「マッドゴッド」
を観てきました。
ストーリーは、
荒廃した未来世界。地下世界に潜り込んだ孤高の暗殺者が、老朽化した地下壕やそこにうごめく不気味なクリーチャーのあいだをくぐり抜け、やがて化け物たちの巣窟と化したこの世の終わりを目撃する。
というお話です。
20世紀初頭に特殊部隊が着ていたような防寒具とガスマスクを付けた謎の人間が、小さなポッドに乗り込み、紐で吊るされて、深海に潜るように下ろされていく。長い間下ろされた先は、荒廃した世界だった。
地上に降りた謎の人間=アサシンと呼ぼう。アサシンは、何かの地図らしきモノを見ながら進んで行く。足元に小さなドワーフが言い合いをしているが、目に入らないのか、アサシンは踏みつぶして行く。先へ進むと、穴から人間らしきモノが這い出し、それを、唯一灯りの点いていた建物から出てきた巨大生物が捕食する。アサシンは、隠れてやり過ごし、また地下へと進んで行く。
実験施設らしき建物があり、実験動物らしきモノが助けて欲しそうにアサシンを見ている。その横にも色々なモノが捕まっているが、それを横目に先へ進む。
アサシンの何倍もの大きさの巨人が椅子に囚われ、電流で悶え苦しみ垂れ流す体液を集め、その地下に住む機械と生物が融合したモノが食べている。アサシンは、その生物に見つかるが、襲ってくる気配はない。
さらに降り、アサシンは持ってきたスーツケースを取り出して、時限爆弾を作動させる。そこを謎の機械に襲われ、捕まってしまう。そして時限爆弾は残り1秒で故障してしまう。
アサシンは手術台に縛り付けられ、どんどん解剖をされていく。ここまで来たのに、本懐を遂げられず殺されてしまい…。後は、映画を観てくださいね。
この映画を、どう伝えたら良いのか、よく解りませんが、なんか面白かったです。曖昧でごめんなさい。だって、この映画、セリフは全く無くて、説明も無いんです。その場面場面の環境音と、時々、変な動物が出す声らしきモノだけが聴こえて、後は、何も無し。でも、もちろん、表情や、動作で、何を伝えたいのかは解るのですが、これが本当の解説ですというものは、解らないんです。でもね、私の解釈で感想を書いて行きますね。
荒廃しきった世界に、空から降りて来るアサシン。きっと、その昔、この世界に生きていた人間じゃないかと思うんです。でも、もうどうしようもない世界になってしまって、この世界を捨てて、どこかへ移住したんじゃないかな。でも、出来れば、もう一度、この地上をマトモな世界にしたいと思って、人間は、アサシンと呼ばれる、世界を壊す人を何度も送り込んでいるんじゃないかな。
最初の方の場面で、紐で吊り下げたポットが、この主人公のポット以外にもあるように見えたので、何人ものアサシンが下りてきているんじゃないかな。彼は地図を見ていたので、地上の何か所かに時限爆弾を仕掛けて、爆発させようとしているんじゃないかと思うんです。そして、全体の爆発が終わり、今、地上にいる奇妙な生物を一掃してしまったら、降りてこようと考えているのではないかと思いました。
地上には、何種類もの生物が生息していて、荒廃した世界で生き残った人間もどきもいるように見えました。意志があるのかどうかは解りませんが、生きることには執着していたんじゃないかな。捕まっていた実験動物たちは、逃げたそうだったし、とにかく残酷な世界でした。ここに生きる生物たちは、他の動物を捕食することしか考えてないように見えました。一応、人間を作る工場みたいな場面もありましたが、食べ物を生産する訳でもなく、他者から奪うことだけで生きているように見えました。
人間も、食べ物が減って、究極な貧困状態に陥ったら、こんな風にあさましくなっていくのかなというような、そんな恐ろしい世界でした。監督のフィル・ティペットさんは、今、考えないと、地球は恐ろしい場所になるかもしれないよっていう事を言いたかったのかしら。マジで恐かったです。
ストップモーションアニメと、実写を組み合わせて作られた作品です。とてもグロテスクで、スプラッター系と言ってよい内容でした。内臓を掘り出すし、生きたまま食べるし、苦しめて体液を絞り出すし、これ、文字で書いているだけでも気持ち悪い感じです。よくここまで描いていたよなぁと思いました。ま、それを観て、楽しむ私もおかしいのかもしれませんが、この映画、何とも言えない魅力があるんです。何なんだろう。気持ち悪いのに、その表現の技術に美しさを感じるというか、想像力に脱帽するというか、こんな凄い創造をする人がいるんですねぇという感じでした。
「チェンソーマン」でも、色々な悪魔が出てくるけど、その上を行くような悪魔的な生物が出てきて、本当に凄いなと思いました。私、チェンソーマンを初めて読んだ時に、凄い想像力をもった漫画家さんだなと思ったけど、もっとその前に、フィル・ティペットさんのような、想像力の方がいらしたんですね。うーん、凄かった。カルチャーショックを受けました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。私個人としては、超!超!お薦めなんだけど、これは万人にはお薦め出来ません。あまりにも残酷で、通常なら目を背けたくなるような映像もあります。未成年はダメです。でもね、もし、映像関係を目指したりするなら、この「目のアップ」とか、色々な表現方法は、絶対に観ておくべきだと思いました。エンタメとして観るなら万人には薦められませんが、芸術としてならお薦め出来ると思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「マッドゴッド」