「大統領暗殺裁判 16日間の真実」ソウルの春、光州事件の間にあった裁判の様子を細かく描いています | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「大統領暗殺裁判 16日間の真実」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

弁護士のチョン・インフは、上官の命令によって大統領暗殺事件に関与した中央情報部(KCIA)のパク・テジュの弁護を引き受ける。軍人であるパク・テジュは、最初の公判からわずか16日後に最終判決が下される。しかし、この裁判は後に軍事クーデターを起こす、チョン・サンドゥによって不正に操られていたことが明らかとなる。

というお話です。

 

 

厄介な事件の裁判を多く担当する弁護士会のエースであるチョン・インフは、大統領暗殺事件に巻き込まれた中央情報部長の随行秘書官であるパク・テジュの弁護を引き受ける。この事件の裁判ではパク・テジュだけが軍人であり、彼だけ軍事裁判にかけられることになっていたので、誰も弁護を引き受けたがらなかったのだ。

 

軍人であるがためにただ一人軍法裁判にかけられることになったパク・テジュ。軍事裁判はたった一度の判決で刑が確定してしまうのだ。彼のために、公正な裁判を求めて戦うチョン・インフだったが、パク・テジュ自身が厳格な軍人であるため軍の規律に従うと言って助かることを求めていなかった。

 

 

さらに何故か多方面からの妨害があり、チョン・インフがパク・テジュを助けようと動いても、その手立てを潰されてしまう。裁判所は政治などの手が及ばない公正な場所だと信じていたチョン・インフだったが、さすがに何かあると感じ始める。

 

裁判中に何故か何度も外からのメモが入るのを不思議におもったチョン・インフは、それがのちに軍事反乱を起こす巨大権力の中心である合同捜査団長チョン・サンドゥからの命令であり、彼によって裁判は不正に操られていることを知る。そして…。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、韓国の重要な分岐点になった事件を映画化しています。まず「ソウルの春」が大統領暗殺事件の詳細を映画化していて詳しい内容が解ります。ソウルの春は1979年10月ですね。そしてその時の暗殺実行犯の裁判が今回の「大統領暗殺事件 16日間の真実」で描かれます。その後、軍部のクーデターが起こるのですが、それが「1980 僕たちの光州事件」で描かれます。この事件から韓国は軍事政権になるんです。

 

暗殺された大統領は酷い独裁者だったようで、彼を殺したことで民主化して国が良くなると思って「ソウルの春」と呼ばれていたらしいんですけど、結局、軍隊が政権を取ってしまったので、また民主化とはならなかったのよね。この映画を観ても解るけど、韓国って、本当に最近やっと民主化して国として成り立ったようなもんだから、日本と同等だと思ってはいけないのかもしれませんね。

 

 

映画の中でも、裁判では平気で不正が行われていて、全部裏から指示をされているんですよ。まぁ、そういう時代だったと言えばそうなんだけど、今から45年前くらいでしょ。既に私は生まれていて学校にも行っている時代です。うーん、そんな時代に、まだこんなことをしていたんだと思うと、今もまだ兵役があって男性だけが軍に入るというのが、何となく理解出来ました。時代が日本とは違うんだよね。

 

弁護士のチョンは、凄く真面目な軍人で正直なパクを助けたいと思うんだけど、彼は適当に嘘をついたり誤魔化したりが出来ない人なんです。上司に命令されたからやったと言ってくれれば、軍人が命令に従うのは当たり前なので罪には問えなくなるのに、どうしても上司の責任にすることを納得してくれないんです。

 

 

パクには妻と2人の娘がいるのですが、家族の為に軍人としての考えを曲げてくれと言ってもどうしても聞いて貰えないんです。ずーっと軍人をやってきて、命令は絶対と教え込まれてきた人に、突然に適当な嘘を言えと言っても無理ですよね。出来ないんですよ。心が壊れちゃいます。だからこれは仕方が無いなぁと思いました。可愛そうでした。

 

軍の幹部であるチョン・サンドゥが裏で操っているんですが、同じ軍人なら気持ちが解るだろうに、何で助けなかったのかしら。暗殺を見ていた人間に生きていられたら困るからでしょうね。このチョン・サンドゥ(全斗煥をモデルにした役)という人がクーデターを起こして軍事政権になるんですけど、いやぁ、強欲だったんでしょうね。どうしてもトップに立ちたかったんだろうな。

 

 

映画としては、大統領暗殺事件の後始末について細かく描きたかったのと、パク・テジュという軍人について描きたかったんだろうなと思いました。パク・テジュはこの映画の中では、ただ利用されてしまった可哀相な人という描かれ方でした。本当のところは解りませんが、いつの時代もどこの国でも、真面目で優しい人は利用されて捨てられるんですね。

 

チョン・インフは弁護士として頑張っていますが、悪いことも平気でやる弁護士です。「裁判は勝ち負けを争うもので、正しいか間違いかを判断する場所じゃない」と平気で言う人なので、何となくわかるでしょ。嘘でも何でも言って、罪を減刑させる弁護士です。なので、最初はパクにもいつも通りの裁判のように、嘘をついてくださいって言うんですけど、上手く行かずに、真剣に向き合い始めるんです。

 

 

チョンは父親が牧師で、色々と確執があったんです。詳しくは映画を観て欲しいのですが、彼は自分の父親とパクを重ねて、どうしても助けたいと考え始めるんです。あまり書いてしまうとネタバレしちゃうんだけど、チョンとパクの敵はあのチョン・サンドゥなので、いつ殺されてしまうのかとドキドキハラハラでした。だって、相手は全てを見ていて、いつでも手が出せるんですから恐ろしいでしょ。

 

今でも、中国とかロシアとか共産国は政府がこうなんだと言ったらそれが正しくなっちゃうから、どんなに無実でも助けられないんですよね。本当に怖いと思ってしまいました。だって、裁判所だって言いなりなんですよ。もう弁護士がいようといまいと、同じじゃんって思いました。一応、体裁は整えるけど、何を言っても無駄なんです。今の韓国はどうなんでしょうね。しっかりとした政治をしているなら良いんですけど、今でも反日教育をしているというから本当に怖いです。

 

 

うーん、既に「ソウルの春」と「光州事件」で内容をある程度は知っているので理解は出来ましたが、裁判のお話だけなので今一つ物足りなさはありました。人間ドラマとしては面白いのですが、実話を元にドラマ化しているのであまり大胆な改変は出来ないし、スッキリする終わり方ではないので残念だったかな。まぁ、歴史だから仕方ないんですけどね。

 

チョン・サンドゥ役をユ・ジェミョンさんが演じているのですが、顔が全然違って見えて驚きました。あの優しくてとぼけたような感じが、全く違って見えるので凄いです。恐かったなぁ。パク・テジュ役をイ・ソンギュンさんが演じていて、この作品が彼の最後の作品となったそうです。

 

 

私はこの映画、お薦めしたいと思います。ヒューマンドラマとしてはよく出来ていると思いますが、同じ時期のことを描いた「ソウルの春」「光州事件」と比べてしまうと、派手なアクションも無いので、少し寂しい気がする作品でした。出来れば3作品をセットで観て考えると、その時代の韓国がよく解ると思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「大統領暗殺裁判 16日間の真実」