「型破りな教室」
を試写会で観てきました。トーキョー女子映画部さん枠で当選し、試写会で観せていただきました。
ストーリーは、
アメリカとの国境近くにあるメキシコ・マタモロスの小学校。子どもたちは犯罪と隣りあわせの環境で育ち、学力は国内最底辺だった。6年生の半数以上が卒業を危ぶまれるなか、マタモロス出身の教師フアレスが赴任してくる。フアレスの型破りな授業を通して探究する喜びを知り、それぞれの興味や才能を開花させていく。しかし…。
というお話です。
麻薬と殺人が日常と化したアメリカとの国境近くにあるメキシコ・マタモロスの小学校。子供たちは常に犯罪と隣り合わせの環境で育ち、教育設備は不足し、意欲のない教員ばかりで、学力は国内最底辺だった。
特に6年生の半数以上が卒業を危ぶまれるなか、出産のため辞職した6年生の担任の代役として、マタモロス出身の教師フアレスが赴任してくる。彼のユニークで型破りな授業は子供たちを困惑させたが、その教育を進めていく内に子供たちは探求する喜びを知り、自分から率先して図書館へ行ったりネットで調べたりをするようになり、次第に”物の道理”を理解していくことになる。
しかし周りから見れば遊んでいるようにしか見えず、他の教師からは問題視され、校長は心配して彼の教室を訪ねるが子供たちの好奇心に触発され、校長も彼の教育方針に飲み込まれていく。
しかし国が主催の学力テストが迫っており、また最底辺の成績では国に問題視されてしまう。何とか学力テストだけは良い点数を子供に取らせようと、他の教師が前もって試験問題を手に入れて子供にズルをさせようとするが、フアレスは断固反対する。すると教育庁から偉い人が来てフアレスを停職処分としてしまう。そして危険な街で子供にも大変な事が起きて…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、良い内容でした。実話を元に作られている映画で、2011年に本当にこんな風な先生がマタモロスにいらして、こんな奇跡が起きたそうです。最初、変な先生だなぁと私も思いました。だって、教室の机と椅子を端っこに片付けちゃって、いきなり教室は海で溺れるから助けて欲しいというんです。船で助けるとなって、じゃぁ、なんで船って浮くの??という問題に突き当たるんです。
私は大人だから浮力を受けるからと簡単に思ってしまいますが、子供たちは直ぐに解らず、解ってくると、じゃぁ、浮力って何?となってくるんです。そして物の重さ、比重と調べていくんですよ。知識欲なのか好奇心なのか解りませんが、凄く楽しそうに探求し始めるんです。
しかし教科書の問題を解けというと、面倒臭い、解らない、意味あるの?と言って興味を持って調べることが無いので覚えないんですよね。人間の脳ってシナプスで繋がっているから、船が浮く→水→空気→重さ→浮力と理解して繋がって覚えていくなら忘れないのですが、ただ船は浮く→浮力を受けるからという答えではその原理が解っていないから覚えないんです。
このフアレス先生がどこまで理解して生徒にこの教え方をしたのか分かりませんが、この教え方って教育の近道なんですよ。遠そうに見えて一番理解が早くなるんです。数学がこの典型でしょ。方程式って道理が解って理解が出来ていないと答えが出てこないですからね。なので子供たちは遊びながら学力が自然と上がっていたんです。
そんな子供たちの勉強に大きな障害となってくるのが、この地域の治安であり貧困です。パロマという少女は天才的な脳を持っているのに、親が貧困で病気がちなので勉強する時間がありません。学校に通うだけでも大変なんです。フアレスはそれを知って、父親にパロマは特別な子だから勉強をさせてあげて欲しいというのですが、まさかと言って取り合ってくれないんです。
本当は親が子供を一番観察して理解してあげなきゃいけないのに、近すぎるからなのか親って子供が見れていませんよね。かといって教師が子供を見れているかというと、全く見れていないと思います。このフアレスは特別です。教師なんて自分の事で精一杯ですから、子供をこの映画のように理解している教師なんてほとんどいないと思います。だから、この映画は奇跡なんです。
そして治安についてですがマタモロスという地域は凄く悪い地域のようですね。映画で描かれているだけでも、若者が平気で銃を持ち歩き、暴行、レイプ、麻薬は日常茶飯事のようでした。映画なので現実よりはゆるく映画にしていると思いますので、本当はこれ以上に残虐な事をしているのでしょう。ゾツとしました。
犯罪地域の中に学校があり、子供たちは毎日危険にさらされながら学校は通学しているんです。朝は親が送っているようでしたが、帰りは子供だけで帰ってくるので怖いです。死○が街の中に転がっていて、子友達はその横を通って学校から帰るんです。恐ろしいですよね。
一人の子はギャングの中で育ってきたのでギャングに入れと言われるのですが、学校での勉強で色々な事を知り、ギャングにはなりたくないと思い始めて揉めることになります。
もう一人は、頭の良い女の子で哲学の本を読んで勉強に目覚めていくのですが、母親が子供を何人も産み弟妹が増えて、母親も働かなければいけなくなり、子供の面倒を長女が見なくては行けなくなって学校に通えなくなるんです。
キリスト教の国だと中絶が出来ないから、そのしわ寄せがきますよね。その少女は進学して哲学の勉強をしたいと思っていたのに、その夢は絶たれて、子供たちが成長するまで学校には行かせて貰えないんです。酷い親だなと思いましたが、その地域では仕方がないことだったのかな。私は納得が出来ませんでした。
この映画を観ると、勉強とはこういうことだと知った子供たちが本当に楽しそうに勉強に取り組んでいる姿が素晴らしかったです。好奇心を持って自分の興味で前に進んでいくというのは脳が活性化するんです。そして1つを理解し始めると、他の事もどんどん吸収していくというのが、この子供たちを見ていると解るんです。まるで水を吸収するスポンジのようで驚きました。
この映画、私は超!超!お薦めしたいと思います。本当に面白かったし、子供には詰め込み教育ではなく自分で探求させる勉強の方が身に付いていくのだというのが、この映画を観ていると理解出来るんです。本当に素晴らしいと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「型破りな教室」