
すいません・・・先月のことになってしまうんですが、私も毎年楽しみにしている
ガレット・デ・ロワ&フランス伝統菓子講習会が9月8日に開催されました。
今年のテーマはローヌ・アルプ地方です。
若手の職人さんをはじめ、100名以上の受講生の皆さんで賑わう会場。
今回は、講習会費の一部を義援金として東日本大震災の被災地に
寄付させていただくチャリティー講習会という形をとり、
私も受付のお手伝いをさせていただきました。
開催当日まで一番奔走されていた司会進行役のガトー・ド・ボワの林雅彦シェフ。
気遣いの塊のような方だから…この日も最後まで本当にお疲れ様でした。
林シェフの後ろに掲げられているお菓子の写真入りの地図は
なんと、大森由紀子先生の手作りなんです!
毎年解説にいらしてくださるのに、今年はいらっしゃらなくて本当に残念★
解説はノリエットの永井紀之シェフが務めてくださいました。

毎年初登場のシェフがガレット・デ・ロワを担当されるのですが、
今年はなんと、ドゥブルベ・ボレロの渡邊雄二シェフ!(初登場ではないですが^^;)
私も毎年必ずいただいている大好きなガレット・デ・ロワながら、
工程を見せていただくのは初めて。個人的にとても興味深く拝見しました。
パート・フィユテにはフランス産の強力粉を使用。
パンにもフランス粉を使用されているのですが、扱いづらいということで試行錯誤を重ね、
90℃のオーブンで1時間乾かすというひと手間もかけてらっしゃいます。
塩はゲランドの塩、バターは発酵バターを使用。
さらに水の一部にコントレックスを使用し、ある一定の硬度にするというこだわりも。
渡邉シェフのパート・フィユテは、3つ折り2回×3回。
いつもはここで、外野のシェフ陣からのツッコミがあって大変なんですが(笑)
淡々と真面目に作業を進められるシェフの姿に、今年は静かに傍観^^;

中にはヴァニラとアマレットをしっかりと効かせたクレーム・フランジパーヌをたっぷりと。
縁は編みこみ式で、縁までしっかりとフランジパーヌが入るように
空気を丁寧に抜いて仕上げられています。
プロヴァンス産の粗挽きのアーモンドプードルとアマレットで
あのビターテイストが描き出されているんですね。。。
そしてなんと渡邉シェフは、カミソリの刃で模様を描いていかれるんです!
専用のペティナイフを使われる方が多いので、シェフ陣も見入ってらっしゃいました。

最後に、純粉糖とカソナードをブレンドしたものをた~っぷりとふりかけてキャラメリゼ。
竹串で丁寧に模様を浮かび上がらせていきます。
材料や製法など、ボレロさんのガレット・デ・ロワの美味しさの秘密が
今回私の中で色々と解き明かされた気がします。
最大の美味しさの秘密は・・・シェフのとことんまでの「こだわり」ですけどね!

しっかりとキャラメリゼされた焼き色と、均整のとれた模様が美しい
ドゥブルベ・ボレロさんのガレット・デ・ロワ。
ビターテイストながら、粉とバターのふくよかな香りの余韻がたまらない
病みつきになっちゃう美味しさです。
プレーンの他に、毎年もう1種類別テイストが登場するのも楽しみのひとつ♪
昨年はマロン、今年はオレンジだったかな。
シェフのご好意もあり、毎年2種類ともお取り寄せさせていただいています。
ボレロさんの人気商品、アイアシェッケ型のオリジナルフェーブが入っていると
さらに素敵な幸せがもたらされるんですよ。

モンプリュの林周平シェフは、ビスキュイ・ド・サボワ。
スイス、イタリアと国境を接するローヌ・アルプ地方。
そのサヴォワ地方を起源とする別立てのビスキュイのお菓子です。
フランスでも長い間共立てが主流だったことを考えると、
14世紀の地方菓子としては極めて斬新な製法のお菓子でした。
13世紀にサヴォワ家の伯爵アメデ6世が、ルクセンブルクのカール4世を
晩餐に招いた際にもてなしたデザートで、羽のように軽いフワフワの
“ガトー・ド・ザヴォワ”を食べた皇帝は大変お喜びになられたそう。
“メレンゲの魔術師”の異名を持つ林シェフに、ぴったりのお菓子ですね。
きっちりとメレンゲをたて、ふかふかした生地に仕上げるコツを
伝授してくださいました。

サヴォア型と呼ばれる独特の形をした型で焼き、粉糖をふって仕上げます。
アルプスの山に雪が降りつもっていくかのよう・・・

この山のような独特のサヴォワ型で焼かれたビスキュイ・ド・サヴォワも
現在では余り見かけませんが、元来はもっとでこぼこのお城型で作られていたそう。
バターを使用せず、粉は小麦粉とコーンスターチを使用するので、
キメ細かくふかふかと軽い食感で、ほっと安心するとっても素朴な美味しさです。
ジャムやヨーグルトを添えていただくのがお薦め!
つづきます・・・