映画感想を休んで、演劇の感想を書かせていただきます。舞台、7作品の感想です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

今日は、「夜の女たち」を観た後、全く演劇の感想を書かなかったので、それをまとめて書いてしまおうかと思います。

 

「ドードーが落下する」神奈川芸術劇場

 

イベント制作会社に勤める信也と芸人の庄田は芸人仲間である夏目からの電話に胸騒ぎを覚える。三年前、夏目は信也や友人達に飛び降りると電話をかけ、その後に失踪していた。しかしその二年後、再び信也に夏目から連絡がある。夏目は「とある事情」が原因で警察病院に入院していたそうで、その「とある事情」を説明する。それから信也達と夏目は再び集まるようになったものの、その「とある事情」は夏目と友人達の関係を変えてしまっていた。というお話です。

 

 

劇団「た組」の作品で、藤原季節さんが出演しています。

精神的な問題を抱えてしまった友人を、周りが腫れ物を扱うように接していく姿が、何とも痛々しくて、辛かったです。こうなってしまうんだろうなという事は想像できるので、難しいなと思いました。でも、このよそよそしさが、もっと追い詰めて、精神を壊して行くんでしょうね。難しい問題を扱っていて、心に刺さりました。あー、でも、こんな事言ったらいけないとは思うけど、壊れてしまう方が楽なのかもしれません。壊れられないと、いつまでも苦しまなければいけない。そんな事を感じました。

 

 

「ガラスの動物園」新国立劇場

 

舞台は不況時代のセントルイスの裏町。生活に疲れながらも昔の夢を追い、儚い幸せを夢見る母親アマンダは未だに自分のことを箱入りの南部婦人だと思っている。靴工場で働くトムは家族を養いながら夢である詩人を志し、隙を見つけては映画に通う。彼の姉ローラは病的なほどに自意識過剰である。彼女はアパートから一歩も出ずに、自身のコレクションである小さく繊細なガラス細工の動物たちを来る日も来る日も磨き続ける。ある日、トムの友人でもあるジム・オコナーが家を訪ねる。アマンダはジムがローラにプロポーズする姿まで夢想してしまう。当然のごとくジムにその気はなく、彼女の計画は幻想となる。

 

 

イザベル・ユペールさんが日本で舞台公演を行うとのことで、観に行きました。この戯曲は、日本でも舞台化されていて何度か観ているのですが、夢を見ているだけでは救われないよって言われているようで、しんどい内容でした。イザベルさんのアマンダは、気が強くて美しい女性ですが、どこか必死になっている事が見えてしまうという演技がピッタリでした。さすがですね。生で名演技を観れるとは、こんなに幸せな事はありませんでした。舞台の後にトークショーもあり、楽しかったです。

 

 

「住所まちがい」世田谷パブリックシアター

 

社長、大尉、教授の3名が、それぞれの理由で、同じ場所に 居合わせる。3人が鉢合わせたこの場所はホテルなのか、事務所なのか、それとも出版社なのか。最初は互いに自分が正しいと信じていたが、実はそうではないことがわかってくる。住所は3人それぞれにとって「正しい」住所だったということに。徐々に恐ろしい疑念が頭をもたげてくる。もしかしたら。

 

 

イタリアの現代演劇を翻訳しての舞台でした。凄く台詞が多くて、2時間10分、ずーっと喋りっぱなしなんです。これは、俳優さんたち大変だったと言っていました。劇の後にトークショーで、セリフが多くて覚えるのが大変だったとおっしゃっていました。でも、面白い戯曲でした。宗教的な考え方が盛り込まれたお話ですが、本当に面白かったなぁ。中村トオルさん、田中哲司さん、渡辺いっけいさん、朝海ひかるさん、の4人劇でした。これは、観ている方も脳をフル回転させてセリフを聞きました。良かったです。

 

 

「クランク・イン!」本多劇場

 

1人の新人女優・堀美晴が亡くなった。そのために暗礁に乗り上げていた映画の製作が、全員の「この映画を完成させなければ!」という思いで、クランクインの時を迎えた。真相はよく解らないままだったが、彼女が持っていたポシェットが見つかっていなかった。監督の並之木が撮影を始め、主演の羽田ゆずるにもダメ出しが飛ぶ。そこへ新人女優のジュンが現れ、徐々に存在感を増して行く。それぞれの思惑を抱きながら、映画の現場は次第に混沌とし、驚きの展開を迎える。

 

 

岩松さん演出のミステリー。過去に誰が何をして、今、撮影時に誰が何を仕組んでいたのか。深読みすればするほど、面白いというお話でした。実際に、芸能界では誰かが沈めば、誰かが上がれるのですから、そりゃ、熾烈な闘いがあり、罠にハメたりというのがあるのでしょう。綺麗な顔をして、恐ろしい人たちだなと思いました。吉高さん綺麗だったけど、やっぱり秋山さんの美しさには驚きました。毎回、観る度に驚きます。どうやって、その美貌を維持しているのか、教えて欲しい!素敵でした。

 

 

「あんなに優しかったゴーレム」関内ホール

 

ゴーレムはファンタジーなどに出てくる土でできた怪物です。ドキュメンタリー番組のクルーが、ひとりの野球選手を追いかけて生まれ故郷へ来てみたら、空き地の片隅にゴーレムが佇んでいて、投手はゴーレムとの思い出を語り始める。というお話です。

 

 

本当に面白かった。もう、ヨーロッパ企画の作品は、全て面白いです。空き地に土で出来た人型があり、ゴーレムと呼ばれています。只の造りモノなんだけど、みんな、その地域の人は、遊んでもらったとか話していて、ある子は生活を助けて貰っているというんです。え?土の人形でしょって思うんだけど、そうじゃないと言うんです。その内、ユニコーンまで出てきたりして、はい?という感じになっていくところが、もう、ヨーロッパ企画そのもので、大笑いしていました。面白かったなぁ。また観たくなっちゃう作品です。

 

「百物語 白石佳代子」 相模原南市民ホール

 

宮部みゆき「小袖の手」と朱川湊人「栞の恋」の2作品を朗読一人芝居をしてくださいました。シリーズでやっていて、もう、これ、何度目かしら。随分と何年も行っています。内容は、ホラー小説を読むというものですが、白石さんが読むと、本当にゾッとするんです。今回は、お一人でしたが、以前は、佐野史郎さんもお出になったりして、お二人の時も怖かったです。ホラーだけじゃなく、笑える部分もあるんですけどね。今回は、真っ赤な小袖=”血に染まった小袖”と想像が出来る内容で、本当に怖かったです。いつまでやってくださるか解りませんが、白石さんがやって下さる限り、観に行きたいと思っています。

 

 

 

「夏の砂の上」世田谷パブリックシアター

 

造船所の職を失い、妻・恵子に捨てられた小浦治のもとに、家を出た恵子が現れる。恵子は4歳で亡くなった息子の位牌を引き取りに訪れたのだが、治は薄々、元同僚と恵子の関係に気づいていた。その時、治の妹・阿佐子が16歳の娘・優子と共に東京からやってくる。阿佐子は借金返済のため福岡でスナックを開くと言い、治に優子を押し付けるように預けて出て行ってしまう。治と優子の同居生活が始まる。

 

 

田中圭さん主演で、未来が見えない乾いた地で生きていく人々を描いていました。本当に喉が渇く感じがする舞台でした。きっと、良いことがあるだろうと思っているんだけど、いつまでもそんな事は起きず、どこまで待っても、乾いた地は変わらないという、やるせない内容でした。主人公の治は、全くやる気を起こさず、そこで、ただ生きているという感じで、意欲が無いんです。それは、奥さんも嫌になると思いました。だけど、この地でずーっと生きてきて、今更、どう変われって言うんだよっていう彼の叫びが聞こえたような気がしました。良い作品でした。私は、この”どんより”して抜け出せない、砂漠の蟻地獄のような雰囲気にのまれました。良かったです。山田さん、舞台でも上手いですね。

 

 

「薔薇とサムライ2 海賊女王の帰還」新橋演舞場

これだけは、後日書こうかな。今日、観てきたところで、まだ脳の中を天海さんと古田さんが駆け巡っているので、もう少し、落ち着いたら書きますね。