”1Q84”、読み終わりました。今年の4月に、この続きの”BOOK3"が出版されるそうです。
”見かけにだまされないように。現実というのは常にひとつきりです”と言うタクシーの運転手の言葉から、女性主人公”青豆”の話は始まり、もう一人の主役”天吾”は、”空気さなぎ”という物語の原稿を読んでから、その作者である少女の世界に引き込まれてしまい、困難な状況に陥る。という、2人の世界を追いながら、物語は進んでいきます。
小説の感想って、どうしてもネタバレになってしまうので、すごく難しいのですが、とりあえず書いてみます。
このお話、謎が謎のまま終わっているので、どこがどうだと言えないのですが、この小説の世界観は、とても不思議な空間で、今までに味わったことの無い雰囲気です。出てくる宗教の出来事は、オ○ム真理教の事件に似ているし、小説の製作過程とかは、結構ありがちな話かなーって思えるし、それほど目新しい物ではないのですが、空気さなぎとかリトルピープルとかの話が出てくると、まったく変わってくるんです。ただ、宇宙人や異次元人が出て来たとかならば有り得るんだけど、なんか、そんな簡単な事で片付けちゃえる雰囲気ではないんですよね。
考えるに、このリトルピープルは、宗教などでいう神とあがめられるもののように思え、その神とは、大衆が信じることにより造られるものなのではないかと思います。信じるから出てきて、出てきたから信じる、どちらも同時なのかなと・・・。
ドウタと呼ばれるフカエリの分身は、巫女としてトランス状態にある時とそうでない普通の時の2面性ということであれば、説明がつくかなーと考えました。ただ、そうなると妊娠しないというフカエリの言葉が理解不能なんですよねー。だからやっぱり、実態と分身の2人居るのかなーとか。フカエリですが、ドウタを残してきて、実態が天吾の処にいるとすると、妊娠しないというのはおかしいでしょ。だって、ドウタだから妊娠しない、実態なら妊娠出来る人間なんでしょ。ということは、残しているのが実態なのか、それとも分離していないのか・・・。
それから、青豆の方に出てくるリトルピープルの実態の描写も、不思議でした。イメージなのか、実態なのか、訳がわからんけど、それはそのまま受け入れるしかないのかなーと思い、そうすると信者たちの信仰の強さで実体化されたのかとか、色々考えちゃいますよねー。
この青豆と天吾が、何時の日か出会えて、愛が成就されるとリトルピープルに勝てるのかとか、青豆のドウタはどうしたのかとか、あのラストで青豆はどうなったのかとか・・・。謎が多すぎる・・・。
でも、この小説は、青豆と天吾の時空を超えた深い愛の物語なのでしょうね。どちらもが深く愛しているのに求めているのに、出会えないという・・・。続きでは、会えるのかしら・・・。
読み終わっても、読み返しても、その度に、違う考え方が浮かんできて、もしかしてこういう意味かもとか、いやいやこうかもとか、この小説は、考えさせられて、楽しめるものでした。
私は、結構、こういう結果の出ない小説や、謎が多いままの話、好きなんです。
でも、4月に続きが出るとのことなので、どういう話になっていくのか、楽しみです。
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