【フランス映画祭 2022】
「ロデオ」
を観てきました。
ストーリーは、
移民が多く住む集合住宅に住むジュリアと家族。ジュリアはバイクが好きなのだが、女が偉そうにと家族に言われ、孤立していた。その地域では、ジュリアの兄が仲間とバイクなどの窃盗をして稼いでおり、ある日、ジュリアがどこかから盗んできて乗っていたバイクも、勝手に持っていかれてしまう。怒るジュリアだが、兄たちは相手にしない。
ジュリアは、ネットで販売されている好みのバイクを、購入すると見せかけて盗むという窃盗を一人で行っており、また、そのやり方でバイクを盗む。手に入れたバイクを乗り回し、大喜びのジュリアは、ある夏の日、クロスビトゥームという、ヘルメットを装着せず全速力で走り、アクロバティックな技を繰り出すイケてるバイカーたちに出会う。
その仲間に入れて貰おうと頼むが、女は仲間にしないと言われ、邪魔だから他で乗れと言われてしまう。しかし、その場所に警察が現れ、大勢のバイカーが逃げる途中に大きな事故が起こってしまう。事故で怪我をしたバイカーをジュリアが助けた事をきっかけに、グループに入れて貰えるようになる。
しかし、女だという理由で、全員には信用して貰えず、大きな窃盗の仕事などには入れて貰えない。悔しく思ったジュリアは、自分で考えた大きな窃盗の作戦を実行しようと持ち掛けるのだが…。
後は、映画を観てくださいね。
カンヌ国際映画祭である視点部門審査員特別賞を受賞した作品です。フランスの貧困層の人々の暮らしを描いている作品でした。ジュリアとい女性は、女ということで、どうしても男と同じように扱われないジレンマを抱えていて、家族内でも上手く行っていませんでした。なので、家にも帰らなくなり、居場所を見つける為に、色々な場所を転々としていたのかもしれません。
そんな時に、クロスビトゥームというバイクの遊び方を知り、それにのめり込んでいくのですが、そこでも”女は出て行け”と言われてしまいます。こんなに性差別が酷いことに驚きました。日本でも、これほどあからさまに女は邪魔だというような事は言わないのに、性差別が改善されつつあるヨーロッパでも、こんな状態なんですね。
というか、貧困層の人々の中では、差別が酷いのかもしれません。ある人物の妻と息子が出てくるのですが、女は男の所有物と思っているのか、妻にはお金を渡さず、いつも息子と二人で家の中に閉じ込めていて、買物も手下がしてくるという状態でした。ジュリアが買物係になり、女性にしか解らないモノ(生理用品など)を、やっとマトモに手に入れられるようになったみたいでした。酷いでしょ。許せないなと思いました。
そんな場所で、ジュリアは、自分を認めて貰おうと頑張っている姿が、苦しいなぁと思いました。どうしてそんな場所で頑張るのか、もっと他の世界に行けばよいのにと思いました。何で、そこが良かったのか、よく解りませんでした。そのクロスビトゥームという競技のようなモノも、そこだけじゃなくて、他でも出来るでしょ。わざわざ、犯罪組織と一緒にやる必要無いと思うんだけど、彼女には、どうしてもそこでという気持ちがあったのかもしれません。
映画としては面白いのですが、社会情勢や性差別の問題が、イマイチ、理解出来ませんでした。何で、そんなに窃盗団が多いのか、ネットでバイクを見つけて簡単に盗めてしまうというのも、どうなのかなと思いました。こんなに簡単に盗めるなら、誰もが対処しそうなもんなんだけど、毎回、成功するって、何なの?誰も盗難対策をしないのかな。その辺りが、とても不思議でした。
主人公が、盗んだバイクで嬉しそうに走っている姿があるのですが、どうしても、盗んでんじゃんって思ってしまい、共感出来ず、何で捕まらないのかしらと思ってしまいました。やっぱり、盗まれた方の事も考えてしまうので、私には、ちょっとダメな映画だったかな。
ジュリアは、抑圧された社会の中で、バイクに乗っている時だけが、自由になれたのかもしれませんが、他人の犠牲の上に成り立っている自由というのは、本当の自由じゃないと思うんです。ただ、何も考えずに、自分本位に生きているとしか思えません。辛いのは解るけど、みんな、その中で、もがいて生きているのだから、自分は許されると思わないで欲しいなと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。フランスの貧困層がどんな暮らしをしているのか、どうやって生きているのか、その人達の中では、まだまだ性差別が強く、女性は辛い生き方を強要されているのかもしれないという事が解りました。映画としては、面白い切り口で、良い作品だと思いますが、私は、主人公には共感出来なかったかな。日本公開は、どうなのかしら。もし、公開されるようでしたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ロデオ」