昨日、「デザート・フラワー」を観てきました。
今年、最後の最後で、最高の作品に巡り会えました。すごい驚きと感動の連続です。この作品、どうして全国ロードショーじゃないの?有名俳優が出ていないから?すごい作品ですよ。これ、観ないとソンします。
ストーリーは、
アフリカの貧しい家庭で育ったワリスは、13歳の時に親元を離れひとりロンドンへ。刺激的な大都会に圧倒され、孤独な路上生活を送る彼女の人生は、一流のファッションカメラマンにスカウトされたことにより劇的に変わる。やがてトップモデルとなった彼女は……。
というお話です。
すごい話でした。どこまで書いてよいのやら、悩みます。まず、一見、ソマリアから出てきた少女のサクセスストーリーと思いきや、すごい展開になります。世界に発信する必要のある問題が多々含まれており、これは、女性であれば、涙すると思います。
ソマリア出身のワリスは、実在の人物で、トップモデルであり、国連の特別大使です。なんの特別大使かというと、FGM廃絶のための大使なのですが、FGMって知ってますか?FGM=女性性器切除のことです。ソマリアなど、アフリカの一部で伝統的に行なわれている儀式のようなもので、女性の貞操・純潔の象徴とされているのですが、施術後に出血や激痛を伴い、感染症や不妊、難産などで、女性が死に至ることも多々あるそうです。確かに、習慣かも知れないけど、問題のある習慣は変えていく必要が有ります。

先日観た”モンガに散る”と同じように、今までは習慣としてまかり通っていた事が、どんどん世界が新しくなって、そこだけ取り残されてしまう。そして、今までの習慣を無理やり通していこうとすると、異端となり、周りから弾圧を受けたり、潰されたりすることになります。
ソマリアという地域は、今も混乱の最中のあり、国連PKOが介入していますが、内戦は収まっていません。この紛争にも、宗教が色濃く関わっており、本当に、いつまで経っても仲良くは出来ないようです。

そんな地域から出てきたワリスは、素晴らしいチャンスを引き当て、チャンスを生かして、トップモデルとして活躍したのですが、どんなにトップに上がっても、子供の頃に受けた傷は癒されず、心に深く残っていたのです。その傷を勇気を持って告白し、女性として産まれてよかったと思えるようになります。そして、出来るだけ自分と同じ傷を女性が負わないように、運動しています。女性として産まれて良かったと思える人生って、すごくステキですよね。
私も、女性として産まれて良かったと思っていますが、心底、彼女のように良かったと実感出来た事は、まだありません。子供を産んだり、育てたりすると、女性に産まれて良かったと思えるのかな。年を取って最後に、女性で良かったと思いたいなぁ。
こんなにすごい問題作なのに、人権団体とか女性運動団体とかは、どうして取り上げないのかしら。日本に関係ないからなの?でも女性にとっては、国が違えど同じ女性が苦しんでいるのだから、もっとこの問題を多くの人に知らせる義務があるんじゃないのかな?
確かに、他国や他民族の習慣に口を挟むのは、いけないことかもしれないし、大きなお世話かも知れないけど、苦しんでいる人がいるのなら、助けてあげるのが人間ってもんじゃないの?多くの人が問題を知って、考えていけば、その民族の人達だって、代変わりするのだから、悪い習慣は変えていこうという人も出てくると思うんです。
長々書いてしまいましたが、今年最後に観た映画が、あまりにもすごい映画で、たくさんの人に観て欲しいと思いました。日本に住んでいると、幸せすぎて世界の事をあまり見なくなってしまうんですが、せめて、映画で世界を少しでも見つめられれば、視野が広くなるかなぁって思います。
私は、年末年始、イチオシの作品です。超お薦め作品っ!!でも、やっている映画館がほとんど無いので、もし、行ける場所にあったら、ぜひぜひ、行って下さい。
・デザート・フラワー@ぴあ映画生活
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