今日も、一日、東京国際映画祭に行ってきました。
「ストーリーズ」 (コンペティション部門)
ストーリーは、
ロサリオは物書きをしている主婦。お決まりの人生を歩み、夜になるとわきあがってくる恐怖心のため、心理セラピストのもとに通っている。セラピストは、物書きとしての自己と向き合う問題をロサリオに突きつける。周囲の批判を覚悟の上で、出版社に作品を持ち込むべきだというのだ。ロサリオはその助言に従ったが、次第に恐怖や罪の意識、浮気相手との関係のなかで見出した性表現に対して、数々の疑問がわいてくる。ロサリオの書く物語は、周囲の小さな問題を超え、彼女を取り巻く世界を探りながら、彼女自身の物語も織り込まれていく。
というお話です。

主人公のロザリオは、8年も前に子供を死産して、そのトラウマに捕らわれているのに、それに気が付かないように、触れないようにしているんです。無理をしている分、自分が不安定になってしまい、どうして良いのかわからない状態で、話が進んでいきます。そんな彼女が、小説を書くことによって、段々と自分と向き合い、安定していき、ステップアップするんです。
日常の中で起こりえる、人間の不安とか恐怖を描いていて、とても共感が出来ました。彼女が書く小説が、モノクロで、現実と交差して描かれていくのですが、最初、その小説が、あんまり面白くないなぁって思っていたのですが、段々とその小説もステップアップして、心が描かれていくようになって、納得できました。結構好きなタイプの映画でした。

「エイト・タイムズ・アップ」 (コンペティション部門)
ストーリーは、
エルザは、夜は人気のない停留所でバスの清掃を、昼間は疲れた様子で若いカップルの子供の面倒を見ている。定職に就こうとするが、なかなかうまくいかない。ある日彼女はアパートの退去を強いられ、あてどない暮らしを始める。無職の隣人マチューは彼女に愛情を注ぐが、彼女はそれに応える心構えができていない。しかし何もかも捨てて逃げ出したいという願望は、マチューがキャンプ生活を送っている森へと彼女を向かわせる。しばらくは文化的な生活から離れることになるが、いつかは戻って社会と向き合わなければならないことはふたりにもわかっていた。そうでなければ、社会とは一生無縁の暮らしとなってしまうのだから。
というお話です。

主役のエルザは、家を追い出されてしまうような状態なのに、やっている仕事に興味が無くなったとか言って、辞めてしまったり、社会性があまり無いように見受けられました。そんな彼女が、最後には、少しづつでも、人と関わっていけるような感じになり、少し好感が持てますが、最初は、なんて勝手な女なんだろうって思いました。
最近の日本でも、仕事は欲しいけど、この時間はやりたくないとか、興味が無いとか、自分に合ってないとか、文句を言って仕事をやらない人をたくさん見かけますが、はっきり言って、甘えんなって言いたいです。イヤでも、合って無くても、生活の為には仕事が必要でしょ。一生かかっても合う仕事なんて無いですよ。仕事となったら、どんなに好きな事でも嫌いになるのが当たり前。嫌いだけど、やめられない、やめたくないっていうのが仕事でしょ。あ、説教臭い事を書いてしまいましたが、この映画を観ると、そんな事をいいたくなってしまいました。
でもね、主人公の彼女は、これからもっと成長していくんだろうなぁと思わせる終わり方で、良かったです。
「エリックを捜して」 (ワールドシネマ部門)
ケン・ローチ監督の最新作です。
ストーリーは、
郵便局員のエリックは災難続き。無秩序状態の家族、ワイルドな養子たち、何の役にも立たずに庭の真ん中に居座っているセメント・ミキサー…。そんな環境のエリックをギリギリまで追い詰めたのは、彼自身が抱える秘密。彼は30年前に恋した女性リリーと向き合うことができるのか? 度を超えるほどの努力と、サッカー・ファンである友人たちの、見当違いだが好意的な親切心にも拘らず、エリックは落ち込むばかり。そして1本のマリファナとある特別な友人が、途方に暮れたエリックに、最も危険な場所、<過去>への旅立ちを促す。中国人とこのフランス人がいうように、「賽を振ることを恐れる者は、6の目を出すことはできない」のだ。
というお話。

サッカーヒーロー、エリック・カントナがエリック・カントナ役で出ていて驚きです。あのカントナですよ。驚いた上に、この作品、すごく面白かったです。超笑えるの。色々な危険な出来事が起きるし、主役の郵便局員エリックが暗い感じなんだけど、その周りの人が面白いのなんのって、笑えました。そして、エリック自信も、一歩踏み出して色々やってみるような人間になっていきます。会場内は、笑いが随分起きていました。サッカー好きの人は、より笑えると思います。サポーターネタや、サッカーネタが、とてもオタクの粋に達していて、おおっ?って思うところで笑いが起きていて、面白かったなぁ。私も、あんな友達たちが欲しいって思いました。
この作品、日本公開して欲しいなぁ。面白いですよ~。
「NYスタテンアイランド物語」 (コンペティション部門)
ストーリーは、
ブルーカラーのサリー・ヘヴァーソンが、これから生まれてくる子供の将来を考え、チンピラギャングのボス、パーミー・タルゾの金庫を襲う決意を固める。賞金を狙う3人の男たちの人生が悲劇的に交差するなかで、記憶に残る事業を望むタルゾは、スタテンアイランドの森を救うキャンペーンを展開する。一方、聾唖の総菜屋の店員ジャスパー・サビアーノは、ギャングのボスによるいかがわしい行動の犠牲者の遺体処理を行う。
というお話。

話は、3部に分かれていて、3人の男を中心に話が進んでいきます。イーサン・ホーク、ヴィンセント・ドノフリオ、シーモア・カッセルという、素晴らしい男優さんが、それぞれ、すごく良い味を出して、演じていました。特に、シーモア・カッセルさん、すごい良かったです。聾唖のおじさんなんですが、その表情で気持ちを表現していて、悲しさや喜び、全てがしぐさや表情で解るんです。この人、凄いなぁって思いました。後から思ったんですが、”カールじいさんの空飛ぶ家”のカールじいさんみたいなんです。いや、カールじいさんそのものに見えました。実写だったら、絶対この人の役だなぁって思えるほどです。イーサン・ホークは、情けない男役が似合ってましたねぇ。
とにかく、どの男も、自分の事しか見えていないんです。そんな彼らの残酷な日常とちょっとしたユーモラスな感じが、アメリカっぽい気がしました。
有名俳優が出ているので、日本公開が在るかもしれません。おしゃれな映画なので、お勧めですよ。
以上、4本です。さすがに、1日4本観ると、頭がこんがらがってきますね。辛いです。終わったのが11時半を過ぎていたので、書き込みも遅くなっちゃいました。仕方ないですね。明日も、もしかして、夜にはアップするのは無理かも知れません。
