私がお伺いした日も、シャッターが降りているにも関わらず、
もう完売ですか?と尋ねるお客さまが何組もいらっしゃっていました。
初めて来られた方も多かったようです。
そのお一人お一人に、お店の状況を丁寧にご説明される服部シェフ。
そのお姿を見ていてあらためて感じました。。。
お店がオープンしてまだ1年と数ヶ月・・・こんなに短期間で
ラヴィルリエさんがここまでの人気店になったのは、
お菓子の美味しさはもちろんのことですが、服部シェフ、
そしてマダムのお人柄によるところが大きいんだろうなぁ。。。と。
人と人との心の繋がりは、大きなパワーを生み出しますものね。
ご縁があって、服部シェフとはお店をオープンされる前からの知り合いで、
その頃は一緒にお菓子屋さん巡りをしていたりもしたんですが・・・
その当時も、有名になられた今も、全く変わらない温かく謙虚なお人柄。
とても勉強熱心で、多岐にわたり深く色々なことをご存知なので、
お菓子の話から派生して、私もいつも色々と教えていただいています。
そして今回の地震に胸を痛め、フラッシュバックにさいなまれていた私に、
前向きに歩み出す勇気をくださったのも服部シェフでしたm(_ _)m
シェフのお菓子がたくさんの人達に笑顔と幸せをもたらしているように、
私もその幸せのお裾分けができるような記事を
これからも綴っていければいいなぁ。。。と思っています。
● サヴァラン・マロニエ・レヴェイユ

シーズンごとにサヴァランの新作を発表してくださる服部シェフ。
冬のパンデピス風味のサヴァラン(かなり好みでした)に続き、この春は・・・
マロンとオレンジを合わせたサヴァランが登場しました!
実は最近までマロンとオレンジって合うの?と思われていたそうなんですが、
某パティスリーさんでこの組み合わせのお菓子を食べて、
意外に合うんだ!と開眼されたそう。いつもは教えていただいてばかりだけど
これに限っては、私の方が早く知ってたかも^^;
生地はソミュールにオレンジとクローブを効かせたシロップに浸し、
さらにソミュールとグランマルニエを直接アンビベされているそう。
同じオレンジ系ながら、2種類の異なるお酒をブレンドすることで、
深く爽やかな甘みと気品高く優美な香りが、とてもキレよく仕上げられています。
余韻は甘やかな香りから、ラストノートはビターなキレのある香りへ・・・

シロップをたっぷりと抱えこめるよう、やや粗めのキメに仕上げられた生地。
この生地感が美味しさの一番のポイント!
マロンシャンティは、仏産のマロンペーストを加え強めのマロンテイストに仕上げ、
相性のいいコニャックの香りを纏わせて。
中にはマロングラッセと、‘はるか’という柑橘のゼストをが詰められています。
はるかは、コンフィチュールを炊いた残りの皮を活用されているそう。
マロンの濃厚な甘みとオレンジのビターな酸味が
コニャックとオレンジ系のお酒の芳醇でキレのある香りにより、
見事にひとつにまとめ上げられてたサヴァラン。
かなりストレートに効いてくると思うけど、ユキちゃん大丈夫かなぁ。。。
と心配されましたが・・・麗しきマリアージュを最後まで飲みほしてしまいました^^;
やっぱりサヴァランって、好きなお菓子だなぁ。。。
● タルト・モルダン・ブリュ

ブルーチーズをたっぷりと使ったアパレイユに、蜂蜜でキャラメリゼした
グルノーブル産のクルミをたっぷりとトッピング。
実は今回、このお菓子は早くもモデルチェンジを果たしたんです。
主役のブルーチーズに、以前はゴルゴンゾーラを使われていたんですが、
今回はロックフォールを使われています。
世界三大ブルーチーズの中でも 最も高価で「チーズの王様」と称される
ロックフォールは、三大ブルーチーズの中でもひときわ個性が強く、
羊乳独特の凝縮されたミルクの旨みと、青カビの強い刺激、芳醇な香りが特徴です。
チーズが苦手な方がおっしゃるには・・・
ゴルゴンゾーラは食べた瞬間にブルー感がグッと迫ってくるけど、
ロックフォールは、後からぶわ~っと押し寄せてくるそう。。。
今回もブルー感(青カビ臭さ)はかなり強烈です!

ロックフォールの塩気と香り、クルミの香ばしさ、そして蜂蜜のコクのある甘みと
それぞれに個性の強い風味と香りが渾然一体となって口中に広がり、
その勢いが衰えることなく、鼻腔からぬけていきます・・・
まったりと濃厚なアパレイユにサクッ、カリッと響くタルト生地とクルミ♪
食感のコントラストも素晴らしい一品です。
チーズケーキでありながらも、チーズが苦手な方でも!というお菓子もよくありますが、
このタルトは、ブルーチーズが苦手な方は挑戦されない方がいいかと・・・^^;
でも逆に、甘いものは苦手だけどブルーチーズは好き!という辛党の方には
ぜひ味わっていただきたいお菓子です。
だって・・・どう考えてもワインとの相性抜群の素材ばかりですものね。
しかも製菓用ではなく、普通に食べて美味しい・・・ということは
製菓用には贅沢過ぎるロックフォールを使用。
フレッシュを使用しているため、アパレイユの状態でも熟成が進んでしまうんだそう。
通の方は、ぜひこの微妙な熟成度の違いも楽しんでみてくださいね。
つづきます・・・