『鳥獣人物戯画』展示が乙巻に代わったので、甲巻との違いと類似を確認しに行ってきました。

まずありふれた有蹄類の家畜である馬と牛が登場、続いて隼、犬、鶏といずれも生態をよく観察してリアルに描いています。家畜の描き方に年中行事絵巻との類似性もあるということで、描いたのは宮中の絵所の絵師という説もあります。擬人化された動物というモチーフの重複を避けていますが、一方で背景は、甲巻と同様自然の風景が配されていて連続性を感じます。

このあと、乙巻は水辺で魚を捕る隼(ミサゴ?)、玄武(?)と思しい甲羅を持つ四足動物が流れの中に描かれ、おなじく空想上の麒麟、毛皮では知られていた豹(奈良時代にすでに舶載されていた)、奈良時代に渡来した新しい家畜の山羊、実物は見たことが無い虎と獅子、龍、象と続き、疫病退散に威力のある獏でおわります。

普賢菩薩が乗る象や文殊菩薩が乗る獅子は仏教美術でお馴染みです。玄武(北)・青龍(東)・白虎(西)と、四神のうち朱雀(南)以外は描かれたということもできるし、麒麟(または黄龍、いずれも金/黄色の霊獸)を中央におくことで、五行思想にもつながります。仏画を手掛けていた絵仏師が作者という説は、このあたりから生まれたようです。

 

朝一番で入場して乙巻だけさっと見て、お土産は高山寺の茶園を管理している宇治の吉田銘茶園のお煎茶と、京博のトラりんと鳥獣戯画とのコラボボトル。早く見終わったので近美コレクション展「浮世絵のヒロインたち」を見て、お向かいのキタカロウ(北菓楼)Lのお菓子とお茶でひと休みして帰宅しました。

  尾形光琳の「竹虎図」の虎は、“無駄に凄んでいる”ようにも、拗ねているよう

  にも見えてちっとも怖くないところがお気に入りですが、ボトルのトラりんは

  カエルにからまれて逃げ出しているような姿態で笑えます。カワイイ!