「アンティークの祝祭」を観てきました。キノシネマみなとみらいで上映中なのですが、今月中で会員特典の期日が来るので、1000円鑑賞券を使ってみました。
ストーリーは、
近頃、意識や記憶がおぼろげになることが多いクレール。ある夏の朝、今日が人生最期と確信した彼女は、長年かけて集めてきたアンティークの人形や仕時計、肖像画などのコレクションをヤードセールで処分することを決め、庭先で売り始める。そんなクレールの奇妙な行動を耳にした娘のマルティーヌは、疎遠になっていた母のもとを訪れるが・・・。
というお話です。
この映画、結構、深い部分を描いているなぁと思いました。老いていく自分への不安を持った女性が、ある日、何かを感じて、それまでの自分を捨て去ろうと考えるんです。長い人生の中で沢山の苦しみを味わい、全て背負って生きてきたクレールは、家族がいなくなっていったのは自分のせいだと思っているんです。確かに娘との関係が悪のはクレールのせいですが、夫と息子がいなくなったのは、ちょっと違うんです。いつもは自分は間違っていないと思っているのですが、記憶があやふやになっていくと、心の奥が出てきて、私のせいで、いなくなったと自分を責め続けていたことが解ってきます。
家族でも、上手く分かり合えないってありますよね。クレールと娘のマリーも、お互いに大切に思ってはいると思うのですが、それを伝える事が出来ず、今までのこだわりがあって、お互いに相手は自分を認めていないと思っているんです。なので、どうしても一緒にいる事が出来ない。そんな母と娘なのですが、母親の認知症が酷くなり、娘も戻ってくるんです。
クレールは認知症が進んでいて、意識がしっかりしている時もあれば、突然に全てが解らなくなる時もあり、自分でもどうしようもなく不安な時に、不思議な気配を感じて、悪魔が自分を迎えに来たと思ったのだと思います。神父様に悪魔祓いまで頼むんですよ。でもね、この感、それほどハズれていなかったのではないかな。人間って、時々、凄く神経が鋭くなる時があって、色々なモノを感じ取れることがあるのだと思います。”虫のしらせ”とか、”感”とかってあるでしょ。それって「中らずと雖も遠からず」というものだと思うんです。人間が本来持っている本能なんじゃないかな。
誰もがクレールが”今夜、私は死ぬから全て捨てるの。”と言うのを聞いて、誰も信じないんです。認知症が進んで、変な事を言い出しちゃったからどうしようと思って、ガレージセールを辞めさせようとするんです。確かに、突然に今までの高価な思い出の品をとんでもない安値で売り出したんだから、驚きますよね。凄いアンティーク品でしたよ。映画の中で、息子の部屋だった所に入る場面があるのですが、古いマジンガーZの超合金か何かが置いてあって、あれ、今買ったら高いんだろうなぁ~と思ってしまいました。30cmくらいあるやつだったなぁ。あれ、超合金じゃないのかな。プラスチックのフィギュアなのかしら。欲しかったなぁ。
この映画、フランス映画にしては、モヤモヤ~って終わらずに、凄い結末を迎えます。私、驚きました。今まで、フランス映画って、もやもや~ってなって、その後はどうなるんだろう・・・って感じの終わり方が多いのに、この映画、ブチッと終わらせてありました。結構、私は、この意表を突いた終わり方、良いと思いました。あまり評価は良くないようですけどね。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。この映画を観て、自分も色々な事を忘れていくんだろうと思ったら、少し怖くなりました。出来たら、最後に誰か傍にいてくれたら嬉しいな。でも忘れちゃうんだからいいか。色々、考えちゃいました。地味な映画だけど、女性の生き方として、考えさせられると思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。