「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」
を観てきました。
ストーリーは、
イギリスの上流階級に生まれたルイスは早くに父を亡くし、一家を支えるためイラストレーターとして働くように。やがて妹の家庭教師エミリーと恋に落ちた彼は、周囲から身分違いと猛反対されながらも彼女と結婚。しかしエミリーは、末期ガンを宣告されてしまう。そんな中、ルイスは庭に迷い込んできた子猫にピーターと名づけ、エミリーのために子猫の絵を描き始める。
というお話です。
イギリスの上流階級に生まれ、父亡きあと一家を支えるためにイラストレーターとして活躍するルイス。一家は、長男のルイス以外は女性であり、上流階級の女性が働くなど以ての外。早く結婚をして出て行くのが良しとされる時代。ルイス一人で何人もの家族を養うのは大変でした。ルイスは少し自閉症ぎみの性格だったので、人付き合いが苦手でした。
そんな中、妹に家庭教師を雇うことになります。何にでも興味を持つ家庭教師のエミリーは、美しく賢くて、ルイスは一目で恋におちます。彼は、身分違いだと言って家族が大反対する中、その声を押し切り結婚します。しあわせな結婚生活を続けているのですが、経済的な困窮は続いていました。
結婚してまもなくエミリーは末期ガンを宣告されてしまいます。庭に迷い込んだ子猫にピーターと名付け、エミリーのために彼の絵を描き始めるルイス。仕事が減り、出来るだけエミリーと一緒にいるようにしていました。深い絆で結ばれた“3人”は、残された一日一日を慈しむように大切に過ごしてゆきますが、ついにエミリーがこの世を去る日が訪れます。ルイスは、世界が終わったかのように悲しみます。
それ以来、ピーターを心の友とし、ネコの絵を猛然と描き続け大成功を手にしたルイスだった。しかし、彼はお金に無頓着であり、絵の版権などは全て取られてしまっていた。その為、どんなに名前が売れても、生活は困窮が続いてしまう。
家族に責められ、次第にルイスは精神的に不安定となり、奇行が目立つようになる。しかし家族を養うために、アメリカへ渡り、新聞社の仕事などを受けるようになるのだが、精神面はどんどん悪くなり、イギリスに戻り、病院に収容されることになる。そして、「どんなに悲しくても描き続けて。」というエミリーの言葉の本当の意味を知る。後は、映画を観てくださいね。
ルイス・ウェインさん、とても有名な猫の画家さんなのですが、私、この映画で初めて知りました。でも、猫の絵は、何度も見たことがありました。このネコさんの絵って、色々な風刺やら、何やらで使われることが多いですよね。この絵が、ルイスさんの手によるものだと、初めて認識したんです。彼の描く猫は、本当に活き活きしていて、楽しそうで、忘れられない絵ですよね。印象に残る表情をしているのだと思います。
ルイスの生まれた家は上流階級ですが、早くに父親が亡くなったので、お金はあまり無かったんじゃないかな。妹が親が残してくれたとか言ってたけど、これだけ家族が多いんじゃ、少し残してくれたくらいじゃ足りないでしょ。ルイス以外は、全て妹で、全く働く気なんて無いんですから。結婚もしないんですよ。
はっきり言って、酷い家族だなぁと思いました。ルイスが人と関わるのが苦手と解っていながら、長男なんだからと言って、外に出すのは間違っていますよね。せめて、兄のお金の管理くらいは、経理の勉強をして手伝ってあげていれば、版権を取られることも無かっただろうし、もっと、お金に苦労をしなかっただろうと思いました。
要は、上流階級だからって、何もしていなかったという事なんです。お金が湧いてくるとでも思っていたんじゃないの?そんな家族の所に、美しくて、賢いエミリーがやってきて、妹の家庭教師を始めてくれて、ルイスは目から鱗が落ちたんじゃないかな。女性でも、こんな風に、自分の意志で動けるんだと知ったんだと思うんです。なので、彼女に惹かれたと思うんですよねぇ。もう、ルイスはぞっこんでした。いつも付いてまわっていそうな感じかな。子供が母親について歩いているような感じです。それくらい、愛していたし、頼りにしていたのだと思います。
そんな彼女と見つけたハチワレ猫のピーター。この子が、超かわいいのよ。もう、目がくりくりっとしていて、おとなしくて、顔を見上げる表情は、いつも何かを喋っているような感じでした。動物って、いつも何かを語り掛けていますよね。目で訴えていますもん。特に、一緒に暮らしていると、もう、以心伝心になっていきますよね。うちの子だって、ドアの前に歩いて行って、そこで立ち止まるだけで、”開けてよ”って言っているのが解るんですもん。ホント、困っちゃう。ペットの下僕です。
ルイスは、エミリーとピーターと一緒に暮らしている時間は、とても幸せそうに見えました。絵に描いたような美しい家族とは、こういうものだという感じでしたが、エミリーが亡くなり、しばらくして、ピーターも亡くなってしまいます。そこから、ルイスは壊れていきます。家族の面倒をみて、頼る人もおらず、孤独でした。なんで家族が、もっと助けてあげなかったのかなと思います。上流階級だって、必要な知識を身に付けなければ生きていけないっていう教育をしなかった親がいけないんじゃないかな。バカじゃ、生きていけないんです。
それにしても、猫ちゃん、沢山出てきたなぁ。結構、色々な子を飼っている場面がありました。でも、病院じゃ飼えないので、ルイスが病院に入ってからは、可哀想でした。弱っている人に動物セラピーって、効くと思うんだけどな。そういう精神的な治療もやっていくべきですよね。
ルイス役のベネディクト・カンバーバッチさん、精神的には弱いけど、絵を描くことで強くいられるようなルイスの様子が伝わってきて、良い映画でした。ルイスさんの人柄がよく描かれていたと思います。この映画を観る限り、ルイスさんは絵の天才だったんじゃないかな。凄いスピードで描いてましたもん。それも、両手でペンを持って描いてました。ビックりでしょ。エミリー役のクレア・フォイさんは、優しくルイスを包み込むような大きさと温かさを持った女性で、素敵でした。男性が憧れる女性像じゃないかな。
そうそう、ひとつだけ。最後の方で、猫がニャーニャーしている声に、字幕が出ていたのですが、それ付けなくても、言ってる事解るから大丈夫だよって思っちゃいました。これで言っている事解らない人っているのかな。”何処に行くの?”って英語と日本語で出るんです。これ、元々に付いていたから付けたんだと思うけど、このネコ語ならみんな理解出来ると思いますよ。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。超を2個にしようかと思ったんだけど、ルイスの妹たちの自立心の無さというか、女は人任せでいいというような考え方に腹が立ったので、1個にしちゃいました。ルイスとエミリーとピーターだけだったら、2個なんだけどな。でも、良い映画でした。私は好きです。動物も出てくるしね。猫ちゃんも、猫ちゃんの絵も素敵でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S:フランス映画祭の映画を観ながら、通常の映画も観ているので、結構、脳の切り替えが大変です。(笑)でも、良い映画が多いです。
「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」