第665回札響定期(11月30日、12月1日)は、次期首席指揮者に決まったエリアス・グランディの指揮でマーラー「第1番 巨人」です。

こんなにワクワクする退屈しないマーラーは初めてです。生き生きとした“今の音楽”

だと思いました。こういう譬はグランディは喜ばないかもしれませんが、ドゥダメルとの共通性も。ドゥダメルは下記の本でウィーン・フィルを振った「1番」について語っています(2007年)。そのときのワクワクぶりが直に伝わって来るようでした。

 

第3楽章の「フレール・ジャック」に続く、いかにもユダヤ的なマーラー節を聴くと世紀末のウィーンの雰囲気、ヒトラーが嫌った退廃性までもが湧き上がって来るようです。第3楽章に添えられた「急ぐな、引きずるな」というマーラーの言葉が、印象付けられました。「マーラーは演奏家が感情的になって、・・・理由もないのに興奮して、テンポを限界まで上げてしまう・・ことを恐れていた」とピエール・ブーレーズも語っていますが、グランディの指揮は「急がず、かといって引きずらず」の良い見本ではないかと思われます。

なお、グランディは1980年、ドゥダメルは1981年、そして川瀬賢太郎は1984年生まれ、音楽性は違うのに、3人には時代の共通性が流れているように感じます(個人の意見です悪しからず)。

 

今日の演奏を聴いてから、あらためて感想をアップします。

 

帰宅後、思わず本『マーラーを語る 名指揮者29人へのインタビュー』(シャウフラー編 音楽之友社 2016年初版)を読み返しました。

私が最初この本を読んだときにはあまり感じなかった、29人それぞれのマーラーへの入れ込みように共感できるようになりました。

 

ヴァツラフ・ノイマン指揮 チェコ・フィル