~今ドキの離婚事情~(14) 年金分割が始まったのに熟年離婚が増えなかった理由とは? | 法律でメシを食う35歳のブログ~露木幸彦・公式ブログ~

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1980年生。国学院大学卒。行政書士・FP。金融機関では住宅ローンのトップセールス。離婚に特化し開業。年間相談件数は1,500超。離婚サポートnetの会員は1万人と日本最大。マスコミ掲載多数。読売、朝日、日経各新聞、テレビ朝日「スーパーJチャンネル」等。

連日、うだるような暑さが続きますが、いかがお過ごしでしょうか?

 

さて今日は「年金分割が始まったのに熟年離婚が増えなかった理由とは?」について掘り下げていきましょう。

 

(14) 年金分割が始まったのに熟年離婚が増えなかった

         理由とは?

 

3組に1組の夫婦が離婚する時代です。特に熟年離婚と呼ばれる30年、40年と連れ添った夫婦が離婚するとなると問題山積で当事者はあっぷあっぷ。長年の蓄積を清算するのは大変な作業ですが、どうしたら良いのでしょうか?今回は「離婚時の年金分割制度」についてご紹介します。

年金で勘違いしやすいポイントは3つあります。まず1つ目はすべて対象という誤解です。離婚年金分割の対象は厚生年金と共済年金のみ、国民年金、企業年金、年金保険は対象外です。
これは婚姻期間中に納めた厚生年金、共済年金の最大2分の1を分割する制度です。按分割合は自由に決めることができます。通常、年金は夫>妻なので、夫が納めた年金を妻に分割しますが、男女平等なので、夫<妻なら、妻が夫に分割するケースも。
この制度が画期的なのは離婚時に手続をすれば、65歳時に何もせずに、分割した年金が「国から振り込まれてくること」(ただし裁定請求は必要)今までは元夫が自主的に元妻に振り込まなければならず、あまり現実的ではなく、年金はあきらめるしかなかったのです。

よく相談者が間違えるのは、年金分割は熟年離婚の場合しか利用できないという誤解。
実際は婚姻期間に関係なく利用可能。もちろん、年金の納付期間が短ければ、メリットは少ないが財産がまったくないケースでは、「やらないよりマシ」だから年齢に関係なく、勧めた方が良いのです。

2つ目は試算の重要性です。「年金分割のための情報提供通知書」を発行してもらい、見込額を知った上で老後のキャッシュフロー表を作りましょう。厚生年金の場合は年金事務所で、共済年金の場合、共済組合では無料で発行してくれます。ここでは分かりやすく、夫が妻に年金を分けるというケースに絞って見ていきましょう。
「年金を分割することで65歳からもらう年金が夫<妻になってはいけない」というルールがあります。これは共働きの場合に起こる現象ですが、どんな場合でも、このルールに抵触していないことを証明する必要があります。

この書類を取得する理由は何でしょうか?
ルールに違反していないか、そして老後の生活設計を試算するためです。年金事務所(共済組合)に申請書と戸籍謄本を提出すれば、無料で発行してくれます。(2~3週間待ち)50歳以上だと、具体的な試算を発行してくれる。ただし、これは現時点で年金をもらった場合の試算です。まだ今後も年金を納めていくので、金額は変動していきます。

3つ目は年金の見込みと離婚の是非です。分割できる年金が少なすぎて、生活の目途が立たない場合、それでも離婚すべきか、どうかです。年金分割が始まったのに離婚件数は増えなかったのですが、なぜでしょうか?それは妻が夫の年金をもらったところで、結局、離婚しても生活が成り立たないから。試算すると、そのことが明らかになり、離婚への歯止めになったのです。

例えば、離婚しない場合、夫婦の実入りは夫の収入+夫の年金+妻の収入+妻の年金ですが、今までの生活水準を維持することができます。
一方、離婚する場合、妻は妻の収入+妻の年金+夫の年金の2分の1で自分1人が生活しなければなりません。一方、夫は夫の収入+夫の年金÷2で自分1人が生活しなければなりません。後者の場合、二重生活になるので生活費や家賃は約2倍になるのでその分、負担は重くなるのです。
しかも最近は晩婚化、高齢出産の増加で、夫婦が60歳でも子供が大学生というケースもあり、そうすると、限られたお金のなかで、夫はどうやって養育費を払うのか、妻は子供を育てるのか。それも熟年離婚のハードルを高める一因になっています。

 

 

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