「ジョーンの秘密」を観てきました。
ストーリーは、
夫に先立たれ、仕事も引退し、イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていたジョーン・スタンリーが突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。彼女にかけられたのは、半世紀以上も前にロシアのKGBに核開発の機密情報を漏えいしていたというスパイ容疑だった。ジョーンは無罪を主張するが、外務事務次官のW・ミッチェル卿の死後に見つかった資料などから、彼女の驚がくの過去が次々と明らかとなる。
というお話です。
夫に先立たれ、仕事も引退したジョーン・スタンリーは、イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていた。ところが、2000年5月、ジョーンは突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。ソ連に機密情報を流したというスパイ容疑だった。ジョーンは無罪を主張するが、先ごろ志望した外務事務次官のW・ミッチェル卿が遺した資料から、彼とジョーンがKGBと共謀していた証拠が出てきたというのだ。
捜査官の取り調べは1938年まで遡る。ジョーンがケンブリッジ大学で物理学を学んでいた頃だ。事の始まりは、同じ学年のユダヤ系ロシア人ソニアとの出会いだった。ジョーンは、彼女に誘われて参加した共産主義の会合で、ソニアの従弟のレオ・ガーリチに紹介される。カリスマ性を放つレオと、たちまち恋におちるジョーン。ミッチェル卿と知り合ったのもその会だった。
監視付きの帰宅が許されたジョーンのもとへ、彼女の息子で弁護士を務めるニックが訪ねて来る。事情を聴いたニックは、母の取り調べに立ち会う事にする。
次の尋問は、1941年、核兵器開発機関で事務員として働き始めた頃に及ぶ。ケンブリッジでトップの成績だったジョーンは、プロジェクトリーダーであるマックス・デイヴィス教授にその才能を認められ、原爆開発という機密任務に参加することになる。すると、その情報を仕入れたレオに、原爆の設計図や研究結果をソ連側に提供するよう要求される。レオのことは愛していたが、共産主義に賛同できないジョーンはきっぱりと断り、レオに利用されているだけなのかと傷つくのだった。
1945年、アメリカ、イギリス、カナダの協力が実り原爆実験は成功し、アメリカが広島と長崎に原爆を落とす。ジョーンは何十万もの人々が亡くなったというニュースを聞き、焼け野原の映像を見て、激しく動揺する。
捜査官の厳しい追及は続き、全く知らなかった母の過去にニックは愕然とする。やがてジョーンの名前と容疑が報道され、ジョーンは自宅前で記者会見を開くことを決意する。果たして、彼女が発表した「真実」とは?(公式HPより)後は、映画を観てくださいね。
この映画、面白かったなぁ。イギリスに住むお祖母ちゃんが、スパイとして逮捕されるというお話なのは知っていたけど、こういう理由だったとはと、感動しました。うーん、ストーリーが良く出来ていたなぁと驚きました。まさか、日本も関係していたとは思わなかった。これは、ビックリでした。
実話で「80歳のお祖母ちゃんがスパイ容疑で逮捕された」というニュースから飛躍させてこの映画は作られたそうですが、実話の方は、こんな内容ではなくて、本当のスパイだったのだと思います。この映画の原作は、ジェニー・ルーニーさんがこのニュースをヒントに書き上げた小説で、イギリスではベストセラーとなったそうです。
映画の内容ですが、普通のお祖母ちゃんが、突然にMI5に逮捕されて、何があったのかと周りは騒然とするのですが、それが、若い頃に行ったスパイ行為が原因だと解っていきます。今はお祖母ちゃんのジョーンですが、もちろん若い頃はあって、大学生の頃に知り合った友人がソ連の人で、その友人に勧誘されて、共産主義の集会などに参加させられるんです。そこで、罠に嵌められ、恋仲になる男性を紹介されて、誘惑されてしまいます。
ここで普通なら、誘惑されて彼の言うとおりにスパイをしてしまうという流れになるのでしょうが、このジョーンは違います。彼女は頭の良い女性ですし、自分の国のイギリスを愛しているので、自分の国を裏切るような事は決してしません。どんなに好きな男に言われても、友人に言われても、情報を渡さないんです。
彼女の職場は核兵器開発の部門で、彼女も物理学専攻だったので、その核開発に協力していました。もちろん、その時代は男性が断然優位だったので、女性が開発などに携わらせて貰えるような事はありませんでしたが、開発の責任者の秘書をしながら、開発に関してのヒントを与えていたんです。なので、彼女のおかげで核開発が成功したと言えなくはなく、彼女は、それを影ながら誇らしげに思っていました。
でも、戦争でその核兵器が使われることとなり、その恐ろしさに驚きます。まさか、それを人間に向けて使うとは思っていなかったからです。そんな恐ろしい兵器を作ってしまった事を、彼女は酷く後悔します。協力してしまった自分の責任かもしれないと思ったのかもしれません。そして、ある考えに思い至るんです。
ジョーンがスパイと疑われることとなる経緯が、本当に良く出来ていて、とても考えさせられました。確かに、自国を裏切る行為は決して許されないと思うけど、でも、人類を裏切るような兵器を作ってしまったという考えに至ってしまった彼女は、こうするしかなかったのかなとも思いました。ジョーンの行動は、避難されるかもしれないけど、助けてあげたいと思い、共感しました。
ジョーン役のジュディー・デンチさん、良かったですよ。若い頃のジョーン役のソフィー・クックソンさんも雰囲気が出ていて良かったです。違和感なく、ジュディーさんに引き継がれていたように思いました。
この映画の内容は、ぜひ日本人に観て欲しいと思います。こんな風に考えてくれた外国人もいたのかもしれないと、映画を観て、思って欲しいです。凄いものを開発してしまった人は、どんなものでも、結構、自問自答しながら、本当にこれで良かったのかと考えているんじゃないかな。大きな力には、大きな責任が伴いますからね。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。良く出来ていると思いました。終戦記念日を前に、色々と考えさせられる映画でした。こういう映画がイギリスで作られるというのは、考え深いなぁと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。