「ナイチンゲール」を観てきました。
ストーリーは、
19世紀のオーストラリア・タスマニア地方。盗みを働いたことから囚人となったアイルランド人のクレアは、一帯を支配するイギリス軍将校ホーキンスに囲われ、刑期を終えても釈放されることなく、拘束されていた。そのことに不満を抱いたクレアの夫エイデンにホーキンスは逆上し、仲間たちとともにクレアをレイプし、さらに彼女の目の前でエイデンと子どもを殺害してしまう。愛する者と尊厳を奪ったホーキンスへの復讐のため、クレアは先住民アボリジニのビリーに道案内を依頼し、将校らを追跡する旅に出る。
というお話です。
オーストラリアがイギリス植民地だった時代に起こっていた、酷い過去が描かれています。もちろんフィクション映画ですが、こんな風なことは、沢山あったのだと思います。戦争などがあると、必ず、こんな酷い事が沢山起こってしまうんですよね。
この映画で重要なのは、まず、オーストラリアのタスマニアなのに、イギリス人が一番上に立っていて、その地域にアイルランド人などの犯罪人を流刑していたという事。イギリスとアイルランドは、今でも独立などで対立しているので、アイルランド人というだけで、目の敵にされていたのだと思います。そして、流刑人のアイルランド人の下に、原住民の黒人がいるんです。本当は、その土地は彼らのモノなのに、そこにイギリス人が攻め込んで、まだ文明が進んでいなかった原住民はあっという間に淘汰されて、奴隷とされてしまったんです。この三段階の人種差別が描かれていました。
今も、アメリカで人種差別のデモなどが起こっていますが、この映画の時代は、本当に原住民=黒人など、犬よりも下くらいに思われていて、気分で殺して犯して、まるで人間と思われていないんです。本当に酷い時代だったのだという事が判りました。人種差別って、どうして無くならないんでしょうね。
海外に行くと、表面ではどの国も好意的な感じに見えますが、日本人は黄色人種だという事で差別をされます。アジア圏に行っても日本人と判ると差別がありますよね。人間って、自分は誰よりも素晴らしいと思うことで自信が持てるという部分があって、誰かを下に見る事によって、その要求を満たしているのかなと思います。だから自信が無い人ほど差別をしたがるでしょ。そんな下らない事で自信を持たないで、仕事でも何でも、自信の持てる事を探せば良いのに。差別する必要なんて無いでしょ。あ、でも、韓国とかに酷い事言われれば、反発して言いますよ。いつまでも言われっぱなしじゃ耐えられませんもん。右の頬を打たれたら左を出すなんて出来ません。目には目をにしちゃいます。
話を戻して、主人公のクレアですが、最初はクレアもビリーを差別しているんです。でも、同じ人間なのだと分かってきて、一緒に行動をするようになっていきます。その距離が少しづつ近づいていく感じが、良く描かれていて、差別している自分が間違っているという事を理解していく姿が良かったです。それにしても、原住民の方々、こんな酷い扱いを受けていたんですね。あまりの酷さに悲しくなりました。
そして、悪い将校ホーキンスに近づいて復讐をしようとするのですが、このクレア、マジでドン臭くてイライラしました。おいおい、まじで復讐する気あるんかいっ!いくら主婦で女性らしいと言っても、復讐するならそれなりに腹据えんかいっ!と喝を入れたくなりました。途中でヒヨるんですもん。やるなら最後までやんなさいよ。だから女の地位が上がらないんだよ。いつも男に頼ろうとする部分が見えて、イヤでした。こういう女、いるよなぁ~。私、大っ嫌いです。殺ると決めたら最後まで自分でやらなくちゃ。ビリーに頼るなよ。もー、ムカついたわ。
まぁでも、人殺しなんてしたこと無いし、力が弱いし、怖くなったのかなという部分は理解出来ました。確かに”人を殺す”というのは恐ろしいですよ。子供を産んで、命の大切さを感じただろうから、人を殺すのが怖くなるのは解るけど、でも夫と子供を目の前で殺されたんだよ。私ならどんなに怖くても、悪魔に魂を取られようとも、復讐すると思います。
こんな衝撃的な映画でした。私は、この映画、お薦めしたいと思います。良く出来ているし、心にズシッとくる映画でした。でも、とっても暗い内容なので、元気が無い時に観ると辛いです。私は「サーホー」と「暗数殺人」を観た後に、この「ナイチンゲール」を観たので、持ちこたえられましたが、自粛明けにこれだけ観ると、辛いだろうなぁ。まず、コメディから観た方が良いと思います。でも、観るべき映画だと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。