「ダンケルク」あまりの迫力にずーっと息苦しくて、心臓を鷲掴みされているようでした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ダンケルク」の試写会に行ってきました。

 

ストーリーは、

ポーランドを侵攻し、そこから北フランスまで勢力を広げたドイツ軍は、戦車や航空機といった新兵器を用いた電撃的な戦いで英仏連合軍をフランス北部のダンケルクへと追い詰めていく。この事態に危機感を抱いたイギリス首相のチャーチルは、ダンケルクに取り残された兵士40万人の救出を命じ、1940年5月26日、軍艦はもとより、民間の船舶も総動員したダイナモ作戦が発動。戦局は奇跡的な展開を迎えることとなる。

というお話です。

 

 

内容ですが、上記のストーリーで全てなんです。ドイツ軍にダンケルクという海沿いの町に追い詰められた連合軍(イギリス軍やフランス軍)兵士たち。その町からイギリスへ助け出す為に大々的な作戦が展開されるのですが、陸からはドイツ陸軍が攻め、海からはUボートが向かってきて魚雷を放ち、空からは爆撃機(ハインケルだったかな?)と戦闘機メッサーシュミットが爆撃を続け、40万人の兵士たちは、どんどん殺されていきます。

 

主人公?のフィオンは、ダンケルクに取り残された兵士の一人。彼は、何とかしてイギリスに帰ろうと、負傷兵を運んで一緒に船に乗り込んでしまおうとしたり、桟橋の下に隠れて、こっそり船に忍び込もうとしたり、本当に普通の男性なんです。誰だって、死にたい訳は無いですよね。何とかして生き残ろうとする。そんな普通の男性なんです。

 

 

フィオンが主人公と書きましたが、主人公はイギリスに帰りたい兵士と助ける側のイギリスの人々、全てが主人公という感じなんです。まず、この映画を観る前に頭の中を整理して、準備しておく必要があると思います。

 

まず、ダンケルク海岸で待つ兵士たちは、”1週間”、その浜で待っています。迎えに来る船に順番に乗り込み、イギリスに撤退するのですが、船が来るまで、待っている時間が1週間。ここがポイントです。フィオンは、負傷者を運んだり、桟橋下に隠れたり、船に乗っても魚雷で転覆したりと、色々あるのですが、彼が味わった時間は1週間です。

 

 

そして、ダンケルクに船を出して迎えに行こうとする民間人のドーソンとその息子と友人。ドーバー海峡を渡って、ダンケルクに兵士を迎えに行くのですが、この3人が味わうのが、”1日”です。イギリスを出港し、兵士を助けながらダンケルクに着き、兵士を乗せてイギリスへ帰るまでの時間です。

 

最後に戦闘機・スピットファイアを操る3人の空軍兵。ダンケルクの兵士を助ける為、空軍が3機のスピットファイアを派遣し、彼らはメッサーシュミットとの空中戦を繰り広げます。彼らがダンケルクに近づき、ドイツ機と戦闘に入り、ダンケルクの浜に辿り着くまでの時間が”1時間”です。

 

 

3つの時間軸があるので、まず、主人公フィオンの動きを追ってください。彼の1週間の中に、民間人ドーソンの1日と、空軍兵士・ファリア(スピットファイアパイロット)の1時間が組み込まれて行きます。映画をボーっと見ていると、ドーソンの時間と、ファリアの時間は、全く別々に描かれていて、フィオンの時間の合間に差し込まれてくるので、あれ?となるのですが、フィオンの時間の中に、ちゃんとドーソンの船と、ファリアの飛行機が出てきているんです。但し、必ずしも順番に並べられている訳ではないので、ドーソンの動きとファリアの動きは、観ながら、頭の中に残しておいてください。そうすると、あ、ここで向こうの方から飛んでくる戦闘機がファリアの戦闘機なんだねとか、ここで辿り着いて引き上げてくれる船がドーソンの船なんだねって言う事が、段々と理解出来てくると思います。

 

 

何としても生きて戻りたい兵士たちと、何としても助けたいと思う人々の葛藤が、凄い迫力で、息も付かせぬほどの映像となっています。映画が始まってから、ずーっとバックグラウンドに、時計の音が鳴っているんです。この時計の音、クリストファー・ノーラン監督の懐中時計の音をベースにしてあるらしいのですが、そのカチカチする音が、心臓に食い込んできて、息苦しくなってくるんです。早く助けて欲しい!早く助けに来て!早く!早く!って感じが、見ているこちらにも迫って来るんです。

 

セリフはほとんど無いのに、こんなにも感情が伝わるかっていうほど、ちょっとした仕草や、目の動き、動かなくなる手などで解かるんです。言葉が伝達機能を果たさなくても、人間って伝えあえるんだってことが、まるでこの映画で証明されたように思えるほどでした。いやぁ、マジで凄かったです。

 

 

でも、この映画、凄く感動する人と、全く分からない人と、意見が分かれるだろうなぁ。私は、マジで凄い映画だと思って、既に試写会で2度も観てしまったのですが、これ、本当にスゴイんです。この時間をずらしているのが、インセプションやインターステラーで描かれていたのと同じ手法なのに、それが実話ベースに使われているというのが、上手いんですよ。これ、理解出来ると、おおっ!と言ってしまうほど、目が開けて、感動するんです。全ては、仲間を助ける為。人を助ける為に、どれだけの人が必死で、命を賭けて、協力したのかというのが、理解出来てきて、涙が出てくるんです。涙が湧いてきてしまいました。

 

あのね、このダンケルクでドイツ軍に負けて撤退したのですが、ここで負けたからこそ、自国民が団結して、戦争に勝つ為の作戦を遂行して、最終的には勝利したのだと思いました。人間も同じなんですけど、失敗したことが無い人は、成長が無いんです。失敗するからこそ、次は失敗しないようにと考え、成長して行くんです。叩き落されて、地べたで泥水をすすった奴が、再度、立ち上がって来た時は、怖ろしいですよ。そんな奴を見つけたら、逆らわない方が賢明です。(笑)

 

 

1回目のダンケルク鑑賞は、クリストファー・ノーラン監督がいらした試写会で観たのですが、この時は、特別にフィルム上映だったんです。そして、2回目は、IMAX上映で鑑賞いたしました。アナログとデジタルの違いを堪能したのですが、ハッキリ、こう違うからとは言えませんが、フィルム上映の方が、色が自然だったような気がしました。IMAX上映は、凄く綺麗なのですが、あまりに色が鮮やか過ぎて、第二次世界大戦時の乾いた雰囲気とは違うんです。きっと、IMAXの方が、本当の色になっているのかも知れませんが、輪郭線などがハッキリしていて、味が無いような気がしました。雰囲気だけなのかも知れませんが。でも、今時、フィルム上映は無いだろうと思うので、仕方ないですね。

 

 

私、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。但し、楽しい映画ではありません。戦争映画です。なので、超!を減らしましたが、私は、大好きな作品です。この刻々と迫る時間を描いている構成の仕方が、ノーラン監督らしくて、唸ってしまうほど好きでした。もー、とにかくカッコいいんです。このカッコ良さは、内容と組み合わさる時間が理解出来た時に感じられると思います。でもね、残念なのですが、全ての人にこれを理解してくれとは言えません。ハッキリ言って、難しいです。ぼんやり戦争映画を観に来た人には、無理だと思います。でも、理解出来た時には、まるで悟りが開けたように気持ち良くなりますので、ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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