「スパイの妻」戦争直前に夫の不可解な行動が妻を追い詰めていく。妻が取った行動とは・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「スパイの妻」を観てきました。

 

ストーリーは、

1940年の満州。恐ろしい国家機密を偶然知ってしまった優作は、正義のためにその顛末を世に知らしめようとする。夫が反逆者と疑われる中、妻の聡子はスパイの妻と罵られようとも、愛する夫を信じて、ともに生きることを心に誓う。そんな2人の運命を太平洋戦争開戦間近の日本という時代の大きな荒波が飲み込んでいく。

というお話です。

 

 

一九四〇年。少しずつ、戦争の足音が日本に近づいてきた頃。聡子は貿易会社を営む福原優作とともに、神戸で瀟洒な洋館で暮らしていた。身の回りの世話をするのは駒子と執事の金村。愛する夫とともに生きる、何不自由ない満ち足りた生活を送っていた。

戦争が近づき、聡子の幼馴染の津森が神戸憲兵分隊本部へ移動になり、優作の元へ挨拶に来る。実は、優作と取引のあったイギリス人がスパイの疑いで憲兵に逮捕されたというのだ。彼は普通の商人だからと、優作はイギリス人の保釈金を払い助け出す。段々と貿易会社で海外と繋がりのある優作も、目を付けられるようになっていく。



 

ある日、優作は物資を求めて満州へ渡航する。満州では野崎医師から依頼された薬品も入手する予定だった。そのために赴いた先で偶然、衝撃的な国家機密を目にしてしまった優作と福原物産で働く優作の甥・竹下文雄。二人は現地で得た証拠と共にその事実を世界に知らしめる為に、準備を秘密裏に進めていた。

一方で、何も知らない聡子は、神戸憲兵分隊本部の分隊長・津森泰治に呼び出される。「優作さんが満州から連れ帰ってきた草壁弘子という女性が先日亡くなりました。ご存知ですか?」何も知らなかった聡子は動揺し、何故、自分には何も話してくれないのかと優作を疑い始める。



 

今まで通りの穏やかで幸福な生活が崩れていく不安。存在すら知らない女をめぐって渦巻く嫉妬。優作が隠していることとは?聡子はある決意を胸に、行動に出る。(公式HPより)後は、映画を観てくださいね。

 

レトロゴシックな雰囲気で、次はどんな謎やトリックが出てくるのかと、とても楽しみながら観れる映画でした。これ、NHKのドラマだったんですね。それを映画版として再編集したそうで、その映画でヴェネチア国際映画祭の銀獅子賞受賞って、凄いですね。最初から、TVドラマだけど映画的に作っていたのかしら。素晴らしいと思いました。

 

 

第二次世界大戦前の日本が舞台で、段々と人々が戦争という空気に締め付けられていく姿が、良く描かれていたと思います。洋服を着ていたのに、国民服=着物を着るようにと言われたり、言動や行動にも制限が付けられ始めて、そんな時代に、貿易会社なんてやっていたら、いち早く、疑われそうですよね。敵になるであろう人たちと商売をしている訳ですから、大変だっただろうと思います。

 

そんな世の中で、豪勢な洋館に住んで、いつも綺麗な洋服を着て過ごしていた優作と聡子は、締め付けられるのを嫌い、いつまでも洋装で過ごしていました。きっと、財閥系か何かの一族の出身で、ある程度の力を持っていたのでしょうね。でないと、こんなに堂々と洋装で車に乗って、買い物に行くなんて出来ないと思いました。

 

 

聡子は夫を信じて、愛している、とても愛らしい妻だったのに、満州から女性を連れてきたという話を聞いてから、優作を疑い始めます。当たり前ですよね。夫が海外から女性を連れてきて、どこかの旅館に匿っているなんて知ったら、居ても立っても居られないと思います。でも、この時点では、愛人かもって思うだけで、国家機密に関する情報が関係するなんて思いもよらなかったんじゃないかな。まぁ、女性にとっては、国家機密よりも、愛人の方が問題だけどね。

 

 

夫が正義感から、ある情報を世界に知らしめようとするんだけど、この時に国家機密を公開したとしても、既に世界大戦に突入する時だから、あまり意味が無かったような気がしました。戦後には大切な情報になるけど、戦争が始まる時点では、どの国が勝つか判らなかったのでしょ。戦争は、勝った国が正義になるから、もし、日本が勝っていたら、そんな情報は全て正義のためだと言われて、押し通されちゃってますよ。優作は、この時点で、日本は負けると言いきっていたので、この行動に出たのだと思いますが、イマイチ、今、そこまでして公表する意味があるの?と聞きたくなりました。

 

それでも聡子は、何処までも優作の為に行動し、彼を助けようとしていたんです。健気でした。でも、最後の方の展開は凄かったな。こうなるとは思いませんでした。この方法が、優作は一番安全だと思ったのかもしれませんが、聡子は可哀想だったなぁ。でも、この辺りで、やっぱり男性の考え方と、女性の考え方は違うんだという事を、良く描いていたと思います。この時代は、何処までも女性は守るもの、女性は守られるものという考え方だったのかもしれませんね。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。とても面白いサスペンスだったのですが、大人の映画という感じでしたので、万人にお薦め出来るかというと、難しいかなと思いました。ある程度、単館系の映画も観ていて、大人のドラマが好きな方には、超!お薦めという感じです。黒沢監督作品なので、ちょっとホラーが入っているかなぁと思ったのですが、今回はホラー色はありませんでした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

スパイの妻〈劇場版〉|映画情報のぴあ映画生活