2001年。南米に行った。
だけどお互いに満足なんかしていなかった。
常に上を目指すヨウを感じていたし、私も周りの評価に負けたくなかった。
三宅陽子というスノーボーダーは私が身近で見てきた中で一番天才的だと言っても過言ではない。
そこに並ぶ自分に劣等感を感じることなんて当たり前だった。
だけどこんなに私に刺激と劣等感を与えてくれる人はいなかった。
そしてヨウはいつもオープンで、自分のやりたいことにあっけらかんと私を巻き込んでくれた。
たぶんそこにはライバルとかそんな意識は全く存在していなくて、彼女は彼女の道を進み、私と一緒に楽しめることを単純に面白がってくれてた。
私たちは違うタイプだった。
というかヨウみたいなタイプの人は他には知らない。
今現在もそうだけど、不思議な魅力の女性。
語学も堪能で行動的なヨウに誘われた南米トリップだった。
本当に滑ることが大好きで、追求していた。
旅も大好きだったんだ。
スノーボードを持って、行ったことのない国に行くことは、スノーボードをやっているから手にすることの出来る特別なご褒美みたいだった。
それは怖くもあり、ゾクゾクした魅力でもあった。
アルゼンチンの時間の流れ。
ローカルの友達と夜のクラブへ遊びに行こうと待ち合わせしたら、夜中の1時とかで。
朝まで遊ぶのが当たり前のアルゼンチンの人たちにビックリした。
2001年経済破綻を迎えるこの国のペソは暴落していて、美味しくて激安なワインを毎晩喜んで飲んでいた。この国の人たちが大変な時期だったんだときちんと実感は出来ていなかった。
そんな無知がその後自分の身に降りかかってくることになるのだが。