予定していた大会が、キャンセルになった。
アメリカで大会の経験をすることも目的としていたから、本当に残念でたまらなかった。
自分達の力じゃどうしようもないこともある。
寺内楓くんは、日本でプロスケーターだ。
小学6年生でプロになった。
だから、日本で滑っていたらチヤホヤもされてきたと思う。
スケーター楓を育ててきたのは、スケートパークを運営するトリックスターのオーナーさんと、お父さん。
トリックスターの坂林さんが言った。
「楓に、アメリカを見せたい。
上手いやつらが山ほどいるってことを今思い知らせてやりたい。」
楓と二人三脚でスケートボードをしてきたお父さんが言った。
「今のあいつなら、吸収できるものがあると思うから、出すことにした。」
その想いが、心に響いていた。
どうにかしたかった。
でも出れる大会を見つけることができなかった。
このまま帰国かと思った矢先に、飛び込んできた情報。
この大会は、アメリカで何の経歴もない日本人の少年達が簡単に出場できるものではなく、直接交渉しに行った。
するとなんと、楓のスポンサーのアメリカ本社から連絡をもらえれば、枠を用意してくれるという!
日本との時差があり、まだ連絡できるような時間ではない。
アメリカで、動いた。
そして定員満員だったのに枠が用意された!
寺内楓、15歳。
全米最上級のレベルの高い大会に、出場します。
今日の練習風景。