先日、「ルームメイト」 作:今邑 彩 を読みました。
ストーリーは、
私は彼女の事を何も知らなかったのか…?大学へ通うために上京してきた春海は、京都からきた麗子と出逢う。お互いを干渉しない約束で始めた共同生活は快適だったが、麗子はやがて失踪、跡を追ううち、彼女の二重、三重生活を知る。彼女は名前、化粧、嗜好までも替えていた。茫然とする春海の前に既に死体となったルームメイトが…。
というお話です。
本屋さんに行ったら、店員のお薦め小説の中に、この「ルームメイト」があって、読んでみました。
多重人格者と知らずに、ルームメイトになってしまった女子大生が、このルームメイトの死によって、その多重人格の謎に迫っていくというお話なのですが、途中、結構、こうなるのかな、ああなるのかなって、随分、こちらの考えを振るような内容なので、楽しめました。
この小説、少し前の作品だそうですが、書店員の方が発掘して、お勧め小説として書店で宣伝したそうです。確かに、本を読む人間にとって、読む側を騙してくれる小説って、面白いですよね。この本もそういう小説で、こちらの裏を裏をかいてくるので、あれ、この人が犯人?あ、違う、こっちかな?とか、読みながら犯人をいっしょになって捜す楽しみが出来ました。
こういう多重人格の小説を読むと、子供の頃の恐怖が、どれほど子供を壊してしまうのかということを考えさせられます。よく、自分も虐待をされていたから、つい、自分の子供にも虐待してしまうという話を聞くのですが、自分がやられてイヤだった事は、人にやったらいけませんよね。もちろん、どんな人間だって、カッとすることがあると思いますが、それを弱いものに向けてしまうというのは、人間として壊れています。
もし、自分が少しでもそういう兆候があるようでしたら、直ぐにメンタルクリニックを探して、相談した方が良いと思います。自分を見つめなおして、早めに対処した方が、傷が深くならないし、周りの人も幸せになるので、考えてみてください。それは、全然おかしなことじゃないですよ。いつ自分が壊れてもおかしくないような社会情勢なので、明日はわが身なのです。みんなで気をつけて、心配なら相談するっていうのが、普通の事になっていかないと、自分を守れませんよ。
そんな事を、マジで考えさせられてしまう小説でした。恐いです。自分で気が付かないうちに、傷が深くなっているなんてことがあったら・・・。自分を心配してくれる人が周りに居てくれれば、なんとかなったかも知れないのに・・・。自分の変化を注意してくれる友達や家族が、とっても大切だなって思った、今日この頃でした。
「24人のビリー・ミリガン」は、随分昔に読んだのですが、ノンフィクションものなので、読みにくかった気がしますが、この「ルームメイト」は、面白くて、読みやすいので、スルスル進みます。
もし、ミステリー好きな方は、ぜひ、一度読んでみてください。面白いですよ。
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