先日のヨセミテひとり旅で、驚きの出会いがありました。
最後に慌てて飛び乗ったヨセミテ内のシャトルバス。マンモス行きのバスに乗るために、ビジターセンターへ向かいました。
バスに乗り込みホッと一息つき、目の前に向かい合わせに座っていたひとりの女性と目が合いました。
あれ?日本人かな。
でもこの日会ったアジア人はほとんど韓国人で、そういや日本人会わなかったなと考えながら、バスの運転手さんと少し言葉を交わしてまたふと目が合うと、
「日本人ですか?」
声をかけてきてくれました!
「はい!」
お互い日本人に会うのは初めてだったこともあり、急に親近感湧いて、溢れるように話し始めました。
いくつくらいだろう。東京でOLしてるという女性。
夏休みを使って、ここへ来たと。
格好から言って、山が好きなんだろうなとすぐにわかりました。
「日本から一人でここに来たんですか?好きですねー!」
そんな私の予想を裏切る彼女からの言葉。
「はい。今も、100キロ歩いて来たところで…」
100キロ?
ん?聞き間違いかな。
ピンと来ないまま、お互い言葉が次から次へと溢れて相手の返事を聞くなり質問、の繰り返しでした。
私はプロスノーボーダーを長年していて、8年前に結婚してアメリカに住み、結局スノーボードが好きで家族ごとマンモスマウンテンに移り住んできたということ。
彼女はここに来た先週、マンモスに入ってから来たんだと、1泊ユースホステルに泊まったのだと話していました。
「そうなんですねー、じゃあヨセミテには何日くらい居たんですか?」
「さっき着いたんです。マンモスからずっと歩いてきて。」
… え?
えーーーー!!!!!
「な、7日間かけて?ひとりで?歩いてきたんですか?」
「はい。」
「そんなことする人がいるんだー!!!す、凄い… (絶句)」
いえいえと首を振り
「スノーボードが好きで、マンモスに移住するだなんてもっと凄いです!」
いやいやいやいや。
「えっと、いろんな場所で泊まりながら?ホテルとか?」
「いえ、テントで。」
爽やかな笑顔で言う彼女のバックパックにふと目をやると、マットレスが付けられ、中にテントも収納されていると思われるサイズ感と重量感ではないかっ!
ホラー映画で怖いものを見た瞬間のように一瞬凍りついた。
「ほ、ほんとに?え、ひとりで?山の中でテントしながら1週間かけてここまで?」
恥ずかしそうな笑みを浮かべながら彼女は言った。
「はい。あ、でも同じように歩いている人たちもいたりしましたから。」
確かに後から調べてみると、マンモスからヨセミテまで繋がるトレイルがありました。
ガイドをつけて歩くツアーなどの紹介が多く、どれもやはり7日間くらいのコースで。
それを、日本から来たひとりの女性が黙々と、なんなら東京のOLが!!!
「か、かっこいい…。」
思わず出た言葉、その表現が私の思った全てでした。
そうこうしてるうちにバスはビジターセンターへ。
私はマンモスへ、彼女はサンフランシスコへのバスへ乗り換えです。
お互い水を買ったりトイレに行ったりして、後でまた!と言いながらバスの出発までものの15分しかなくて、そのまま会えず…
サンフランシスコ行きのバスが出る瞬間にバスに駆け寄って手を振ったけど、中から見えていたかな。どうかな。
ヨセミテひとり旅。
自然の偉大さも凄かったけど、私にはこの最後の出会いがそれを上回るほどの衝撃で、なんだか嬉しくて、ニヤニヤしながらマンモスへ帰りました。
「明日朝の飛行機で、日本帰るんです。」
そのギリギリまでかけて、7日間アメリカの山の中を歩いていた彼女。無事に帰れたかな。
東京のどこかに、OL姿の彼女が紛れていると思うと、面白くてたまりません。笑
貴重な夏休みをこうして使う日本人女性。
もっともっと、話したかった。知りたかった。
連絡先交換することすら忘れて私たちはお互いのこと話して時間切れになってしまったけど。
また会えるといいな。
この大自然の力はとてつもなく大きいけれど、こんなに小さな私たちに出来ることも、本当はもっと大きいんだ。