「孤独のススメ」を観てきました。
ストーリーは、
妻に先立たれ、オランダの田舎町でひっそりと単調な毎日を送るフレッド。ある日、言葉も過去も持たないテオがフレッドの家に居ついてしまい、男2人の共同生活がスタートする。フレッドとテオの間にいつしか友情が芽生え、何も持たないテオの生き方からフレッドは真の幸せを学んでいく。
というお話です。
オランダの田舎町に住むフレッド。妻が亡くなってから、毎日、同じテンポで生活し、その生活様式を変えることはありません。その田舎町は、町の住民を誰もが知っているような、本当に小さな町で、一つの噂話が出ると、次の日には、町の全員が知っているような、そんなところです。毎週、日曜日には、ほとんど全員が教会に集まり、祈りを捧げています。
ある日、テオという男がフレッドの所に来て、石油?を貸して欲しいと言うのですが、フレッドは持っていないので、お金を渡して追い払います。すると、次の日に、今度は向かいの家に同じ事を頼みに行っているのを見て、騙してお金を取っているのだと思い、テオを捕まえて、罪の償いの為に、庭の草むしりをしろと言います。テオは、言われるまま、庭の草むしりを始め、完璧に終わらせます。
フレッドは、テオを家に招き入れ、午後のお茶とお菓子を出してねぎらいます。そして、家に帰そうとするのですが、テオは、帰る家も無く、記憶も無い、言葉もあまり話せないという男で、仕方なく、フレッドは面倒を見ることにします。テオの面倒を見るようになり、フレッドのキッチリした生活は崩れ始め、食事の時間はズレて、教会へ行く時間も、何もかもが、テオに引っ張られるようになります。
いつも通りにならずにイライラするフレッドですが、それが思っていたよりも、心地よいと言う事に気が付きます。段々と、フレッドの生活には色が添えられるようになり、感情が豊かになり、怒り、悲しみ、そして笑いが彼の生活に現れるようになります。そんなある日、テオを知っている女性が現れます。彼女と一緒に、テオの本来居るべき所に帰らせるのですが、テオは、またフレッドの所に戻って来てしまいます。
テオがここに居たいのならと、フレッドは一緒に住んでも良いと話し、また、一緒に住む事になります。そして、フレッドには、どうしても心に引っかかっている出来事があり、テオによって心の壁の壊し方を知ったフレッドは、その気になっていることを解決しようと動き出し・・・。後は、映画を観て下さいね。
小さなコミュニティの中では、人と違ったことをすると、白い目で見られたり、噂をされたりして、住みにくくなるとかってありますよね。私は、小さなコミュニティが悪いとは思いません。だって、繋がりが強い分、困った時に助けたり助けられたりという事が多いと思いますから。でもね、周りによって、自分の生活が窮屈になったりするのは、間違っているような気がするんです。何でも好きな事をしろと言うのではなく、人の迷惑にならないなら、自分の思うように生きるべきだと思うだけです。
この映画でも、テオは、過去が自分の中に無くなってしまい、全てのしがらみが無いんです。捨てる事が、幸せを運んでくるという事をこの映画は言いたいのだと思うんですけど、誰だって、生きていればしがらみって出来てしまうでしょ。それを全て捨てるなんて出来ないよね。だから、しがらみと、上手く付き合って行こうという気持ちで良いと思います。こだわっている人が居たら、一緒に何かにチャレンジして、こだわりをほぐしていくとかね。
映画では、ジェンダー系の話も出てきて、白い目で見られたりと言う事があるのですが、日本だって、今だからこそ、開かれているけど、ちょっと前までは、ゲイとかレズとか、おかまとかって、奇異の目で見られていた時期もあるでしょ。そういう事って、慣れていくしかないから、直ぐに何でも捨てて、受け容れて行こうと言ったって、無理なのよ。時間はかかるけど、でも、確実に浸透して行くから、心が固い人がほぐれるまで、長い目で見てあげてね。解り合える時は、必ず来ますから。
私は、どっちかと言うと、ほとんど捨てちゃった方かな。実は、最初の結婚するまでは、頭が固くて、20代で結婚して、子供を産んで、主婦をしながら夫と幸せに暮らすなんて夢を見ていました。それが終わった時に、頭の中が崩壊したから、そこからテオのように、一から始めたと考えて良いかも知れません。周りの目なんて、何も気にならなくなったもん。好きな事をして、好きな人と居て。でも、全てを捨ててこの世界で生きようと思ったら、それなりに強い精神力が必要と言う事も学びました。それには、人が言い返せないようなスキルを身に付ける必要がある事も。

この映画、とても奥が深い映画です。表面的に見れば、色々なこだわりを捨てて、心を自由にして生きた方が幸せになれるよということなんです。でも、小さなコミュニティでは、全てのしがらみを捨てる事は難しいので、友人たちと、少しづつ解り合い、少しづつこだわりを解消していく必要があるんだよって言う事を言っているようで、人間って面倒だけど、でも、愛おしい生き物なんだよって伝えているように思えました。
最後に、孤独はススメません。孤独じゃない方が、幸せになれます。別に、結婚とかそう言う事では無く、何でも相談出来る友人が居ると良いと思うよって事です。いつもベタベタ付き合うとかでは無くて、困った時とか、寂しい時とか、ちょっと愚痴りたい時とかに、話せる人が居ると良いよって事。
私は、この映画、とてもお薦めしたいと思います。 派手な映画では無いので、最初の方は、私は、ちょっと眠くなりました。ウトウトしちゃった。でも、中盤から展開していき、面白くなって行くので、頑張ってくださいね。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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