東京国際映画祭2020で「アフター・ラブ」(TOKYOプレミア)を観てきました。
ストーリーは、
パキスタン人の夫アーメドと結婚したイギリス人女性メアリーは、イスラム教に改宗し、長年、彼と過ごし、忙しい夫を支え、彼の家族との交流を大切にしてきた。良い妻だったメアリーだが、子供がおらず、寂しい日々を過ごしていた。
アーメドと共に一族の集まりから帰宅し、貰って来たお土産を冷蔵庫に入れて、リビングでくつろぐアーメドを見ると、動かなくなっていた。驚いたメアリーが名前を呼ぶが返事は無い。急死してしまったのだった。
お葬式を済ませ、彼のものを整理していると、財布から女性の証明書のようなものが出てくる。フランスの女性だった。すると、スマホの着信音が鳴り、カードの女性からメールが入っている。内容を読むと、彼女とまるで家族のような会話で、いつ帰るのかという内容だった。アーメドが帰るのはウチなのに、と思ったメアリーは、彼が自分とは別の女性と、家族を持っていたことを知る。
何度もメールが入り、電話も鳴っている。メアリーは、このままにして置くことも出来ず、勇気を出して、フランスへその女性を訪ねて行く事にする。彼女の住まいに着くと、何故かメアリーを見るなり、片付けの手伝いの人?と話しかけてくる。引っ越しを控えて、手伝いを呼んだようで、メアリーを家政婦と間違えたのだ。そこで言い返すことが出来ず、仕方なく、その女性ジュヌヴィエーヌの引っ越しの手伝いをする。
手伝いの名目で、夫がジュヌヴィエーヌとどんなところに住んでいたのか。どう過ごしていたのかを見る事が出来た。そこへジュヌヴィエーヌの息子が帰ってくる。もう中学生くらいだろうか。子供までいたことに驚くメアリー。しかし、彼女の心は複雑だった。引っ越しの準備も出来て、メアリーの仕事は終わりになるのだが・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、良い映画だったなぁ。出だしは、妻からしたら許せない裏切りから始まるんだけど、最後まで観ると感動してしまう作品でした。許せない男なんだけど、でも、二人とも愛していたんです。裏切りだけど、うーん、ここに出てくる女性が優しい人だったってことかしら。良い映画だったなぁ。
夫が急死して、凄いショックを受けて悲しんでいて、やっと少し回復して片付けでもしようかと思ったら、今度は夫の裏切りを見つけてしまうメアリー。おい~!何なんだよっ!って、妻なら怒るわよね。この女は誰なのよって。メアリーだって、凄く怒っていたんだと思います。イギリスにいる時は自分の所に帰ってきて、フランスに出ている時は、フランスの家庭があっただなんて許せませんよ。相手の女を訴えてやるわって思うよね。
メアリーも、そう思ってなのかどうなのか、フランスの女性の所へ行く事にします。アーメドが亡くなったことを相手は知らないし、これからの事を考えたら、伝えない訳にいかないでしょ。いやぁ、でも、見ていて可哀想でした。やっぱり妻として、夫の裏切りは凄いショックですよね。ただの浮気かと思ったら、家庭を持っているというのは、もっと酷いでしょ。イスラム教で一夫多妻制を取っていて、第二夫人を取りますと第一夫人に断った場合ならまだしも、これは全く違いますからね。私なら、怒りで遺灰をトイレに流しているかもしれんなぁ。
でもね、メアリーが相手の女を見てみたいと思ったのも解からないではありません。どんな女と一緒に居たのか、自分と正反対の女か、似ている女なのか。痩せているのか、太っているのか。美しいのか、醜いのか。女って、そういう事が凄く気になるんですよ。少しでも相手に勝ちたいんです。悲しい性ですけど、仕方ないんです。
会ってみると普通の女性で、なんと夫との間に息子までいたんです。これはショックだよねぇ。メアリーは声も出せなかったみたいですもん。そして、引っ越しの手伝いをしながら、その生活も探っていくんです。ちょjっと面白そうでしょ。
ジュヌヴィエーヌの家で、自分が知らなかった夫の一面を見て、色々な思いが蘇ります。アーメドとは若い頃から付き合って、逢えない間も、お互いに空を見て相手の事を思っていたんです。連絡手段が手紙くらいしか無かった時代ですから。そして、携帯電話に残ったアーメドからの愛の言葉を、何度も繰り返し聞いていました。
この結末は、きっと若い女性には理解が出来ないだろうなぁ。大人だから、こういう結末になったのだろうと思いました。若い頃には、まだまだ、相手に対してライバル心も大きいし、自分は負けないと思っているだろうから、相手の気持ちも思いやるというところまで行きつかないと思うんですよね。これは、親になり、沢山の経験を積んできたからこそ、こんな結末に辿り着いたのだと思いました。私はとっても好きなラストです。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。この映画は、女性に観て欲しいな。自分に、もし、こんなような事が起こっても、慌てないで、まず整理して、ゆっくり行動しましょう。これは、男性は、あまり理解が出来ないかもしれないな。この映画、日本公開して欲しいなぁ。今の時代、こんな事が実際に起きる事も想定しておかないと、こんなに自由な世の中なんだから、あり得なくはないでしょ。公開されたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「アフター・ラブ」 https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP03