イタリア映画祭「夜のロケーション」アルド・モーロ元首相誘拐暗殺事件をドラマ化。6話構成です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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イタリア映画祭にて、

 

「夜のロケーション」

 

を観ました。これはシリーズ作品で6話から作られています。
 

巨匠マルコ・ベロッキオ監督の渾身の一作は、上映時間330分の超大作。1978年、世界を震撼させる事件がイタリアで起こる。アルド・モーロ元首相が極左テロ組織「赤い旅団」によって誘拐、暗殺された。監督は6つのエピソードを設け、それぞれにパウロ6世(ローマ教皇)、モーロの妻、内務相など中心的な人物を配置し、多角的な視点で謎めいた事件の真相を浮かび上がらせようと挑む。

 

 

ストーリーは、

 

第1話

アルド・モーロは戦後一貫して与党だった中道右派のキリスト教民主党の政治家で、首相を6年間務めた。1978年、彼は穏健路線に転じたイタリア共産党と協力して、新政権の樹立を目指していた。それは冷戦下において、西側と共産主義が手を結ぶ構図を示しており、国内外から批判を受けていた。そんななか、第4期アンドレオッティ内閣の信任投票当日3月16日の朝、モーロは車で下院に向かう途中、左派のテロ組織”赤い旅団”に誘拐される。

 

第2話

モーロ救出の指揮は内務大臣コッシーガの手に委ねられた。実行犯を割り出し、大掛かりな捜査を開始するも、なかなか成果が上がらない。3月29日、コッシーガは囚われの同僚モーロから手紙を受け取る。内容は、赤い旅団との秘密裏の交渉を望むものだっあt。コッシーガは首相アンドレオッティにその旨を伝えるが、すぐに赤い旅団がこの手紙を公開し、秘密の交渉の芽は潰える。様々な情報に翻弄されて、コッシーガは神経をすり減らす。

 

第3話

高齢の教皇パウロ6世もまた、モーロの救出に乗り出す。200億リラ(約15億円)を用意し、イタリア国家ではなく、カトリック教会として赤い旅団に身代金を支払うことをアンドレオッティに提案する。アンドレオッティは、すぐにイタリア軍司令官に相談するが、司令官たちはテロ組織に多額の身代金を渡す危険性を主張し、猛反対する。いっぽう各政党のリーダーは賛成する。足並みのそろわないまま、赤い旅団と教皇の交渉は失敗に終わる。

 

 

第4話

女性活動家アドリアーナは、恋人とともに赤い旅団に参加し、一人娘を母親に預け、モーロ誘拐をサポートする。誘拐が成功し彼女が喜んだのも束の間、モーロがコッシーガに宛てた手紙を勝手に公開することで秘密の交渉を台無しにする同士たちの態度に疑問を覚え、またそれに従うだけの恋人にも幻滅する。アドリアーナは出身母体の左翼組織と交流し、モーロ処刑を食い止めようとするが、赤い旅団が強硬な姿勢を崩すことはなかった。

 

第5話

モーロが誘拐され、ショックを受けるエレオノーラだが、要人たちやマスコミの前で気丈に振舞う。そして赤い旅団の交渉に応じないキリスト教民主党を痛烈に批判し、またその書記長ザッカニーニを責める。4月30日、赤い旅団のメンバーから電話で、このままザッカニーニが交渉に応じないなら、モーロを殺害すると告げられる。急いで大統領レオーネに電話してサッカニーニを説得するよう懇願するが、曖昧な態度のまま電話を切られる。

 

第6話

5月8日、モーロが囚われている赤い旅団の隠れ家に、神父がやってくる。モーロは、自らが率いたキリスト教民主党と首相アンドレオッティに対する憎しみを告白する。翌日、コッシーガたちの淡い希望をよそに、ローマの中心地に停車した車のトランクからモーロの遺体が発見される。翌年、モーロ誘拐に関わったアドリアーナたちは逮捕される。事実上モーロを見捨てたキリスト教民主党の面々は、その後も長きにわたり政権を牛耳る。

 

という6話で構成されています。

 

 

このドラマ、面白かったです。イタリアのアカデミー賞的なもので、賞を貰ったらしいとSNSで見ました。これだけ面白ければ、そりゃ、賞を貰うでしょうと納得しましたもん。

 

1話が55分ありまして、全部を観ると330分で、まぁ、6時間ですよね。でもね、通常なら疲れちゃって、途中でウトウトしてしまうのですが、この映画は違いました。もう、次に何が起こるか予想が出来ず、面白くて、興奮しちゃって、眠くならないんですよ。

 

1978年に、イタリアでこんな事件があったんですね。私は生まれていたと思うけど、全く記憶にありません。ちょっと、日本の安倍さん的なポジションだったようですね。ずっと首相を務めていて、その後、キリスト教民主党の党首となっていたらしいので、似ているんじゃないかな。

 

 

何故、誘拐をされたかというと、民主党なのに、共産党と手を組もうとしたらしいんです。日本で言えば、自民党が共産党と手を組む感じかしら。私、自民党が公明党と連立すると言った時だって、え?創価学会と手を組むの?って思って、凄い違和感を覚えたんだけど、結局、仲良くなっちゃいましたよね。日本は、そういうところ甘いから、テロとかは起きませんよね。

 

そんな事で、アルド・モーロ元首相を、赤い旅団という組織が拉致したんです。映画では、拉致監禁されている間の、イタリア政府の動き、ヴァチカン市国のローマ教皇の動き、モーロの家族の動き、赤い旅団の動きと、それぞれに、どう動いて行ったのかということが描かれています。

 

イタリア政府は、コッシーガを筆頭にモーロ奪還を模索しますが、動きが悪いんです。どーも、この時期、アンドレオッティ首相は、モーロと対立関係にあったらしく、首相はテロに屈して身代金を払うという事を拒否し、交渉が進まないんです。あまりにも動かないので、ローマ教皇が、自分たちが身代金を用意して払いますと言うんだけど、交渉が上手くいかずに決裂してしまいます。

 

 

この話を観ていると、政府内部もゴタゴタしていて、モーロさんを助けようという意志のようなものが一切感じられないんです。通常、テロ組織には屈しないけど誘拐は許されないからと言って、強引な捜査が行われると思うけど、警察官たちも、そんなに強い指示がされていないのかもしれないけど、赤の旅団の人間の写真を持っているのに、目の前を歩いていても気がつかないんですよ。

 

まぁ、変装はしているけど、どう見ても、顔はそのままだから解かるよねって感じでも、気がつかないんです。それだけ、上層部が必死じゃなかったということです。ということは、政府側にも、モーロに帰ってきて欲しくない人達がいたって事でしょ。恐ろしいですよね。モーロの奥さんに会って、直ぐに連れて帰りますとか言ってるくせに、その気が無いなんて、信じられませんでした。

 

ローマ教皇が、必死で助けようと動いてくれているのですが、こちらも上手くいかないんですよ。なんだか、偽物の赤い旅団らしき人たちが沢山いるみたいで、誰が本当の事を言っているのか解らないんです。ヴァチカンの神父が交渉にあたるのですが、イマイチ、見抜けなくて、諦めるんですよ。こちらは、可哀想でした。こんなに必死で動いていたのに、赤の旅団の方が、意見が分かれているのか、本当に身代金が欲しいのか解らずなんです。不思議でした。

 

 

映画の中の赤の旅団は、自分たちでこんな運動をしたって、イタリア政府が変わることは無いんだからと、諦めムードなんです。なので、一貫性が無く、身代金が欲しいとか欲しくないとか、モーロを殺すとか殺さないとか、意見が分かれるんです。不思議な組織でした。あの頃のテロ組織なんて、こんなもんだったんですかね。真剣に世界を変えたいと思っている人たちが、テロ組織になるんかと思っていたけど、意外と、お金目的とか、そういうタイプなんですね。ホント、カッコ悪い人たちだなと思いました。

 

この映画、本当に面白くて、いくらでも感想が書けてしまうんです。それくらい、良い映画でした。6時間を映画館で観るのは、結構、キツいので、出来たら配信で分けて観た方が良い気がしますが、大画面でみる迫力は、TVでは感じられませんから、うーん、難しいです。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。本当に素晴らしい映画だと思いました。面白いんです。でも、長いんです。さすがに、映画館で、6時間、ぶっ続けで観てくださいとは言いづらいなぁ。きっと、作品賞や主演男優賞を貰った作品なので、どこかの会社で配信してくれることを願っています。機会があったら、ぜひ、観てみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「イタリア映画祭 2023」