「碁盤斬り」実直さが命取りになる場合もある。人は柔軟性によってしあわせを手に入れることが出来る。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「碁盤斬り」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

身に覚えのない罪をきせられたうえに妻も失い、故郷の彦根藩を追われた浪人の柳田格之進は、娘のお絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らしていた。実直な格之進は、囲碁にもその人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心がけている。そんなある日、旧知の藩士からかつての冤罪事件の真相を知らされた格之進とお絹は復讐を決意。お絹は仇討ち決行のため、自らが犠牲になる道を選ぶが。

というお話です。

 

 

浪人・柳田格之進は、貧乏長屋で娘のお絹と暮らしている。印章を掘る篆刻を生業としているが仕事は殆ど無く家賃を滞納しており、お絹が縫物などをして食いつないでいた。実は柳田は、身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われてここに流れてきたのだった。

かねてから嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けている。賭け囲碁はやらないが、ある日碁会所で萬屋源兵衛という商人と出会う。柳田の綺麗な囲碁を見て、それまでのえげつない商売を正すと商売が繁盛し始める。それが縁で萬屋と柳田は囲碁の交流を始める。



 

ある日、旧知の藩士・梶木により、悲劇の冤罪事件の真相を知らされた格之進とお絹は、柴田兵庫への復讐を決意する。仇討ちに出かけようとしたその時、萬屋の弥吉が訪ねてくる。先日、お月見の宴の後、ある問題が起こり、それについて柳田に話に来たのだった。

仇討ちを一旦止め、お絹が犠牲となって萬屋との問題にケリをつけ、お絹を大晦日までに助けるという約束をして仇討ちに出発する。父と娘の、誇りをかけた闘いが始まる!後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、凄く良くて早く感想が書きたくなっちゃいました。先週や先々週に公開した映画の感想もまだ書いていないんだけど、ごめんなさい、先に書かせていただきます。

 

とても面白い映画で感動作でした。時代劇で仇討ちの作品は多くあるけど、この映画では仇討ちする方もされる方もそれなりの理由があり、簡単には憎めないというところだと思うんです。

 

主人公の柳田は実直な人柄で曲がったことが大嫌い。正しい行いこそが人々を幸せに導くことになると信じているような人物でした。一方、彼の敵となる柴田は卑怯な手を使うことを躊躇せず、平気で業者からの裏金も受け取るような人物です。汚い奴だけど、彼には彼なりの考え方があるんです。現代でも社会って清廉潔白な人間だけじゃ回っていきませんよね。

 

 

政治家の行動は目に余るし許せないけど、あまりにも安い給料で働かされていたら、出入り業者から賄賂を貰って優遇するとかって、生活のために必要な悪でしょ。もし生活が苦しくないようなお給料を貰っていたならやらないけど、そうでなかったならこれって必要悪じゃないのかな。犯罪だけど責められない気がするなって思いました。

 

柳田は清廉潔白、犯罪は許せないというタイプなので、彦根藩にいた時も誰かが悪い事をしていれば許せずに進言をしていたらしいんです。もちろんそれは正しいことだと思いますけど、もしかしたら相手にも理由があったかもしれないでしょ。まず訴えるよりも何故お金が必要なのかを聞いて、どうしたらよいかを一緒に考えてあげるべきだったんじゃないかと思うんです。柳田にはそういう柔軟性が無いんですよ。

 

 

そんな柳田の融通の利かなさが柴田には許せなかったんじゃないかな。まぁ、だからと言ってやっていい事と悪い事があるけど、積もりに積もっていたのかなとも思いました。それにしても柳田の奥さんとのことは許せないけどね。やっぱりイヤな奴だった。私は許せんって思ったな。

 

この映画は仇討ちだけのお話じゃないんですよ。柳田は貧しくても心は気高く生きていて、囲碁にもその気高さが出ているんです。商人の萬屋は柳田と知り合い、それまでケチケチした商人だったんだけど、余裕を持って相手に譲ることで自分に利益が帰ってくるということに気が付き、商売に余裕が出たら以前よりももっと儲かるようになったようなんです。

 

 

萬屋は柳田の人柄に惚れ、交流を持ち、彼を信じるようになるのですが、店の従業員はそれを理解出来ず、ある問題が起きてしまうんです。この問題によって柳田は、以前に彦根藩で受けた冤罪の屈辱と同じ気持ちをまた味わうことになってしまいます。何故か真面目に生きているのに、運が悪いというか要領が悪いというか、付いてない人間なんですよね。

 

思うんだけど、柳田のように頑固で考えを曲げない人間だと人との関係があまり深くならず、信頼関係を築くのが難しいのかなと思いました。だから疑われたりしてしまうんじゃないかと思うんです。心を柔らかくして誰にでも心を開き、相手の立場や気持ちを理解してあげることで信頼関係も深くなり、あらぬ疑いをかけたりすることは無くなるのかなと思いました。

 

 

考えてみると、柳田は真面目で良い人だけど、やっぱり人の心をよく解っていなかったんじゃないかと思いました。だから色々な問題に巻き込まれ、嫌な思いをすることになっちゃったんだと思います。最初から柔軟性を持って、人の気持ちに寄り添うことをしていれば、どの問題も起きなかったような気がしました。柳田も、きっと色々な経験からそれが解ったんじゃないかな。

 

人間の心の持ちようで人生が一つ一つ変わって行くのだということが良く描かれていて、とても面白く考えさせられました。白石監督の作品は本当に心にグッと入り込んで、感動を与えてくれます。観た後に気持ち良くなりました。

 

 

私はこの映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。ただ真っ直ぐに生きるだけじゃ人間は生きていけないのだということが描かれていて、考えさせられました。囲碁が解ればもっと面白かったんだと思うけど、そこはちょっと残念でした。次に観に行くまでに、ちょっと囲碁の勉強をしていこうかな。初日に観たのですが、また観に行きたくなってきました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「碁盤斬り」