「おもかげ」を観てきました。
ストーリーは、
人気のないフランスの海辺から掛かってきたその電話が、息子の声を聞いた最後だった。10年後、エレナはその海辺のレストランで働いていた。ある日、彼女の前に息子の面影を持つ少年ジャンが現れる。エレナを慕うジャンは彼女のもとを頻繁に訪れるようになるが、2人の関係は周囲に混乱と戸惑いをもたらしていく。
というお話です。
エレナは離婚した元夫と旅行中の6歳の息子から「パパが戻ってこない」という電話を受ける。ひと気のないフランスの海辺から掛かってきた電話が、息子の声を聞いた最後だった。
10年後、エレナはその海辺のレストランで働いていた。ある日、息子の面影を宿したフランス人の少年ジャンと出会う。ジャンは、家族と共にバカンスの間だけパリからこの地へ来たようだった。エレナを慕うジャンは彼女の元を頻繁に訪れるようになっていく。ジャンの家族も、最初は微笑ましく見ていたのだが、あまりにも近づきすぎた2人の関係は、周囲に混乱と戸惑いをもたらしていった。
ジャンの家族は息子が変わっていくのを心配し、エレナと逢う事を辞めるようにと言い始める。しかしエレナはジャンを恋しく思い、どうしても連絡を取ってしまう。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、感動作という事なのですが、エレナという子供を亡くした母親の側から見れば、息子の面影を宿した青年に、どうしても惹かれて行ってしまうという気持ちが解らないではありません。でもね、ジャンの家族からしたら、凄い恐怖ですよね。ジャンの母親の気持ちになったら、凄い恐くなってしまいました。自分の息子が、段々という事を聞かなくなり、まるで宗教に洗脳されたように、年上の女性の元へ行ってしまう。本当に恐ろしいことです。
ジャンにしてみれば、色々、口うるさい親よりも、甘やかしてくれる母親のような女性の方が良いに決まっているし、エレナはとても美しいので、それも魅力だったのだと思います。でも、エレナはジャンに息子の面影を重ねているだけで、息子の代わりが欲しかっただけだと思うんです。それはダメだよね。ジャンは、ジャンという人格だし、彼には、ちゃんとしたご両親と兄弟もいるんです。
もう連絡を取らないようにと言ったのに、エレナはジャンに連絡をしてきて、その後、ジャンの家にまで訪ねて来て、追い返したら、今度は勝手に家に入ってくるんですよ。不法侵入だよぉ!もうストーカーですよね。この時は、マジで恐怖でした。ホラー映画になっちゃうんじゃないかって思ったほどです。
確かに、エレナはジャンと出会ってから、生き返ったように活き活きとして行きます。美しくなり、輝いているように見えるのですが、反対に、ジャンの母親は、息子が自分と同じ年くらいの女性にたぶらかされていると感じ、冷たく、ぎすぎすした雰囲気になって行きます。まるで、ジャンの母親への愛情を、エレナが横から奪い取って活き活きし、取られたジャンの母親は枯れて行くという感じに見えてしまいました。
この映画は、きっと、エレナという女性が10年前に息子を亡くし悲しんでいたのに、息子の面影を宿した青年を目の前にして、やり直そうと立ち直るというという映画なのだと思います。確かに、エレナの側から見ればそうです。もう息子の事で思い悩むのは止めて、心に息子を抱きながら、新しい明日を歩いていこうという事なのでしょう。でも、その犠牲になった家族はどうするの?ジャンの母親は、息子が取られてしまうという恐怖を忘れないと思いますよ。もしかしたら、それがトラウマになってしまうかも知れない。
良い映画なのかもしれませんが、私は、どうしてもジャンの家族側に立ってしまい、恐さしか残りませんでした。こんな女性が、自分の家族に近づいてきたら、本当に恐いです。私なら、息子を連れて直ぐに移動すると思います。エレナは可哀想だけど、だからって、他人の家族を恐怖に陥れて良いという事はないでしょ。
息子が不慮の事故で亡くなってしまったのは、本当に悲しい事だし、エレナにも立ち直って欲しいと思うけど、その為に、自分の息子を彼女に差し出すなんてあり得ないし、ジャンの母親が冷たい言葉をエレナに投げつけたのも、当たり前だと思います。母親なら、自分の息子を、家族を守ろうとするのは当たり前ですから。エレナの罪は重いと思いますよ。この映画では、ヒロインとして感動的になっていますけどね。
私は、この映画、あまりお薦めしたくないけど、とりあえずお薦めしておきます。もしかしたら、私とは違い、エレナ側に共感する方もいらっしゃると思うので、それなら、この映画は感動作です。打ちひしがれていた女性が復活する映画なので。でも、私には恐怖しかなく、ダメでした。賛否が分かれる作品なので、ぜひ、観て、考えてみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。