映画「ミッシング」感想(核心には触れずにネタバレあり) | 鯉太郎&神楽&銀八 3ニャン日和

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カープと漫画とビールをこよなく愛する主婦が、愛する鯉太郎・神楽・銀八の様子等、徒然なるままに綴ります。




予告編を観た時から、そして監督が吉田恵輔氏だと知った時から、これはエグくて辛い映画だと覚悟して観た映画「ミッシング」。

幼い娘が突然失踪し、絶望と焦りの日々を彷徨う親の姿を描く、ヒューマンドラマです。

同監督の「ヒメアノ~ル」はずっと強烈なトラウマで、あのラストシーンは思い返す度に何とも表現できない気持ちになるんよね。





子どもが行方不明になって安否不明なのは、本当に終わりのない地獄。
娘の無事を信じて探しまわる母親の狂気。努めて冷静に対処しようとする夫との間にできる溝。世間の無責任な誹謗中傷。両親を絶望に陥れる容赦無い悪意。数字を求めるマスコミの現実。どれもリアルで辛かったです。



精神バランスを壊しながらも、娘のためになんとか踏みとどまろうとする母親の沙織里を、石原さとみさんが見事に熱演していました。素晴らしかったです。
悲しみを堪えながら、妻のイライラや憤りを受け止める夫役の青木崇高さんも良かった。
取材対象者に寄り添って正しい報道にしたいのに、上の意向に翻弄されて苦悩する記者役の中村倫也さんもさすがの安定感でした。
沙織里の弟役の森優作さん、私は初めてちゃんと観たけど、雰囲気があっていい役者さんだなと思いました。




世間には悪意もあるけど、ささやかな善意もある。そのささやかな善意で、少しだけ前を向くことはできる。
結末は賛否両論あると思いますが、(一緒に観た夫は、えー、あれで終わり?とスッキリしなかったらしい)私は余韻が残るラストでとても良かったと思います。ずっと感情を抑えてきた夫が、思わず素直な感情を見せ、初めて夫婦の気持ちが通じ合った瞬間、やられた・・・と思いました。虹色に光る落書きを撫でる場面は、いつまでも心に残ると思います。




とにかくずっと感情を揺さぶられて、今も思い出す度に涙腺が崩壊してしまいそうになる「ミッシング」。自分の息子2人はすっかり大人だけど、何事もなく無事に育ってくれたのは、とてもありがたい奇跡なんですよね。




口コミで観客動員数も増えていると聞きました。辛いテーマの映画ですが、私は観て良かったです。




ニャンズもずっとそばにいてね~。