「ひとくず」を観てきました。
ストーリーは、
母親の恋人から虐待を受け、母親からは育児放棄されている少女・鞠。ガスも電気も止められた家に置き去りにされた彼女のもとに、ある日、金田という男が空き巣に入る。幼いころに自身も虐待を受けていた金田は、鞠の姿にかつての自分を重ね、彼女を助けようと鞠を虐待していた母親の恋人を殺してしまう。一方、鞠の母親である凜も、実は幼いころに虐待を受けて育ち、そのせいで子どもとの接し方がわからずにいた。金田と凜と鞠の3人は、不器用ながらも共に暮らし始め、やがて本物の家族のようになっていくが・・・。
というお話です。
生まれてからずっと虐待の日々が続く少女・鞠。食べる物もなく、電気もガスも止められている家に置き去りにされた鞠のもとへ、犯罪を重ねる破綻者の男・金田が空巣に入る。幼い頃に虐待を受けていた金田は、鞠の姿に、自分を重ね、社会からは外れた方法で彼女を救おうと動き出す。そして、鞠の母である凜の恋人から鞠が虐待を受けていることを知る。
虐待されつつも母親を愛する鞠。鞠が虐待されていると確信した担任教諭は、児童相談所職員を連れてやって来るが、鞠は母の元を離れようとせず、保護する事ができずにいた。
母親の恋人は酷い虐待を莉に与えており、金田は鞠を掬うため虐待をする凜の恋人と対峙して争うが、とうとう殺してしまう。母親の凜は恋人を殺した金田に怒りをぶつけるが、金田に指示され、恋人の死体を処理するのを手伝わされる。全て終わって家に帰ってくると、金田は凛に、母親らしくしろと強要する。
しかし、凜もまた、虐待の過去を持ち、子供の愛し方が分からないでいた。鞠を娘として愛しているものの、どう接したら良いのか戸惑うが、食事を作ったり掃除をしたりと、普通の生活を続けるうちに、段々と家族として、母親としての気持ちが芽生えてくる。しかし、空き巣を生業としている金田には警察が目を付けており・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、単館系の映画館で少ししか上映が無いようなのですが、良い映画だったので、勿体ないなぁと思いました。確かに、荒削りっぽくて、ちょっと残酷かなぁと思うような暴力シーンもあるのですが、現代の虐待の現状を描いていて、とても真実味がありました。虐待って、綺麗ごとでは終わらないし、ドラマなどで描かれるよりも、もっともっと深刻だと思います。そんな事を訴えているような映画だったんです。
主人公の金田役を演じている上西雄大さんが、監督・脚本・編集・プロデュースも務めており、とても力強い映画でした。ニース、マドリード、ミラノなどの映画祭で賞も獲得しており、日本でも、各地の映画祭で賞を貰っているようです。
内容に関してですが、主人公の金田は、定職につかず、空き巣を働いて生活をしている男です。空き巣に入っては、ギャンブルや飲み代にお金を使い、また空き巣に入るという繰り返し。ある時、マンションに空き巣に入ると、少女が虐待されて監禁されていました。母親が男と出掛けて、何日もその部屋に放置していたんです。これ、ついこの間、同じようなニュースがありましたよね。この子は、たまたま金田が空き巣に入って、食いつなげましたが、普通ならこのまま死んでいますよ。
空き巣は悪い事だけど、この子を助け出す事になって良かったと思いました。このお話は、実話を基に脚本を書いているらしく、こんな事もあったのかもしれませんね。本当に、子供よりも男を取る女って、私には理解が出来ないのですが、多いですよね。この映画では、この金田の母親も男を連れ込んで、息子が虐待されていても放置していたんです。なので、金田の身体には、酷い傷跡が残っているんです。
マリは学校も行かせて貰えていなくて、学校の先生がやってくるのですが、全く太刀打ち出来ず、追い返されてしまいます。一応、気にしてくれはするのですが、立ち入れないんですよね。アメリカだと、ちょっとでも疑いがあれば、直ぐに警察官立会の元で踏み込めるようですが、日本では、まだまだ出来ないんです。マリは、そのまま部屋に入れられ、またも母親の男にタバコを押し付けられたりと、酷い虐待を受けることになります。
そんな地獄からマリを救ってくれた空き巣の金田。母親の所に連れて行き、虐待をするなと脅します。児童相談所に連れて行けばよいのにと思うのですが、空き巣で入った家の子だし、マリ自身が、ママの所に帰りたいようでした。どんなに酷いことをされても、マリにとっては、大切なママなんです。ここら辺が悲しいですよね。子供は、どうしても母親を慕ってしまうんです。悲しい現実だと思いました。
映画「Mother」でもそうでしたが、母親が身体的にも精神的にも、子供を虐待したとしても、子供は母親の所から何処へ行ったら良いのか分からないんです。子供はずっと母親しか見ていないのですから、外の事は全く理解出来ていないのだと思います。どこかで、母親から引き離して、教育を受けさせ、自分で判断が出来るようにしてあげなければ、この虐待の連鎖は止まらないのだと思いました。マリの母親も酷い虐待を受けて育った被害者なんです。
そんな事を描いていて、心が抉られるようでした。とっても良い映画なのですが、監督が一人で全部やっているので、色々な場所へのプロモーションが出来ないのかな。お忙しいのだと思います。でも、この映画、本当は沢山の人に観て頂きたいと思いました。こんな事も虐待なんだと解かって欲しいし、どんな理由があっても、子供を監禁するなんてあり得ないし、暴力もあり得ないです。許せない!と思いました。
有名な俳優さんはちょこちょこっと出演してくださっていますが、ほとんどが無名の俳優さんたちです。でも、とてもリアルだったし、特に子役の女の子が凄く可愛かったです。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。良く出来ている素晴らしい映画だと思いますが、上映館が少ないので、とても勿体ないです。渋谷ユーロスペースさんでは、まだ上映しているのかな?地方も、これからポツポツ周っていくようですが、こういう映画こそ、もっと話題になって欲しいと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ひとくず」
食料は少し買い溜めしておいた方が良いですよね。
洗剤も買い置きしておいた方が良いよね。