Frankfurt☆Blog

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ドイツのグルメ・暮らし・旅を写真で綴っていきます

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(長文です)

渡独してから丸三年が経過しました。

生活に慣れた一方、観光気分は抜けて、日々の機微をひそかに楽しみながら静かに暮らしています。

そんなルーティンを繰り返す毎日のカンフル剤が音楽鑑賞。

あまり古典音楽には詳しくないものの、生オケを聴くときの震えるような感動は特別です。

 

Frankfurt Oper(フランクフルト歌劇場)はオペラやバレエなど歌劇専門の劇場。

Alte Oper(旧オペラ座)に比べると規模こそ小さめですが、比較的新しいだけあって音響も優れており、字幕スクリーンなども随所に配置されています。

そして、なんといってもチケットの価格が魅力。

最も良い席で200ユーロ未満。中央寄りを選べば50~90ユーロの席でも至極快適に鑑賞できます。

 

そうした安さの理由は現代的な演出にあります。

まず、衣装は基本的に普段着です。

カルメンは白シャツにスラックス。トスカもデズデーモナも膝丈のごくごく普通なワンピース。ルサルカが愛した王子もそのへんのビジネスマンのよう。

そして、舞台装置も最小限。

背景は3パターンくらいを交互に繰り返す程度。例えば宮殿のシーンでも、舞台にあるのは机と長椅子くらい。見た目の豪華さはありません。

しかし、ということは逆に言うと、役者の力量が問われるわけです。

 

さて、この三年間で鑑賞したのは以下の通りです。

 

「Carmen(カルメン)」

Georges Bizet(ビゼー作曲)→Carmenについての記事はこちらをどうぞ♡

 

「Tosca(トスカ)」

Giacomo Antonio Domenico Michele Secondo Maria Puccini(プッチーニ作)

 

「Otello(オテロ)」

Giuseppe Fortunino Francesco Verdi(ヴェルディ作)

 

「Rusarka(ルサルカ)」

Antonín Leopold Dvořák(ドヴォルザーク作)

 

個人的に最も良かった演目は「カルメン」。

歌とダンスと演出の三本柱が絶妙に絡み合ってビゼーの楽曲を盛り上げ、「祭典」ともいうべきオペラの新しさを感じました。

 

「トスカ」は原作を大切にしたシンプルな演出で無難な印象。有名なアリア「歌に生き愛に生き」やカラヴァドッシが歌い上げる「星は光りぬ」も難なく及第点。

「オテロ」は「柳の歌」を聴きたいがために鑑賞しましたが、意外と全体的にまとまっていました。デズデモーナの悲劇性が良く表れていて、感情移入が自然にできました。

 

そして、「ルサルカ」。

水の精である美しいルサルカが人間の王子に恋をしてしまい、魔女の力を借りて「声を失う代わり」に人間の姿となり王子と婚約するも、裏切られて王子もろとも海に引きずり込まれる、という少女マンガのような物語。

ドヴォルザークの幻想的な旋律やハープの音色がその不思議なストーリーを引き立てるはず、なのですが。

演出があまりに奇抜過ぎて、今回は歌に集中できませんでした・・・。

ゼンケンブルク自然史博物館に展示されていそうなマンモスの骨標本などが出てきたり。天井からその骨標本が下りてきて、王子が挟まれてしまったり。

時折観客からもれる失笑。途中退出する人もちらほら・・・

唯一良かったのが、ルサルカを演じたKaren Vuongの歌唱力がずば抜けていたこと。全体を引き締めていました。

 

しかし、奇抜な演出も醍醐味。

ドイツは音楽を楽しむには本当に恵まれた環境です。

あと1年いられたら・・・そう思う日々です。

 

写真は開演前のゼクト♡