フリュイテ


●村田博シェフ
*ムース ノワ ドゥ ココ
*ムース オ ブール プラリネ

 



村田シェフの1品目は「ムース ノワ ドゥ ココ」。


初っ端から村田節が炸裂⚡️

「これは、お菓子としては完成してない。

でもパーツの完成度は高いので、甘さを調整するなど自分で考えて作ってください」と。
最終的には個人の好みになるので、今回学んだことをベースに、自分の追求するお菓子作ってほしいとのこと。


このあと、このお菓子をベースとすべき、様々な理由が解明されていきました。

各パーツに、とことんまでこだわられています✨




構成は、ムース ノワ ドゥ ココの底と中央にビスキュイ ア ラ キュイエール。

キュイエールには、たっぷりとココナッツシロップをアンビベします。






ビスキュイ ア ラ キュイエールは、シロップをうつといきわたり、ぼろっと崩れるしっとりやわらかな食感に。


本来は卵黄はしっかりと泡立てますが、今回は焼き立てをすぐに組み立てるので、卵黄はたてずリキッド状態で。
この方が口溶けよく仕上がるそう。


天板に敷くペーパーは、オイルでぴっちりと接着。
下火の入り方が全く異なってくるのだそう。

普通にやっているようでも、語られなければ分からない、沢山の技が隠されています✨






生地を絞り終わってから、粉糖二回。
一回目は粗め、二回目は細かめのメッシュで。


1回目の粉糖をふった後、5分程おいて、ペルルが消えないうちに、2回目の粉糖をふります。






モンプリュのお菓子教室で、私も何度となくこのふりかたをしてきましたが…

こんなに⁉︎と驚くほど、雪が降り積もったような真っ白な状態までふっても、焼き上がるとちょうどいい感じになるんです。




焼きあがったら、生地を裏側に向けてセルクルでくり抜きます。


今回はモンプリュのワッキーこと脇川くんが、アシスタントに👨‍🍳

ワッキーは、この講習会が始まった当初はイグレックで多田シェフのもとにいて。

当初はおとなしくて、たよりなーい感じでしたが(笑)

すっかり成長して、安心して見ていられるようになりました。

お菓子に対して真摯に、黙々と取り組む努力家さんです❣️




ムース ノワ ドゥ ココは、 シェフがおいしいと思うボワロンのココナッツピューレを使ったムース。
ここでもイタメレがポイントになります。


キッチンエイドはラップをして保湿しながらまわして温度を下げ、 最後にラップを取って冷気にさらします。






メレンゲを潰さないようにもこもこっとトレーに取り、波々にならして、冷やします。






メレンゲと生クリームを合わせ、ココナッツピューレを加えたゼラチンベースを合わせます。

ピューレと合わせる時は、ホイッパーを ワイヤーの少ないものから多いものに持ちかえるなど、混ぜるときの細かなこだわりも。

ボウルのサイズひとつで、混ぜ合わせやすさも変わってきますものね。

ホイッパーが変わると、仕上がりのテクスチャーが変わってきます。






生地にココナッツシロップをアンビベして、ムースを流します。








中央にも生地を沈め、さらにムースを絞り蓋をします。




冷凍後型から抜いて、ココナッツ ナパージュをかけます。

ナパージュに、ココナッツリキュールとホワイトラム、バニラペーストを合わせて。




渾然一体感が素晴らしい、お口に入れた瞬間に儚く溶け消えるテクスチャー💗

それでいてココナッツ感はしっかりと、余韻に長く続きます。


メレンゲを加えることで軽く仕上げ、ゼラチンを増やすさずとも、メレンゲの気泡がやわらかな保形性をもたらすのだそう。


見た目はシンプルながら、各パーツに様々なこだわりと技が詰め込まれています。

このシロップをたっぷりと抱き込んだ生地感好きだなぁ💞




村田シェフの2品目は「ムース オ ブール プラリネ」。
バターを使ったムースです。


モンプリュではこのバタームースのお菓子が多いのですが、分離させず、濃厚ながらも軽くなめらかに仕上げるのはかなり難しく、技量が問われるムースです。

林シェフ以外は、当時スーシェフである村田さんしか任されていませんでした。

このバタームースは、グッと心に迫りくるおいしさなんです💘


構成は、シュクセにムース オ ブール プラリネを絞り、アマンドマッセをトッピング。


まず自家製でプラリネノワゼットを作ります。
ノワゼットは、シシリー産を使用。








アマンドマッセは、シロップを纏わせたスライスアーモンドを、オーブンで結晶化させます。
シャってきたらオーブンから出して、混ぜ合わせます。

地味な作業ですが、まんべく混ぜ合わせて塊にならないようにするのは大変そう…








こちらもイタリアンメレンゲがポイント!
シロップをキャラメリゼしてメレンゲに加え、キャラメル風味のイタリアンメレンゲを作ります。


まずはこのキャラメルの焦がし具合がポイント。

そしてメレンゲをよくたてておくこと。

キャラメルは不純物が多いので、加えた時にメレンゲが死んでしまうからだそう。


シロップの入れ方もコツがあり、通常より素早く一気に!





艶やかなイタリアンメレンゲの完成です!


こちらもこのようにトレーに広げ、冷まします。






シュクセはサクサク食感を目指して♬
焼きすぎ注意です。






シュクセにムース オ ブール プラリネを絞り、アマンドマッセを散らします。



バター、プラリネ、キャラメルたっぷりでナッティで濃厚な香味ながら、軽く口どけのよいバタームース。

絞れるということからも、そのテクスチャーを推し量ることができますね。


シュクセはサクッとやわらかく濃厚なムースを受けとめ、カリッと香ばしいアマンドマッセがアクセントになっています♬


こんなにもノワゼットとキャラメル尽くしなのに、不思議なほど軽やかな後口。

これこそが上手にできたメレンゲの成せる技なんでしょうね✨


メレンゲの魔術師の技が、見事に林シェフから村田シェフへと受け継がれていることを感じさせる2品でした👨‍🍳




生地を合わせる時の秘密兵器もご披露。
“エキュモワール”という穴あきお玉みたいなものですが…あまりパティスリーでは見かけないかな⁉︎

唐揚げの油きりに使う感じのお玉です。
 

縦長のボウルに、面を縦に入れることで、気泡を潰さずいい感じで合わせることができるのだそう。
林シェフ曰く、これは実はジャンミエで使われていたものとのこと🇫🇷

どこに売ってるんだろう…




大西シェフの1品目は「テリーヌ ショコラ オ テ ヴェール」。
いわゆる抹茶のテリーヌショコラです🍵


海外の講習会で講師を務めることも多い大西シェフ👨‍🍳

お店ではあまり見かけることはありませんが、抹茶や柚子などの和素材を使ったお菓子の依頼も多いそう。


抹茶は見た目の色合いと風味から「朝霧」使用されています。




ホワイトチョコレート、バター、全卵、生クリームと全ての材料に温度をつけて合わせていくだけのシンプルな工程です。


ホワイトチョコレートは溶かして45℃にし、抹茶パウダーを合わせます。




バターは50℃に温め、合わせます。




生クリームは沸騰直前まで温めて合わせ、ブレンダーをかけて乳化させます。


順番に合わせていくだけですが、ここでしっかりと乳化させることがポイント!




味が単調にならないように、ゆず茶とゆずのピューレを加えます。

ゆずの時季には、ゆずのゼストと果汁を加えて作るのだそう。






60℃のお湯を型が1cm程度つかるようにはり、湯煎焼きにします。


焼きあがりは表面が少し白っぽくなっり、触って表面が乾いてたらO.K.。




焼成することで、鮮やかな萌黄色から落ち着いたお濃茶色に🍵
抹茶の存在感はしっかりと感じられますが、濃厚ながらもくどくなく、とても口どけよくなめらかなテクスチャー。


和とも洋とも合い、冷やしても温めてもおいしい、様々な楽しみ方のできる抹茶のテリーヌショコラ。

外国の方にも喜ばれそうですね。




大西シェフの2品目は「ケーク オ テ フリュイテ」。
フルーツティーのケークにダックワーズを重ねた二層構造のケークです🍊

 
まずフルーツティーの茶葉を10分間アンフュゼします。




フィリングは、くるみ(ロースト)、ドライマンゴー、ドライバナナ、レーズン、オレンジラメル🍌🍇🍊


さらにベルガモットピューレ、アプリコットリキュールを加えて。

お酒を入れず、代わりにポンジュースを入れるのもお薦めだそう。






粉は中力粉にアーモンドプードルをプラス。


混ぜすぎないようにするのがポイント。

混ぜすぎるとひきが強くなったり、底が反りあがったりするとのこと。


生地の上にフィリングをのせます。








ケーク生地の上に、ダッコワーズ生地を絞って焼成します。


視覚的な意味あいで、紅茶の茶葉を少し加えて。








焼き上がったら型からはずし、 ケーク生地部分だけを熱々のシロップに浸し、 二重ラップをして冷やします。


シロップには、フルーツティーの茶葉とアプリコットリキュールをプラス。






これ、私の好みストライク‼️

お土産に1本おねだりして、翌朝丸ごと完食しちゃいました🧡


フルーツティーと柑橘系の爽やかな香りのマリアージュ。

さらに余韻を、アプリコットリキュールの透明感のあるアロマが包み込みます。


フォークを入れるとジュワ~っ。

大西シェフのお菓子には珍しく、お酒がしっかりと効いています。

サクッと軽やかなダックワーズとの食感のコントラストも秀逸✨

暑い夏でもスッといただけるテクスチャーと、香り爽やかなケークです。






あれっ、あれれーーー・・・サプライズで、御影のパンの巨匠が登場👨‍🍳🍞


実はこの日8月7日は、大下シェフの「ビアンヴニュ」さんの7周年でした🎊

この日の朝、村田シェフがビアンヴニュさんに行った際に「今日講習会やるから来てなー」と言ったらしく、本当にそのひと言だけで、わざわざ来てくださったのだそう…うるっ💧




今回の講師は対照的なお二人👨‍🍳

ジェスチャーも大きくトーク上手な村田シェフと、囁くような声でシャイな大西シェフ。


でも、息はピッタリ!

素晴らしいコンビネーションでした✨
















2019年度最後となる第4回目の講習会が無事終了いたしました。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました💗


年を重ねるごとになかなか全員集合することが難しくなってきましたが…
また、皆さまにお目にかかれるのを楽しみにしています(*˙˘˙*)❥❥


今後の予定が決まりましたら、随時オリジンコウベのFBページで

告知していきますので、ぜひチェックしてくださいね!

https://www.facebook.com/originekobe/