「リバーズ・エッジ」地に足が着かない青春時代の気持ちを、地に結び付ける秘密は必要です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「リバーズ・エッジ」を観てきました。

 

ストーリーは、

女子高生の若草ハルナは、元恋人の観音崎にいじめられている同級生・山田一郎を助けたことをきっかけに、一郎からある秘密を打ち明けられる。それは河原に放置された人間の死体の存在だった。ハルナの後輩で過食しては吐く行為を繰り返すモデルの吉川こずえも、この死体を愛していた。一方通行の好意を一郎に寄せる田島カンナ、父親の分からない子どもを妊娠する小山ルミら、それぞれの事情を抱えた少年少女たちの不器用でストレートな物語が進行していく。

というお話です。

 

 

ある日、女子高生の若草ハルナは、元彼?の観音崎に虐められ、旧校舎のロッカーに放置されていた同級生の山田一郎を助けに行った。裸で押し込められていた彼に着替えを渡し、一緒に帰ろうとすると、助けてくれたお礼に秘密を見せると山田に言われ、河岸に案内されると、目の前に半分ミイラ化した死体が横たわっていた。驚くハルナだったが、山田は、この死体を見ると心が落ち着くと話し、もう一人、この秘密を知っている吉川こずえも、この死体を心の拠り所にしているという。

 

最初は驚いたハルナだったが、目の前の死体を見ていると、人間の価値など大した事は無いと思えて、自分の中の焦る気持ちが落ち着くのを感じ始める。そんな心の拠り所を3人の共有の秘密として、大切に守っていたのだが、周りでは、色々な事が動き始めていた。

 

 

山田はゲイなのだが、彼に付き合って欲しいと告白した田島カンナと付き合い始める。山田にとってカンナの事はどうでも良い事だったが、カンナは山田に夢中になり、段々とストーカー的になって行く。吉川こずえは、モデルとして売れ始め、学校も中退するかも知れないという状況の中、食べては吐くということを繰り返し、摂食障害で段々とおかしくなって行く。ハルナの友人の小山ルミは、誰とでも寝る子で、誰の子かもわからない子供を妊娠してしまう。ハルナに執着する観音崎は、親に全く関心を示されず、孤独な生活に息苦しさを覚えて爆発しそうになっていた。

 

 

誰もがそれぞれの問題を抱えて、それを消化出来ずに苦しみながら、不思議な人間の死体を眺めている。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

これ、私は原作を読んでいないのですが、岡崎京子さんの作品なので、雰囲気は解りました。うん、こんな感じですよね。青春時代に、どうしようもない社会との関わりが生まれながらも、まだ高校生という子供の部分を残したこの年代の彼女達の、この何とも言えない心の拠り所というか、ふわふわ浮いてしまいそうな自分を、この地に縛り付けてくれる死体というものに愛情を抱いてしまう、その気持ちが良く描かれていて、良かったなぁと思いました。なんか、文字で書くのは難しいのよね。こういう気持ちって。誰もが、この気持ち、若い頃は持っていたと思うんです。

 

 

それにしても河岸の死体が転がっていて、それが見つからないというのが、何とも、私たちの若い頃の時代の作品だなぁと感じてしまいました。現代だったら、直ぐに、公共事業で掃除をされちゃったりして、見つかっちゃうでしょ。昔って、結構、こんな事、あったと思うんですよ。ちょっと懐かしい気持ちがしました。今の若い人には、この雰囲気は解らないだろうなぁ。だって、動物の死体とか骨なんて、河岸に沢山あったもんね。時々、驚くようなモノ(下着とかエッチなものとか)も落ちていて、本当に酷い時代だったんです。親たちは近づくなと言っていたけど、ダメと言われれば行きたくなるのが子供じゃないですか。色々な危ない事がありました。

 

 

そんな時代に書かれたこの漫画、映画になると、ちょっと生々しいですね。人物が多いので、2時間では、ちょっと描き切れていない気もしますが、まぁ、こんなもんでしょ。雰囲気は伝わってきたと思います。私は面白いと思いました。

 

 

ハルナ役の二階堂さん、やっぱり上手いですね。この淡々としている感じが、とっても岡崎さんの漫画の雰囲気に合っていました。古い時代の話だからタバコをバンバン吸っていましたが、今時、高校生でこんなヘビースモーカーだとハブにされるよぉ。どこ行ってもタバコを吸えない時代ですもんね。時代を感じました。確かに、この時代にゲイとかレズって、告白出来ない時代だったよね。うんうん、時代は変わったなぁ。

 

吉沢さん、あまり表情が無い子だよね。今度はコメディとかで、アホな役もやって欲しいな。こんなキレイな顔で、無茶ぶりされて笑っている顔を見たいです。うん、笑っている顔が今回、ほとんど無かったので、寂しかったな。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。淡々とした、若者たちの群像劇なので、賛否は分れるとは思いますが、岡崎京子先生の作品って、こういうのが多いんです。ヘルタースケルターもそうですが、ハッピーエンドでスッキリというような作品では無いので、ハッピーエンドで温かくなりたいという方には、ちょっと薦められないかな。でも、作品としては、とても面白い作品だと思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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