「64-ロクヨン-前編-後編」"64"という事件から誰もが逃れられず、何処までも泥沼に嵌る。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「64 -ロクヨン- 前編 及び 後編-」を観てきました。


ストーリーは、


[前編]わずか1週間の昭和64年に発生した少女誘拐殺人事件・通称「ロクヨン」。事件は未解決のまま14年の時が流れ、平成14年、時効が目前に迫っていた。かつて刑事部の刑事としてロクヨンの捜査にもあたった三上義信は、現在は警務部の広報官として働き、記者クラブとの確執や、刑事部と警務部の対立などに神経をすり減らす日々を送っていた。そんなある日、ロクヨンを模したかのような新たな誘拐事件が発生する。


64

[後編]昭和64年に発生し、犯人が捕まらないまま迷宮入りした少女誘拐殺人事件・通称「ロクヨン」。事件から14年が過ぎた平成14年、新たな誘拐事件が発生。犯人は「サトウ」と名乗り、身代金2000万円を用意してスーツケースに入れ、父親に車で運ばせるなど、事件は「ロクヨン」をなぞっていたが……。

というお話です。


64

前編は、公開されて直ぐに観たのですが、どうしてもそれだけでは感想が書けず、後編の公開を待って、一緒に感想を書くことにしました。

昭和64年に発生した少女誘拐事件。父親が犯人の要求に答えて、2000万円を渡したにも関わらず、少女は殺されてしまい、車のトランクに放置されていました。犯人逮捕に繋がるものはほとんど無く、未解決のまま、捜査は縮小されてしまいます。実は、事件時に、犯人からの電話の録音に失敗し、それを県警本部が隠してしまったという事実があり、その事で、捜査員の幸田は”幸田メモ”を残し警察を退職し、日吉は失敗を悔いて警察を退職し引き籠りとなってしまいます。

64

現在平成14年では、64事件当時の捜査員だった三上は、広報室に移動され、警察とマスコミの間を取り持つ仕事に就いています。14年経った今、警察庁長官が県警を訪れ、64事件の被害者を見舞うという話が広報に周ってきます。三上は、64被害者の雨宮宅を訪れ、長官の訪問を受けて貰えるかと訪ねるのですが、雨宮は、今も事件を忘れる事は無く、ずーっと昭和64年に取り残されたまま、苦しんでいたのが目に見えて分かり、三上は解決出来なかった申し訳なさに、頭を下げて帰って来てしまいます。

県警内部では、警察庁長官の訪問時に、県警の刑事部長を警察庁からのキャリアが引き継ぐ事になるという辞令を発表するらしいという話が流れ、県警の刑事部は反発し、県警本部長側のキャリア組と県警組の刑事部との対立が大きくなる中、誘拐事件が発生します。

64

64事件から14年。64事件を模倣した誘拐事件が発生します。スポーツ用品店の店主の娘が誘拐され、2000万円の要求があり、父親にお金を運ばせるようにという要求が来ます。何故か、64事件の時と同じルートを走り、お金を持って振り回されて、最後にお金を燃やすように言われるのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。

これ、原作とは違うラストだそうですが、私は、まだ原作を読んでいないので、分かりません。これから読む予定なのですが、文章が読みにくそうで、辛そうだなぁと思っています。でも、読みますけどね。

64

壮大な内容で、とても楽しめました。三上の警察での事情と家庭での事情、警察内部の広報と刑事部との攻防、県警と警察庁の思惑の対立、県警広報部とマスコミの対立、事件現場での失態、被害者と加害者の攻防、幾つもの対比があり、この全てに対してシンメトリー的に作られて行くストーリーが、とても良く出来ているなぁと思いました。面白いですよね。普通なら、こんなに沢山の対比を作ると、五月蠅くなって、話的にバラバラになるんだけど、三上という人物を中心にブレずに描いていくので、前編も後編も、止まる事無く、グイグイと引き込まれて、必死に観てしまいました。

64

この三上役は、良い役ですね。全てを強く引っ張って行きながらも、とても弱い面がある人間であり、そんな弱さが、彼の魅力なのかなと思いました。やっぱり、ただ、強いだけの人間って、ロボットみたいで面白味が無いんです。弱い所があって、人間的な部分もある事が、人の魅力なんだなって思える役でした。うーん、特に、佐藤さんが演じていたからというのもあるのかもしれません。

誘拐された被害者の雨宮役の永瀬さん、上手かったなぁ。父親の執念というものが滲み出てくるような表情で、特に、後編では、迫ってくるものがありました。前半だと、雨宮は被害者としてしか見えていないのですが、後編では復讐者としての顔に変わってくるので、その変化が面白いと思いました。マジで凄かったです。

64

64事件の隠ぺいにより、身を持ち崩した幸田と日吉の役も中心人物では無いのに、とても印象的でした。幸田は、幸田ファイルという報告書を事件後に上司に出したのですが、揉み消されてしまうんです。そして、後編で色々と関わってくるのですが、警察の対応に厭きれながらも、被害者を見捨てられないという幸田という人物のような人が居てくれたら、日本の警察も捨てたもんじゃないって思うんですけどね。そして、自分のせいで人質が殺されたのではないかと思い、引き籠る日吉なのですが、これ上司からのパワハラですよね。パワハラで仕事が続けられなくなるって、警察だけじゃなくて、社会には沢山あるんじゃないかな。とっても可哀想でした。窪田くん、良かったよ。ほんの少しの出演なのに、あれだけ印象に残るなんて、凄いっす。


64

前編を観て、直ぐに感想を書きたかったんですけど、どうしても書けなかったんです。頭の中がまとまらず、マスコミと警察広報の対立しか印象に残らず、それ以外は、何か漠然としていて、理解が出来なかったのですが、後編を観たら、全ての雲が払われたように、スッキリして、色々な対比が見えてきて、美しく形作られたと言う感じがして、気持ち良くなりました。前編だけだと、片側が良く見えていなかったので、カチッとハマってこなかったんです。でも、全てを観てみたら、マジで感動しました。


64

この映画、私は、偉そうに傑作だとかは言えないけど、でも、良く出来ている映画だなって思いました。全てを観終えると、美しくそこに立ち上がるんです。うーんと、例えば、建築物を建てていて、途中は、養生などがあるので、良く見えなかったりするんですけど、仕上げをして、少し離れて全体を見回すと、本当に美しい建物がそこに建ち上がっているという感じなんです。近くで観ているよりも、一度、観終えて、じっくり考え直してみると、とんでもなく素晴らしいという事が解って来て、ジーンとするんです。うーん、良かった。私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。本当に楽しめました。たくさんの人物が出てくるのですが、その一人一人に人生があり、生活があり、想いがある事が、細かく描かれているんです。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





64-ロクヨン- 前編|映画情報のぴあ映画生活


64-ロクヨン- 後編|映画情報のぴあ映画生活

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)/文藝春秋
¥691
Amazon.co.jp

64(ロクヨン) 下 (文春文庫)/文藝春秋
¥691
Amazon.co.jp

64 ロクヨン ブルーレイBOX [Blu-ray]/NHKエンタープライズ
¥11,340
Amazon.co.jp