「メガロポリス」
を観てきました。
ストーリーは、
21世紀、アメリカの大都市ニューローマでは富裕層と貧困層の格差が社会問題化していた。新都市メガロポリスの開発を進めようとする天才建築家カエサル・カティリナは新市長フランクリン・キケロと対立する。さらに一族の後継を狙うクローディオ・プルケルの策謀にも巻き込まれ、カエサルは絶体絶命の危機に陥る。
というお話です。
21世紀、アメリカ共和国の大都市ニューローマでは、享楽にふける富裕層と苦しい生活を強いられる貧困層の格差が社会問題化していた。富裕層の筆頭であるクラッスス3世はその財力を使ってやりたい放題。貧困層には不満が溜まっていた。
市の都市計画局局長を務め、クラッスス3世の甥にあたる天才建築家カエサル・カティリナは、新都市メガロポリスの開発を推進していた。それは、人々が平等で幸せに暮らせる理想郷(ルビ:ユートピア)を目指していた。彼は革新的な建築材料メガロンを開発しており、それによりノーベル賞を受賞していた。その材料により新都市は素晴らしいモノになると確信していた。
そんなカエサルは数年前に妻が失踪しており、殺人罪で起訴されたが無罪となっていた。本当は妻は自殺しており、カエサルは妻が自殺をしたのは自分が仕事に没頭したせいだと苦しみアルコール依存症に陥っていた。
ある日、新都市計画地のビル解体現場でカエサルが指揮をしているところに市長キケロの娘ジュリアが遭遇する。その時、カエサルが時間を止める姿を目撃し、ジュリアは彼に興味を引かれ彼の秘書となります。そして彼の壮大な建築ビジョンに惹き込まれ、彼の理想とする都市建築に協力していきます。
だが、都市財政難の中で利権に固執する市長のフランクリン・キケロは、カジノ建設を計画しカエサルと真正面から対立する。またクラッスス一族の後継を目論むクローディオ・プルケルの策謀にも巻き込まれ、カエサルは絶体絶命の危機に直面するのだが。後は、映画を観てくださいね。
今回、最後の方で少しだけネタバレしていますので、理解して読んでください。但し、この映画のネタバレは読んでから観に行った方が良いのではないかと思われます。きっと観ながら???となって行く映画なので、先に情報を入れておく方がベターです。
うーん、この映画、興行的に大失敗だったそうですが、なんかその理由が解った気がします。主人公カエサルが理想とする都市のビジョンがとても抽象的で観ている人間に響かないんですよ。確かに理想郷が作られて、そこで富裕層も貧困層も幸せに暮らせるなら良いけど、どう見ても豪華な建物が並ぶだけで貧困層がしあわせに暮らせるには程遠い気がしたんです。
それに都市が素晴らしくても、財政難の都市が住民たちに有利な税制をとれる訳がないと思うんだけど。税金を安くして住みやすい都市にするなら良いけど、財政難でどうして税金を安く出来るのか解らないんです。どこまでもカエサルの理想郷は夢物語のように見えてしまい、現実味が無いんです。
そんなふわふわした都市構想をベースに、カエサルはクラッスス家の財産相続の抗争に巻き込まれていきます。クラッスス3世の甥にあたるカエサルは天才建築家なので伯父に好かれています。もう一人の甥のクローディオ・ブルケルは、悪知恵は働くけど天才には程遠い堕落者なんですけど、伯父への媚びが上手くて気に入られています。
このクローディオは相続者の筆頭に据えられていて、早く財産を相続したいと画策しているんです。そんな彼を利用し始めるのが、クラッススと再婚したワオ・プラチナム。TVのアナウンサーでカエサルの愛人だった彼女はクラッススを誘惑し、妻の座に座ります。
しかし婚前契約書で銀行などの財産は彼女の手に入らないとされてしまっていたため、クローディオをそそのかして銀行などの財産をクラッススの生前に横取りしてしまおうとするんです。どこまでも汚い女だったなぁ。クラッススの妻の座に座って贅沢三昧しながらも、カエサルをもう一度手に入れるために裏工作をしたり、酷い奴でした。
色々とドロドロの一族抗争なんですが、カエサルはお金に執着は無く、自分の建築が出来れば良いという、”建築家あるある”の人でした。でも建築家はお金も考えながら建築しなければ建築家とは言えないんだけどね。理想だけではオナニーと一緒なんだから。でもカエサルは革新的な建築材料メガロンを開発したので、もしかしたらこのメガロンが低予算で建築出来る材料なのかもしれません。
このメガロン、内容はほとんど明かされず、映画の中でメガロンを使った衣装を着ている歌手が出てきますが、それを見ると”光学迷彩”なんです。攻殻機動隊などで公安9課が使っているあの光学迷彩です。それ建築材料なの?カエサルが怪我をしたときに、その部分をメガロンで補強していたけどキラキラしていて綺麗でした。
これだけ感想を書いても、映画の内容を伝えられていないような作品なんです。ジュリアス・シーザーのお話を盛り込んでいるのかな。でもこの映画ではカエサルは裏切られて暗殺されることは無かったですけどね。クラッスス3世がシーザー的な展開になってたかな。頂点に立っていて、強引な経営者として君臨していたので裏切りなどに悩まされていました。
カエサルはキケロの娘ジュリアと出会って恋人となり、政敵であった市長キケロとの関係が変わっていきます。このジュリアのおかげでカエサルは妻の死と決別出来て、少しづつ回復していくんです。
時を止める場面が出てきますが、この描写は本当に時を止めているんじゃなくて、時を止めるほど彼の構想が拡大して理想都市を脳の中で作っている時間だと思いました。最初は都市を夢見て自分一人で時を止められたんだけど、段々と都市計画が危うくなり止められなくなって、ジュリアと出会ってまた理想を手に入れたので時を止められるようになったんだと思うんです。だから二人なら止められるになって、そしてラストで時を止めた時は既に理想を手に入れていたので自分も止まってしまい、子どもだけが理想を夢見ていたので動いていたという事だと思います。
こういう抽象的な表現をしてくれちゃうと難しいですよね。こんなに万人ウケする訳が無いのに、コッポラさんは巨匠だからやってしまうんだろうなぁ。あなたの脳内理想郷を見せられても、一般人には解らないですよ。もっと解りやすく説明するか、表現するようにしないとそれこそマスターベーションと言われてしまいます。
ごめんなさい、今回は少しネタバレをしてしまいました。そうしないと、これ解説出来ないんですよ。でも知ってから観た方が、理解が出来ると思うんです。何の情報もなく観ると、ええ~??となる場面が多いかもしれません。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。私は好きなタイプの映画です。主人公が建築家という部分で、彼が理想都市を追い求めていく気持ちは理解が出来て嬉しくなりました。ま、予算も考えて欲しいけどね。どちらかというと、この映画は雰囲気を楽しむ映画なので、全て理解しようと思わなくて良いと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「メガロポリス」