辻利兵衛本店 宇治本店 茶寮 オープン! | ボヌール☆花粉 松本由紀子オフィシャルブログ



萬延元年(1860年)創業の辻利兵衛本店さん。
茶問屋として創業以来、約150余年。


辻利兵衛本店さんは茶工場を一部改装し、
去る8月8日に「辻利兵衛本店 宇治本店 茶寮」をオープンされました。


建物は創業当初のまま、改装着工から完成まで約3年の年月をかけられたのだそう。
本物の宇治茶を全国へ、そして世界へ広げたいという想いやこだわりが、
建物やお茶&スイーツのメニューにたっぷりと込められた素晴らしい空間。


贅沢にも専務取締役の辻伸介さんの熱心なご説明をうかがいながら、
その想い溢れる空間と宇治抹茶を生かしたメニューを存分に堪能させていただきました。






素晴らしいお庭を眺めながらゆったりと過ごすことができるお花見席。

陽光溢れる贅沢な特等席ですね。





まずいただいたのは、辻さんがこちらの茶寮で是非味わっていただきたいという

玉茶(GYOKUCHA)&仙茶(SENCHA)


玉茶:グラスを手で軽く回してください。

    グラスの上部に芳醇な薫りが充満します。
    その薫りを堪能して頂いた後に、舌の上で転がすように味わってください。
    濃厚なテアニン、アミノ酸の旨みが広がります。

こちらは好き嫌いが分かれるとのことでしたが、口に含んでビックリ!
濃厚なアミノ酸の旨みが一気に押し寄せてきます。
お出汁でもこれほどまでの旨みは感じたことがないかも?!
お茶として飲むというお味ではありませんが、病みつきになる初体験の味わい。


仙茶:グラスを手で軽く回してください。
    煎茶の幾層にも広がる爽やかな新緑でいて濃厚な薫りを御愉しみ頂けます。
    薫りを御愉しみ頂いた後に、舌の上で転がすように味わってください。
    たくさんの太陽を浴びて育った宇治の茶園の旨みと薫りが鼻に抜けていきます。

こちらはまさに、最高級のお煎茶という馥郁たる味わい。
豊潤な薫りと旨みが広がり、透明感のある苦味が余韻に長く続きます。
立ちのぼってくる自分の吐息にうっとりとするほどの上質な香味。





藁茶(WARACHA)

グラスを手で軽く回して、稲わらで被覆した芳醇な薫りを御愉しみ頂きました後に、
濃厚な旨みとコクを舌の上で転がすように味わってください。
芳醇なテアニン、アミノ酸の旨みが広がります。

香りは、芳醇な燻製香という感じ。
上の2種類よりもいい意味で飲みやすく、お料理やお菓子にも合わせやすいお味。
一煎頂いた後の茶葉は、こんなに鮮やかな緑色でした。





芳醇な和栗のトリュフ

実はこちらは、メニューを拝見して一番気になったお菓子。
緑色はお濃茶。茶色は焙じ茶。







お濃茶と焙じ茶の鮮やかなクーベルチュールで、
甘美な和栗の芳醇な旨みを閉じ込めて。

栗の甘露煮には京・伏見の純米吟醸酒が纏わされているので、
甘みの後、スッキリときれる後口に。

クーベルチュールが柔らかくとろけるテクスチャーなので、
こちらの茶寮でのイートインのみで愉しむことができる貴重な一品。
お濃茶×仙茶、焙じ茶×藁茶のマリアージュでいただくと、
桃源郷に誘われるかのような至福の香りに包まれます。




お濃茶パフェ 宇治誉れ

やはり人気のスイーツはこちらのパフェ!
藁茶のジュレ、抹茶クランチ、抹茶の生クリーム、シフォンケーキ、
寒天、白玉、栗の甘露煮、小豆にお濃茶のソフトクリームと
盛り沢山の贅沢なパフェ。

ソフトクリームに使われている牛乳からメーカーさんとオリジナルで考えられていて、
喉が渇かない、お茶の味を邪魔しない味に。
クランチも、フィアンティーヌにお濃茶のクーベルチュールをかけた自家製。

さらにお濃茶のソースが添えられていて、それぞれのパーツを単体で、
全層を混ぜて、さらにお濃茶のソースをかけてと、
幾通りにもお濃茶の魅力を堪能させてくれます。




焙じち茶パフェ 炎

基本的にはお濃茶のパフェと同じ構成ですが、
京番茶の生クリームとジュレを。
生クリームには葉を、ジュレには酸味のある茎をと使い分けてらっしゃいます。
イチゴのパウダーを隠し味に。

パフェがのっているお盆は、昔お茶を拝見するときに使用されていたお盆なのだそう。
茶工場をリニューアルされたということで、店内ではさりげなく
貴重なお品が色々と使われています。




お花見席の背後にあるこちらのお部屋は、
免税手続きや、お得意様がいらしたときの待合室として使われているそう。
ひとつひとつはお伺いできていませんが、とても貴重なお品が飾られている雰囲気でした。





お二階は、予約があれば解放してくださるとのこと。

こちらのお部屋では、お茶を石臼で挽く体験ができます。
私も次回はぜひ、させていただきたいなぁ。




あまりにもさり気なく、勝海舟の掛け軸が飾られています^^;





お茶室の壁は、お茶屋さんらしく茶葉入り。
こちらには辻家の家系図の掛け軸がかけられていました。





畳のお席には、年代を感じさせる素敵な金の衝立が。






辻家はお母様のご実家ということで、奥のお部屋にはお母様の想い出の品々が。
お人形はお母様を模して作られたもので、机や箪笥、筆などは実際に使われていたもの。




柱はあえて、中央に通っていない造りなのだそう。






再度一階へ。
入口を入って右手には、先程お茶をいただいた窓際のお席が。
左側にはこちらのお席と、物販のお部屋があります。

実際に使われていた貴重な煉焙炉。
この場所から動かすことができないのだそう。
お茶の取引を描いた絵も興味深いですね。




木箱の内面にブリキを貼りあわせた輸送に最適な「茶櫃(ちゃびつ)」を考案し、
販路を拡大することに成功したのも、こちらのお店なのだそう。

こちらの抹茶は、茶葉にもっともうまみ成分が凝縮した一瞬を逃さず摘み取り、
一気に碾茶(てんちゃ)に仕上げ、昔ながらの石臼で時間をかけて
細かく挽きくことで、新鮮な茶葉の薫りを保たれています。
右の茶櫃にはいっているのがその碾茶。






物販のお部屋は、真っ白壁にとても凝った美しい模様が描かれています。

宇治抹茶の香味を生かしたスイーツの数々。
何品かは、こちらのサイトからお取り寄せも可能です。

一度お話を聞いただけでは到底理解し得ない奥深きお茶の世界。
日本人として生まれたからには、この素晴らしい文化をもっと勉強し、
後世に伝えていかなければと強く感じさせられました。
そして、普段このようなスタイルでゆっくりとお茶を嗜む機会はないので、
とても貴重な経験をさせていただきました。
辻さん、本当にありがとうございました。

季節が移ろうとともに、お庭の景色も、お茶の風味もスイーツも変化していく。。。
ぜひ季節ごとにお伺いさせていただきたい素晴らしい空間でした。


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店名:辻利兵衛本店
住所:京都府宇治市宇治若森41
電話:0774-23-1111